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閃光の祝福ギーゼル

最弱の英雄

作者: 草薙薙ノ

約6000文字の短編です。短編なのに無駄にバックボーンを凝りすぎたので解説は後書きに。

一応、登場人物を紹介しておきます。

○ギーゼル:世界を救った勇者パーティーの魔法使い。閃光の大賢者と謳われる史上最強の魔法使い。

○トゥバーン:勇者パーティーを率いた人間の少年。故人。魔王討伐後間もなく死亡。

○魔法使い・重戦士・技術士:ギーゼルの弟子たち。左から入門順。

 最弱の英雄と呼ばれている男をご存知だろうか。


トゥバーン──この世界では誰もが知る、勇者パーティーを率いた男の名だ。


かつてこの世界は、魔王が支配していた。それを討伐し、世界に平和をもたらした集団が勇者パーティーである。


彼はその勇者パーティーのリーダー……世界を救った一行を率いた男であり、この世に溢れる数多の御伽話で最も弱いとされた──英雄である。


下級モンスターを前にしても泣き叫びながら逃げ回り、妹を盾にすることを躊躇わない外道──というかクズ。


唯一にして最大の強みは、圧倒的なタンク性能。彼がパーティーにいるだけで、モンスターのヘイトを一身に稼ぐ。それでいて逃げ足が早く、殺しても死なない生命力がある。道化のように歌って敵の注意を引き、仲間を勝利に導いた……という言い方もできる。


総じて彼の評価はクズ──この一点に集結する。

最弱の英雄にして、魔王討伐の英雄譚を喜劇コメディとして残した風変わりな男。それが英雄トゥバーンである。


魔法使いギーゼルはこの日、地図に記されている『勇者パーティーの石碑』の中でも、一際奇妙な存在感を放っていたそれを訪れることにした。


世界を救った勇者の像だ──当然のことながら世界中どこにでも置かれている。街あるところに勇者の石像有り……余程閑散としていなければ、小さな村にだって建造されていることも珍しくない。


しかし、ギーゼルが地図上で見つけたそれは、街でも村でもなく──人っ子一人いない辺境の地にあったのだ。


人里離れた森林の奥深く。古びた遺跡の内部にそれはあった。


「これ、何の文明の遺跡なんでしょう……」


 ギーゼルの弟子の一人──少女魔法使いが、旅の疲れによる苛立ちを誤魔化すように言う。


「さてね。トゥバーン(あいつ)のことだ、雰囲気あるからって理由で自分の像をこんなへんぴな所に建ててもおかしくない」


 ギーゼルは適当に答えつつ、前方を歩くもう一人の弟子──少女技術士へ視線をやった少女魔法使いの質問を真面目に受け取るのは、専門の彼女であるべきだ。


「……多分、今から大体一万年前の文明だと思う」


「雰囲気あるね。あいつが選ぶだけはある」


 小学生のような感想を述べながら内部を進んでゆくと、地図の通り。確かにそこにはトゥバーンの像があった。


しかし──


「トゥバーンと……ギーゼルか?」


 この旅に同行する最後の一人──戦士の少年が呟いた。


像のうち一つ──大きい方は、短髪で兎のような小動物然とした愛らしさを持つ中性的な青年。しかし、その表情には狐のような賢しさが含まれており、瞳には獅子のような強い意志が見える。

この石像の人物こそ、英雄トゥバーンだ。


その遺跡には二つの石像があった。トゥバーンのものと、小さな少女の石像。苔が生い茂ってかなり廃れてしまっているが……その上からでも一切衰えることのない美貌。色を塗れば本人と間違えるのではないかとさえ思ってしまうほど精巧に造られたそれは──閃光の大賢者ギーゼル……勇者パーティーの魔法使いのものだった。


