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や~いや~い!!節穴小僧の間抜け面~!!

王の妾が何か画策している??

今更遅いのにね~☆

(by亡霊姫★)

 王妃派は日に日に勢いづき、中立派や寵姫派にまで鞍替えする者が出た。

流れは一気に王妃へと向かい、当然の流れとして寵姫派は衰微した。

それを映し出すように、フィオラの屋敷も寂れた風情となっていた。


「――……申し訳ありません、フィオラ様」


 フィオラを訪ねたカラフは、己の失態に真っ青になっていた。

思い出すのは、まだ夏の盛だった頃の邂逅だ。


『国王陛下。皇宮の春を覚えておいででしょうか?』


 あの時気づけたはずだ――気づかなければいけなかったのだ。

国王に付き従い、全てを見ていた自分が。


「……詫びは良いわ。それよりも知っていることを全て、覚えている限り聞かせなさい」


 カラフは俯きながら、必死に思い出す。

必死に考えをまとめようとしても、得体の知れない恐怖で中々頭が回ってくれない。


 あの時、王妃は騎士との逢引めいた状況だった。

それに対して王は「男を侍らせて」と言及しようとしていた。


 王妃からしてみれば、あの時期に淫奔な者という噂を立てられるのも、それを他ならぬ夫に糾弾されるのも、避けたい事態だったのだろう。

当時は懐妊を隠していたが、なるべく効果的な暴露を狙っていたのだろうから。

いざという時、子の出自に疑念を持たれては元も子もない。


 これまでの国王夫妻の様子から見ても、ただ一度のことか、多くても三度を越えてはいないだろう。

皇宮で望まぬ夜を強いられた王は、それだけで子ができることはないと信じたかったのだ。

愛する女に言えるはずがないし、思い出したくもない。

何もかもなかったこととして闇に葬りたかった。


 王妃はそれを看破した上で脅迫したのだ。

不都合なことを口走ろうとした国王の口を塞ぐために、裏切りの夜をちらつかせた。


 話を聞き、フィオラは深々と息を吐いた。


「――そういうことだったのね」


「今、思えば……あの頃には既に、王妃は体型を隠すドレスを着用していました」


 何重もの絹と宝石を連ね、影を膨らませる、圧倒的な豪奢さと重厚さ。

王妃がまとっていたそれらは、単なる虚飾ではなかったのだ。

自然な布の流れを見せることを美とするジディスレン式のドレスは、体の線がはっきりと出てしまうものが多い。


「……思えば、不自然な点もあったわね。けれどそれも、帝国の威光と迫力で押し通されてしまった……」


 とんでもないことになったと、フィオラは嘆息した。

これから当分、王宮は大騒ぎだろう。


 どれほど騒ぎ立てたところで、無事生まれなければ何にもならないことは確かだ。

とはいえ、生まれてからでは遅いのだ。

未来の王母に従わず、気分を害したとあっては、後々報復されることは想像に難くない。

何しろ相手は敵への苛烈さで知られる帝国の皇女であり、背後にいるのは大陸を統べる皇帝なのだから。

様々な要素と危険を慎重に分析して、保身を図らねばならない局面だった。


 今まで王妃と距離を取っていた者の中には笑みを貼り付け、「王妃陛下こそ、真にこの宮廷の女主人となるに相応しい御方でございます」などとご機嫌伺いに参じる者も出る有様だった。


「どうすれば……帝国の医師がいる以上、難しいとは思いますが。それでも何とか王妃を……」


 帝国と口にするカラフの顔は、敵意に歪んでいた。

フィオラも同じ思いである。しかし――フィオラは熟考したが、結局は首を振った。


「あそこまで言われた上で王妃に何かあれば、間違いなく私の仕業と言い立てられるでしょう。

……危険が大きすぎます。それよりも今は、内部の乱れを解決しなくては」


 寵姫派の存続のため、考えを巡らせる。

それぞれの思惑が混沌と入り乱れつつも、流れは一気に王妃に傾きつつあった。



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