彼と彼女の、ちょっぴり懐かしい再会☆
中立派の中の中立派の浮かれ女、ルルシラが何か始めたわ☆
今度のお相手はだ~れ?
(by亡霊姫★)
それからもルルシラは次々男を変え、更に情報交換を重ねていった。
こうすることで裏を取れるし、何気ない情報でも組み合わせることで新事実が見えてきたりする。
「それで~シェルベット伯爵夫人の方は、最近どうしているの?」
「そうですね、焦りが見受けられます。
やはり王妃陛下の求心力はお強く、各方面に影響を及ぼしておりまして……最終手段も辞さぬ構えで、根回しと繋ぎを。
今はヴェルカ公爵夫人も手一杯ですし、仕方がないのでしょうが」
「あらあら、そうなの~?」
ルルシラはうっすら苦笑した。
フィオラが味方にしたい相手をかき口説き、必要とあらば寝ているというのは、最早暗黙の了解だ。
多少情報通であれば誰でも知っている。
そしてその方法で味方にできなければ、陥落させた相手を使って排除に動くのだ。
彼女がここで上り詰めるまでの数年間で、それは何度も行われてきた。
ただルルシラは、フィオラ自身はそれが好きではないと見ている。
だが、彼女の最大の武器がそれなのだ。
野望のために、身を守るために、使いたくもない「女」を使わざるを得ない。
ルルシラはそれを、哀れと感じるのだ。
彼女は情報集めという目的もあるが、大部分は好きで遊んでいるから。
「それから……帝国からの新たな使節団と贈答品が、王都の近くまで迫っていると。
あの方もご一緒に到着するそうです。
ですから、公爵家の騒動の決着も近いでしょう」
「……へ~え、そうなの♡いつもありがとう♡」
情報交換を終えたら、軽くキスをして別れる。
今夜だけで五回は繰り返した情報収集だった。
まだ誰かいるだろうかと、踏み出そうとした時だ。
「こんばんは、ライエラ侯爵夫人。少々お話できますか?」
「は~~い……えっ、」
聞こえたのは帝国語だった。
そして、亜麻色の髪をしたその男の顔に、ルルシラは一瞬目を見開いた。
見覚えのある顔だ。それもここ二、三年の話ではない、それこそジディスレンに嫁ぐ前から、よく知っている。
「……え~……何で、ここにいるの~?」
帝国の礼装姿の、一目で王妃派と知れる男はそれに答えず、微笑んでルルシラに賛辞を贈る。
「本日もお美しいですね。
そのドレスも素晴らしいお仕立てです。
いつもながら、貴女の感性と審美眼には感服します」
「……ありがとう♡馴染の職人に作ってもらったんです♡
興味がおありなら紹介しましょうか?」
「それは素敵ですが……遠慮しておきましょう。
残念ながら僕の意中の方は、そういうものを絶対にお召しになりそうにない方なので。
それどころか、怒らせてしまいそうです」
「…………」
察した。ルルシラはにっこりと微笑み、考えを巡らせながら、
「……お願いはな~に?」
「さすが、話がお早い。
……是非秘密裏に、宰相閣下にお会いしたのです。
機会を整えて頂けますか?
無論、それ相応のお礼を致します。
如何でしょうか。中立派の中枢であられるライエラ侯爵夫人ならば、おできになるでしょう?」
「…………ん~……そうね~……」
ルルシラは微笑んだまま首を傾げる。
確かに、それ自体は難しくはない。
けれど考えなければいけないのは実現性ではなく、それが侯爵家にどのような影響を及ぼすかだ。
彼女は帝国出身の貴婦人にしては珍しく、祖国や実家の利益よりも、婚家の安定を重んじる人間だ。
それもあって、実家から男子を産めだの跡継ぎの母になれだの催促されようが、夫を籠絡しろと指示されようが、全て無視して遊び呆けてきた。
けれど、この相手の要請を断るのは難しい。
……というか、流石に寝覚めが悪い。
断った場合、実家が被るかもしれない災難を思えば。
業突く張りの家族だったが、そこまで恨みがあるわけでもないのだし……
「……分かりましたあ。お任せ下さいな♡」
結局ルルシラは、帝国語でそう答えのだった。




