第4話「3人目!」
放課後。長い授業から開放された生徒たちはおのおの部活動に打ち込む。野球部は野球の練習をするし、サッカー部はサッカーの練習をする。演劇部は演劇の練習をするし、軽音部は紅茶を飲んだりケーキを食べたり他愛もないおしゃべりをしたりする。あれ…?まあ、つまりあ●にゃんは可愛いってことだな。
では、俺が所属する歴史研究部は…。
「これから第1回歴史クイズ大会を実施します。」
「お、おぅ……!」
歴史クイズ大会なるものが行われようとしていた。なんだよそれ…。まあ、ことの発端は俺の不用意な一言なんだけどさ。てか、第1回ってことは第2回もやる気なのか…。
「私がこれから10題問題を出すわ。難易度はやや高めにしておくけど、まあ新庄君なら余裕よね。」
「も、もちろんですよ…。」
もちろん余裕な訳がない。ほら、なんかいやな汗出てるし。でもまあ頑張って全問正解しなければ。「問題出してください」って言ったの俺だしな。これで間違えたら超恥ずかしい。それに、これからずっと桧山先輩から軽蔑の目で見られるのは辛すぎる。……いや、むしろご褒美か?
「では、第1問。1573年に武田信玄と徳川家康の間で起きた戦いをなんという?
」
「三方ヶ原の戦い。」
「正解。まあこのくらいは出来て当然よね。」
まずは1問目クリア。まあ戦国時代は得意だしな。
「2問目。鎌倉幕府で最初の皇族将軍は?」
げ、鎌倉時代かよ…。でも確かこれは前に塾で習ったな。
「宗尊親王。」
「う…、正解。」
桧山先輩は少し悔しそうにしている。どんなもんだい!
「では、3問目。日本最後の女性天皇は?」
「後桜町天皇。」
「正解…。」
その後順調に俺は間違えることなく答えていった。いやぁ、時代劇とか歴史シミュレーションゲームとかで得た知識ってこういうとき役立つんだね。ありがとう!キミ達のおかげでなんとか全問正解できそうだよ!
「ラスト第10問…。最後は世界史からよ。後漢末期の武将・華雄を討ち取ったのは誰?」
華雄って確かあれだよな、董卓の配下の…。えっと、討ち取ったのは…。あ、そうだ関羽だ!
「関……」
関羽と答えようとした瞬間、桧山先輩に遮られた。
「あ、そうそう。もちろん演義じゃなくて正史のほうよ。歴研部員たる者、正史も知っていなければね。」
え、なんかずるくね。てか、正史と演義で討ち取った奴違うのかよ。初耳だよ。
「え、えっと……。」
「ほら、はやく答えて。あと10秒!」
桧山先輩は苦戦する俺を見て嬉しそうにカウントダウンを始めた。ちくしょう、先輩の笑顔可愛すぎだろ!
「4、3、2……」
あぁ、わからねえ。無理だ。
「孫堅!」
俺があきらめようとしたその時、突然明るい声が部室に響いた。
扉のほうに視線を向けると、そこには一人の美少女が立っていた。まず目に飛び込んできたのは若干染めているのかすこし明るい色をしている髪の毛。なんかくるっくるふわっふわしている。あれか、カールとかいうやつか。コイツ、いわゆるギャルだな。ブラウスのボタン結構あけてるし、スカート短いし。うん、ギャルだ。
「えっと…、どちらさま?」
恐る恐る話しかけてみた。嫌さ、俺こういう今時っぽいギャル苦手なんだ。カネ巻き上げられたらどうしよう。
「あ、私は平塚舞!1年生です!入部しに来ました!」
彼女は元気よく自己紹介をした。なんか思ったよりも怖くなさそうだな。よかったよかった。あれ、てか平塚って…。
「え、平塚舞って…!もしかしてアヤの妹の!?」
「はい、そうです桧山先輩!」
平塚舞が桧山先輩に抱きつく。いいないいな、俺も先輩に抱きつきたいぜ。
こうして、平塚綾子の妹・平塚舞が新たに加わり、歴研部員は3人となった。