「ギーゼル様とトゥバーン様の石像……他の勇者様の石像は無いようですね」


「あれは……」


 石でできた自分の足下に石碑がある。


『世界を救った英雄・ギーゼル』


「はは、そういやギーゼルって勇者様なんだよな」


「ぜんぜん、そんな感じしないけど……」


「……シルフィ、そっちはどう?」


 トゥバーンの足下に彫られた石碑を観察していた少女魔法使いへ呼びかける。


曰く──『数多の英雄を羽ばたかせた翼・トゥバーン』


「ギーゼル様が英雄で、トゥバーン様が翼……ですか」


 今までに自分たちが見て来た師匠の像は、全て『英雄トゥバーン』だった。魔王に直接トドメを刺した閃光の大賢者ギーゼル、幾度とパーティーを壊滅の危機から守った巨人の武王フィンラス、最も多く魔王軍幹部を討伐した幻影弓士アスナをトゥバーンと共に英雄と表現していたり、そもそも勇者パーティー全員を英雄としたりする石碑も珍しくない。それを建てた人間の想いが反映されているので、各地で記述が異なるのは珍しくも何ともない。


だが、リーダーのトゥバーンを英雄と表記しない石碑を見たのは、彼らはこれが初めてだった。


「で、でも、ちょっと、納得……」


「まあな。実際魔王を倒したのはトゥバーンじゃなくてギーゼルなんだし、これを建てた奴はそのことを伝えたかったのかもな」


「これ、建てたのトゥバーンだよ」


 ギーゼルは二対の石像を愛おしげに見つめ、小さく溢した。


「ギーゼル様?」


「それ、何の冗談だよ」


「え? あ、ああ……建てたというより、専門家に依頼したのが、ね」


「いや、そういうことじゃないって」


「うん?」


 戦士は石碑に刻まれた文字を指して言った。


「これを建てたのがトゥバーンなら、ギーゼルを英雄って書いて、自分だけそうしないなんておかしいだろ」


 トゥバーンは目立ちたがり屋。それは彼を見た者なら──否、トゥバーン英雄譚を読んだ者なら、全員が共通して抱く人物評価であろう。

そんな彼が……魔王を討伐したという特大の名誉を誇らないはずがないのだ。


「よくある……記述ではああなっているけど、実際の所はとても謙虚で誠実な方だった、とかでしょうか?」


「いいや、トゥバーンはあの本の通りの人間だった。著者は本人だがね。一切の脚色はないよ」


「それはそれで複雑ですね……」


 魔王を倒した人間がこんなちゃらんぽらんな人物だとは、信じたくない事実であろう。


「じゃあ、なんでトゥバーンは自分のことを『翼』だなんて表現したんだ?」


「私たち勇者は、美術家に石像を建ててもらう時、目印を決めたんだ。誰がどの石像を建てたのか──を示す、ね」


「目印?」


「勇ましいポーズだとか、花冠を被らせるだとか、そもそも石ではなく銅を使うだとか色々あったのだけれど……トゥバーンは自分の目印をこうしたんだ」


 石碑に『翼』と記す。


80年前、ギーゼルは生前の彼にそう告げられた時、首を傾げてワケを尋ねた。


『私は英雄ではない』


 彼は両の眼を固く閉ざしたまま、そう答えた。


『力の無い私の剣となってくれたのは我が妹だし、奴の恐ろしい魔法から身を挺して私たちを守ってくれたのはフィンラスだ、決戦の地で奴を取り巻く幹部が少なかったのはひとえにアスナの尽力である部分が多い。何より……魔王を直接葬ったのは、他でもない君だ』


 して、口々にパーティーのメンバーを褒め称えた。


『私は、戦闘面では何一つ君たちの役に立つことができなかった……。雑用さえも、貧弱である私にやらせる方が効率が悪かった』


『だから、自分は英雄じゃないって言うのかい?』


『まさか──英雄トゥバーン、道化のように歌ってふざけ、魔王を討伐した男。こいつは面白い。向こう千年は子供たちの語り草となってもらわねば困る。人々に笑顔をもたらす、くだらないコメディーとして』


