クリスの愉快なお友達たちよ☆みんな仲良くしましょうね♡ ②
クリスを諌めるとか、ウケる~♪
おじさまたち、クリスの手のひらの上で踊っているってわかんないのね☆
(by亡霊姫★)
「しかし、あのレナートとかいう騎士への入れ込みようは、少々行き過ぎなのでは。
あれでは良からぬ噂を立てられてもしましょうし、もしもあれが増長して、王妃陛下の威を借るようになればどうします」
「そうだな……一度、王妃陛下をお諌めしておくべきかもしれん。
慎重を期す必要はあるだろうが……」
ヴァルネート侯爵がそう口にして、アーゼリット侯爵も首肯した。
アーゼリット侯爵夫人は伏し目がちに控え、耳を傾けている。
「お前はどう思う」
「……我々が王妃陛下にお仕えするのと同様、彼も仕えているのです。
それは確かです。そして騎士という立場上、水面下で動く策略よりもその働きが目に留まりやすいのも確かでしょう」
レナートが王妃の傍にいる機会が多いと、最も知っているのは彼女だった。
その目から見ても、確かにあの二人には特殊な繋がりがあるように思えた。
交わす視線の深さ、王妃が垣間見せる笑み。
侍女たちに比べ、物理的な距離こそ近くはないが、通い合う何かがある。
「噂によると血溜まりにマントを広げ、初めて王妃陛下への献身を見せた騎士なのでしょう?
お若い王妃陛下が心の支えとしてしまうのも、無理のないことと思いますわ。
あまり口喧しくしては、却って頑なにおなりになるのでは……」
「そうか……ならばまあ、それは後でも良いだろう。
あの騎士は中立派の家なのだし……」
一段落したので、茶で一服入れて話題を変える。当然帝国産の茶である。
「中立派にも、徐々に我らに靡く者が出始めています。
そうなれば帝国派の復権も更に近づきます。
最早時間の問題でしょう」
「ですが宰相閣下とライエラ侯爵家は、未だに中立を堅持しているようですな。
今度の王妃陛下と宰相閣下の謁見が、どう運ぶかにもよりますが……」
「あの二家は、当主がジディスレン風に、それ以外が帝国風とすることで中立を表明しておりましたが……
そう言えば、ライエラ侯爵家の方は、夫人が最近新しいドレスを考案したと噂になっていますね」
今の王宮で王妃に与したいと思うのなら、帝国の衣装は必須である。
帝国から嫁いできた貴婦人にとっては、それを用立てることは簡単であった。
嫁入り時に持ってきたものを引っ張り出せば良いだけだ。
次に有利なのは、帝国への留学や行儀見習い経験がある人間だ。
前述の貴婦人より格落ちするとはいえ、きちんとドレスも所持しているし、何より帝国の所作に慣れている。
付け焼き刃ではない着こなしを見せ、特に優れた者は上の者の目に留まることができた。
夏の間中、彼らは徹底して王妃派の重鎮として振る舞った。
誰よりも堅牢で壮麗な身なりに、汗一つ浮かべない完璧な王妃の傍に、同じく完璧な装いで仕え続けた。
烈火のような暑さの中で。帝国文化に馴れ親しんだ者にとっても、決して楽なことではなかったのだ。
ましてこの国の人間にとっては――
「そうだな。ああいった形にするのが最良だろう。
提唱した人間の立ち位置も悪くない」
アーゼリット侯爵は冷静に意見を出した。
帝国貴族の母と妻と親族を持ち、帝国に留学し、事あるごとに交流してはその文化に触れてきた。
そんな彼だからこそ分かるのだ。
この地に帝国文化は根付かない。
少なくとも、完全な形で根付かせるのは無理だ。
文化を構成する条件が、何もかも違うのだから。
ならば、程よい部分で折り合いをつけなければならないのだ。
新型ドレスを打ち出したのがルルシラだったことも、良い方向に働いていた。
色々素行に問題はあるとは言え、帝国出身の貴婦人だ。
これがジディスレン人が始めたことならば問題と抵抗が大きかっただろうが――つまり帝国文化を勝手に改造したということになるから――帝国貴族であり、なおかつジディスレンでも流行を牽引する存在である彼女なら、それほど角は立たない。
アーゼリット侯爵は妻を見やった。
「問題は、王妃陛下がどのように思し召すかかだが……近い内にお前から、それとなく水を向けてくれるか」
「承知しました。頃合いを見てお話し、良さげであればライエラ侯爵夫人をお招きしましょう」




