第6話「告白!?」
俺は今、絶賛数学の授業中だ。
数学は眠くなる。これは文系生徒にとってもはや常識である。代入だの微分積分だの、さっぱり意味がわからない。数学教師は本当に日本語で説明しているのだろうか。時々、火星語をしゃべってるんじゃないかと疑いたくなる。
キーンコーンカーンコーン
そんなことを考えていたら授業終了を告げるチャイムが鳴った。
「ふぅ、やっと終わった…。」
俺は小さく呟く。いや、ホントは「俺はもう自由だァァァ!」とか叫びたいくらい嬉しいんだけどね。
「おーい、新庄!2組の平塚がお前を呼んでるぞー!」
次の授業の準備をしようと立ち上がったとき声をかけられた。
声の主は『エロゲーマスター』の異名を持つ男・猪俣健太郎であった。彼はエロゲーをこよなく愛していて、入学直後の自己紹介のときに『好きな喘ぎ声ベスト10』を発表し、クラスメイトを大いに引かせたという伝説を持っている。
まあ今は猪俣の話はどうでもいい。所詮奴はアニメや漫画で言うところのモブだ。だって顔がモブ顔だもん。
「平塚が…?なんの用だろうな。」
平塚とはまだあまり話したことがないため、何の用かまったく見当もつかない。まあ、とりあえず廊下に待つ平塚のもとへ行くことにした。
「うっす。用ってなに?」
「えっと、たいしたことじゃないんだけど…。」
平塚は相変わらずTHE女子高生といった感じの格好をしていた。すなわちいつも通りの平塚。強いていつもと違うとこをあげるとすれば少しモジモジしていて頬を赤らめているところぐらいか。
「あのさ、新庄。実は…。」
ん、ちょっと待てよ。これはもしかして告白のパターンでは?告白されたらなんて返答しよう。「はい」か「いいえ」か。それとも「え、なんだって?」か。なんせ彼女いない歴=年齢だからな。この答えは慎重に選ばないと。
「桧山先輩について聞きたいことがあるんだけど…。」
はい、告白じゃありませんでしたー。いや、まあ知ってたし。期待なんて全然してなかったし。ホントよ?
「聞きたいことって?」
「新庄は桧山先輩についてどう思ってるの…?」
なんとも答えにくい質問がきた。とりあえず俺は無難に答えておいた。
「いや、普通に良い先輩だと思ってる。」
俺がそう答えると、平塚は安堵の表情を浮かべた。
「普通に?じゃあ付き合っているわけじゃないんだね!」
どうやら平塚は俺と先輩が付き合ってるのか確認したかったらしい。まあ確かにもし俺と先輩が付き合ってたら、平塚はすげー気まずいだろうからな。3人しかいないと。だから確認しときたかったんだろう。ところで、そんなに俺と桧山先輩は仲良さそうに見えるのだろうか。
「良かった良かった~!まあ、確かに先輩と新庄じゃ釣り合わないもんね~!」
「釣り合わないって、酷いなぁ。いや、まあ先輩は校内でもかなり有名らしいからあながち間違っちゃいないんだが…。」
この日をきっかけに俺と平塚はそこそこ話すようになった。