 そのためにも、私は英雄である……そう自分を飾り続ける──トゥバーンは言った。


『しかし──』


 真実から目を背けないわけにはいかない。結局自分は、どれだけ手を伸ばしても……最後まで力を得ることはなかった。終始、パーティーメンバーの応援に回るしかなかった。


『だから石碑こいつには、真実を刻もうと思う。いつか子供たちが大きくなって、私の物語の起源を見て回る時、こいつと巡り合ってくれたらと思う』


 努力には限界がある。生まれた時神に与えられた器により、才能は決められるのだ。凡人がどれだけ努力しようとも、英雄にはなれない。


『君からそういう言葉を聞くなんて……意外だな』


『私は愚者だが馬鹿ではない。それくらいはわかるさ──もっとも、隣にいるのが君でなければこんな話はしないだろうが』


 ギーゼルは彼の意思を……彼が、自分がプロデュースした石像をこんな辺境の地に設置する理由わけを察した。


トゥバーンは英雄ではない……弱き者に英雄となる資格は無いのだ──


『そんな世知辛いこの世の真理、大っぴらにしておくわけにはいかないね。特に子供の夢が壊れる』


『王都の記念碑の主導プロデュースを君に譲ったのはそういうことさ』


 道理で。美術家がトゥバーンでなく自分の所に来たわけだ。


『ただし、英雄の翼にはなれる!』


『うわ、声デカ……』


 多分彼が今日一番伝えたいことなんだろう。露骨にテンションが上がっていやがる。


『英雄にこそなれずとも……その英雄が羽ばたく翼にはなれる! そして実際に私はなって見せた!』


『違いない。決戦当日の君の演説は素晴らしいものだったよ。アレで決定的に士気が上がった』


 間違いなく……英雄にはなれなかったただの少年トゥバーンは、魔王討伐の功労者なのだ。


『この世界には、私のように挫折して苦しむ者がごまんといる。ふと、英雄トゥバーンはどうやってこの苦しみを乗り越えたんだろうと、気になって私の軌跡を巡ってみる。するとここに辿り着いて、彼らは私の生き方を知る』


 瞼こそ開かないものの、その眼はきっと、真っ直ぐに伸びた純粋な眼差しで……自分の石像を、自分が生きた証を見つめているのだろう。


『いつか……生きることに苦しくなった人がふらりと寄ってみたら、救われる──私はここを、そういう場所にしたいんだ』


 すぐに見つけられては意味が無い、と彼は肩をすくめた。


「良い話だな」


「生きることに苦しくなったら、この場所に……ですか。何も考えていないようで、とても聡明な方だったのですね、トゥバーン様は」


 弟子たちが口々に感想を溢す間、ギーゼルは彼の想いに触れるかのように、石碑に手を伸ばした。


すると──何かしらの魔導具が動くような駆動音が遺跡全体に響く。


「何だっ!?」


「罠かもしれません……一旦出ましょう」


「う、うんっ……ボクが先行する、着いて来てっ」


「三人とも落ち着きたまえ。ここはトゥバーンが一度訪れた場所だよ。私や君たちが逝くような罠なら、あいつは骨一つ残らんさ」


 ギーゼルの言葉通り……その音は罠の起動ではなく──トゥバーンを紹介した石碑が真っ二つに割れ、その中から一振りの剣が姿を見せた。


赤い刀身が猛々しく光る不思議な剣である。それの出現と同時、まるでその場の気温が幾つか高まったかのような暑苦しさを感じる。


「これは……」


「魔剣エクスカリバー……トゥバーンが振るった二対の剣のうち、炎の魔剣さ。墓前に供えられた水の聖剣と違い、行方知れずとなっていたのだけれど。まさかこんな所にあったなんてね」


 魔王との決戦の前に、英雄トゥバーンは力を欲した。これからの戦い、如何に信頼に足る仲間たちと言えども危険だ。自分が彼女らのように強くなることができれば危険は減るであろう。

トゥバーンが向かったのは王国の片隅にある霊洞。そこには二対の剣が残されているのだ。言い伝えによると、全てを灼く最強の魔剣エクスカリバー、全てを浸す最強の聖剣マーリンが眠っていると言う。

トゥバーンはそれら二つをおっかなびっくり引き抜いた! トゥバーンはおおいに喜んだ! こんな道化にも隠された才能があったのかと! しかし二対の剣は人の言葉を話しそれを否定した。どうやら気の遠くなるような年月の末、才能ある者を選別する力が消え失せてしまったようだ。てへ!

