2.気付いてしまった、友達の恋心
俺が転校してきて、早一週間が経とうとしとる。クラスの連中とも仲良くなれたし、充実した日を送っとる。
・・・まぁ、一つ不満があると言ったら・・・、
「「「「雅明くぅ〜んvV」」」」
これや・・・。
「はっ・・・はは・・・はぁ〜い・・・」
女子の黄色い声に、俺は引きつった笑みを向ける。けれどそれさえもヒットするのか、女子達は頬を赤く染めとる。
・・・あぁ、あかん・・・泣きそうや・・・。
唇を噛み締め涙を堪える俺に、天使・・・はキツイな・・・。ま、そんくらい俺にとっては、えーなんや・・・輝いた?・・・うまい表現が見つからんからそれでいこか。
えーっと、そうっ輝いた声が聞こえてきたんや!
「にぃ〜の!お前モッテモテだなぁ!」
アハハと笑いながら俺の肩をバンバン叩くのは、転校初日でも助けてくれた大島。
あ、にのってのはこっちにきてからの俺のあだ名や。転校初日に早速つけてくれたんやで〜。
・・・それにしても、
「痛ッ!痛いちゅーねん!」
お前叩く力ぐらい加減せぇーや!!
俺が目を吊り上げながら怒鳴っても、大島はただ楽しそうに笑うだけ。それにつられて俺も笑った。少しの間笑い合い、先に口を開いたのは大島やった。
「アハハ!わりぃわりぃ!・・・それにしても、お前の人気は日に日に凄くなっていくな」
感心気味に言われた言葉に、俺は涙を流した。
いや、普通なら嬉しいと思んやで?!でも俺は・・・女が苦手やから、嬉しいとは思えんのや。申し訳ないけどな・・・。
「でもま!お前は嬉しくないんだよな!」
大島には俺が女性恐怖症なのを打ち明けた。・・・というかバレた。こいつ勘がよすぎるわぁ・・・。
大島の言葉に苦笑を零していると、隣の席の椅子が引かれる音がした。そちらに視線を向けると案の定、倉本さんが友達の・・・えっと・・・斉藤綾香さん、やったか?・・・と席に戻って来た所やった。
最近俺の周りが煩いから・・・非難してたんやろな・・・堪忍な、倉本さん。
「ね、倉本さん」
俺が心の中で倉本さんに謝っていると、大島が倉本さんに笑顔で話しかけ始めた。その笑顔が他のやつに向けるのと違うように見えて、俺は微かに笑ってもぉーた。
きっと、こいつも倉本さんが好きなんやな。クラスの男子の大半が彼女狙いやし・・・なんや不思議でもないわな。
うんうんと頷いていると、
「・・・何?」
と、倉本さんの声が聞こえて来た。その声があまりにも冷たく聞こえて、俺は首を傾げた。
・・・ん?俺の時はもう少し・・・笑顔を見せてくれたと思うんやけど・・・気のせいやろか?
首を傾げている俺をよそに、大島は倉本さんに積極的に話しかける。
・・・うん。こら大島が倉本さんを好きなのを疑いようがないわな・・・。
「俺たち土曜日に遊ぶ事になったんだけど・・・倉本さんたちも来ない?」
「・・・は?!」
大島の言葉に倉本さんが目を瞠る。
いやそれ俺さえも初耳やで?!
俺と倉本さんが目を瞠っていると、今まで黙っていた斉藤さんが口を挟んだ。
「あ、いいね〜!あたし達も土曜日遊ぶつもりだったんだ〜!」
「え?!」
ちょ・・・ちょぉ、斉藤さん?倉本さん目ぇ見開いて固まってしもぉとるよ?絶対言ってなかったやろ・・・。
俺が呆れている間にも、二人は話を進めていて、土曜日に俺・大島・倉本さん・斉藤さんで遊ぶ事になってしもぉた・・・。
・・・・・・あぁ・・・何も起こらんとえぇんやけど・・・。
「楽しみだな!にの!」
いやそれ、きっとお前と斉藤さんだけやから・・・。
笑顔の大島に俺は心の中でツッコミ、土曜日の事を思い沈んでいた・・・。
気付いてしまった、友人の想い人。
これが後々・・・俺を苦しめると、今の俺は夢にも思っていなかった。
今回も長々と読んでいただき、ありがとうございました。
前回同様、感想・意見・アドバイス等々・・・ありましたら是非とも仰って下さい。
これからもよろしくお願い致します。