園遊会のその後で②
「ただ、それでも、未だにシェルベット伯爵夫人への支持は根強いようですね」
「やはり、王妃陛下がいらしてから日が浅いものですから……
すぐに覿面の効果が出る、おいうことは難しいかと」
どうやらあの女、下層階級の掌握はそれなりにできているらしい。
小耳に挟んだ断片から推測するに、国民の支持を得るため福祉に尽力し、積極的に立ち回ってきたようだった。
何も困窮時の支援ばかりではない。
まめに親交を深め、困っていれば助け、そうして今の地位を築いたようだ。
特に虐げられている女子どもなどは、率先して庇ったとか。
『あらあ、いい話』
耳が腐り落ちそうだ。
下民どもの馴れ合いなど反吐が出る。
賤民はただ顔を伏せ、上から与えられるものだけを受け取っていれば良いのだ。
『まあクリスはそうよね~骨の髄までオヒメサマだから!!きゃっは!』
「…………それから、もう一つお聞きしてもいいですか?
先日いらっしゃったランドルフ様ですが、あの方からはただならぬものを感じましたの。
何かご存知かしら?」
「…………」
一瞬目を見合わせてから、一斉に喋りだした。
思った以上の情報量が押し寄せてきたが、案の定二人は恋仲だったらしい。
寵姫の心が王にないことは、どうやらここでは公然の秘密らしい。
呆れ果てたものである。
それでよく王妃面して、会議にまで押しかけられたものだ。
一周回って感心した。
しかも更に呆れたことに、あの国王はその噂を知った上でフィオラを熱愛し、執務の上でも全面的な信頼を寄せているらしい。
そして関わりのない貴族女性にも、このロマンスに傾倒している者もいるらしい。
どいつもこいつも、頭に油虫でも湧いてるのか。
愚か。愚か。救いようもない愚劣さである。
そんな屑の尻拭いをさせられるなど、吐き気がする。
吐き気を催すのは今に始まったことではないが、本当に酷すぎて目眩がする。
(……やはり、浄化を――一刻も早く、汚れの元から尽く断たなければ)
『たとえすべてを灰にしてでも、ね?分かってきたじゃない、クリス』
それでも、果たさなければならない責務がある。
そのためだけにここに来たのだから。
いくつか、気になる情報を聞けた。
後はそれをどう使役するかである。
「…………ふふ」
『――ええ、ええそうよ、それでいいのよクリス。
踊りましょうね、最期まで』