(引用:トゥバーン英雄譚)


「はぁ……なるほどな。自分は上手く扱えなかったけど……魔王を倒したからってはいさよならするには惜しすぎる剣だな」


 戦士の青年がまじまじと魔剣を見つめて呟くのを、ギーゼルはフッと笑みを溢して見つめていた。


「何だよ?」


「いいや? そういえばそういうことになってたなって思っただけ」


「ど、どういう、こと……?」


「さあねえ」


 あんまし答える気はなかった。彼も語り継ぐなと口酸っぱく言っていた部分だ。


「隠し事はするが嘘はつかない……それがモットーだったくせにね」


 努力は報われない。凡人がどれだけ努力しようとも、英雄にはなれないのだ──馬鹿なことを言う。気の遠くなるような努力の末……伝説の剣に認められ、魔王の両目を裂き、自分がトドメを指す隙を作った男が何を言うのか。


「他人……他剣? ──の力で強くなっても、英雄と名乗る資格はない……。あれは君が望んだ形の力ではなかったかもしれないけれど……間違いなく、私たちにとって君は、英雄トゥバーンなんだよ」


 ギーゼルは笑いながら、もしやと思ってその魔剣を手に取った。


すると──


『ギーゼル、久しぶりじゃな』


 魔剣エクスカリバーの刀身が明滅し、人語を発し始めた。年老いた男性のような声色である。


「喋っ……ほ、本当だったんですね、剣が人の言葉を話したって──」


「やあ、久しぶり。ちょっと不出来な弟子が何人かいるけど気にしないでよ」


『お前さんが挨拶じゃと……? それに弟子、か……随分と変わったものじゃの。そう固くならんでもええぞ?』


「それじゃあお言葉に甘えて──正直驚いたよ。てっきりマーリンと共に意思を失ったものだと」


『儂もそのつもりじゃったよ。だけど彼奴あやつに頼まれての。お前さんがここを訪れるまで待って欲しいとな』


「私が……?」


 ギーゼルが首を傾げると、魔剣の中に宿る老人は言った。


『トゥバーンは、お主を恨んだことなど有りはせんよ』


「……!」


 魔剣の刀身が一際強い輝きを示し……やがて消えてゆく。


『これでやっと、儂もあの男の元へとける……』


「……その、ためだけに生きていたのか」


『お前さんがどうせ背負しょいこんでるだろうと思ったまでよ。達者でな、ギーゼル』


 そうして、英雄の魔剣からは完全に意思が失われた。

ただの魔剣と化したそれを、ギーゼルは背にかけると、やがて踵を返した。


「さ、行こうか。寄り道もここまでにしよう」


「……? ど、どういうこと?」


 外野の自分にはあまりにも理解が及ばない、短い刹那の会話。技術士は困惑気味に師と兄、姉弟子を一瞥した。


「そっか、ノエルはまだ知らなかったよな」


「まあ、途中参加ですし、そもそもトゥバーン英雄譚を読んでませんから」


「……?」


 彼らは技術士の疑問に、簡潔に答えてくれた。


「──トゥバーンはギーゼルのせいで死んだんだと」


 ふと、弟子たちが小さな師の顔を見やると──どことなく晴れやかな顔をしていた。

○解説

・ギーゼルの正体……ギーゼルはトゥバーンと共に世界を救った魔法使いですが、人間ではありません。本人は精霊融合者と名乗っています。精霊融合者とは、人間に魔力を介して魔法を使わせてくれている精霊と融合した者です。故に人間でありながら人間を超越した存在なので、基本的には他のあらゆる生物に無関心です。理由はご想像にお任せしますが、作者としては寿命による仲間との別れ、永遠の時を過ごし仲間の記憶が希薄になったことがトラウマになったと考えています。しかしトゥバーンと会ったことで変わりました。恋を知った彼女は、再び人間と関わるようになります。しかし、その恋が実ることはありませんでした。

・勇者パーティーとは……当時の英雄候補──各種族の英傑は、金と名誉に目がくらみ、自分が一番最初に魔王を倒すことしか考えていませんでした。そうやっで他人を蹴落とし合い、魔王に一切の損害も与えられぬまま数百年が経過しているという歴史を知ったトゥバーンは、凡人の身でありながら各英傑たちと手を取り合いました。中でも、直接魔王と相対しこれを討伐した『人間と巨人の英傑、それに道化とその妹、精霊融合者を加えた五人』が勇者パーティーと呼ばれています。その後、魔王討伐に貢献した勇者パーティーと他の英傑により、各地で石像や銅像の建造が主導されました。トゥバーンが『翼』と表現されている石碑は彼自身が主導したものだけで、他のあらゆる石碑には『英雄トゥバーン』と称えられています。勇者パーティーだけでなく、各英傑たちにとってもトゥバーンは、『力が無いだけの立派な英雄』だったのでしょう。

・英雄トゥバーンとは……トゥバーンは凡人でした。大した力もないただの一般人です。しかし彼には声がありました。彼はみんなを笑顔にしたいと叫び続け、人間同士の争いがどれだけ愚かなことかを説きました。彼の大きな声が無ければ、英傑たちは手を取り合わず魔王も討伐されることはなかったでしょう。

・トゥバーンの双剣……トゥバーンが王国の片隅にある霊洞で発見した二対の剣です。どちらも、とても偉い人物が宿っている意思を持つ剣なのですが、詳細は不明です。彼らは凡人ながら決して諦めず自分にできることをひた向きにやるトゥバーンを認め、自分たちの力を貸与しました。その力はトゥバーンの力ではありませんが、間違いなくトゥバーンが努力で掴み取った力でしょう。他の英傑にも劣らない力を得たトゥバーンは、仲間と共に見事魔王を討伐しました。その後トゥバーンは若くして亡くなります。聖剣マーリンはトゥバーンと共に逝きましたが、魔剣エクスカリバーは生前死期を悟っていたトゥバーンに、いつかギーゼルが自分の面影を探して彷徨った時は励ましてやってくれ、と頼まれ、彼が建てた石碑の中に眠りました。

・トゥバーンの最期……魔王との決戦の際、トゥバーンは両目を失い失明しています。いくら伝説の二対の剣が手元にあろうとも、視覚を失ったトゥバーンに戦士としての価値はなく、彼は王都で穏やかに余生を過ごすはずでした。しかし、ひょんなことからギーゼルと喧嘩別れをしてしまい(おそらくギーゼルが一方的に憤慨し別れた)、以降は妹に介護してもらい生活していました。しかし、妹が学校に行っている間、王都の地下で下級モンスター(ゴブリンとかその辺の)が巣を作り、近所の女の子がモンスターに攫われてしまったことを知ります。トゥバーンは単身巣に乗り込み、二対の剣を振り回して勇猛果敢に挑みました。当然ながら視覚が機能していないので、あえなく敗北。無惨に身体を引き裂かれ絶命しましたが、女の子が逃げ隠れる時間を稼ぎました。数時間後、あるいは数日後、王都の聖騎士によりモンスターは駆逐。女の子は無事保護されました。当然ですが下級モンスターの群れなので、魔王を討伐した閃光の大賢者ギーゼルがいれば犠牲は無かったでしょう。くだらない痴話喧嘩の末にトゥバーンを死なせてしまったギーゼルは酷く後悔し、罪悪感を抱えたまま鬱々と過ごしていたところ──ある年に数少ない彼が主導して建てられた石像の存在を地図の端に見つけるのでした。

・ギーゼルの弟子たち……トゥバーンのおかげでもう一度誰かと関わってみようと思えたギーゼルは、弟子を取ることにしました。現在は彼らと共に、世界中を回る旅をしています。魔法使いの少女とは10年近い付き合いで彼女のことはあだ名で呼んでいます。戦士の少年と技術士の少女は旅の道中で拾った子たちで、前者は特にトゥバーンに憧れています。

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