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夢の呪いは古の魔法②
次の瞬間、クリスベルタは目を覚ましていた。
浮かぶ天井の模様が、限界まで見開いた視界に広がっている。
『おっはよ~クリス。今日もギラギラ、いいお天気よ~☆』
「……亡霊姫。寝ている間にまた何かした?」
『なんのこと?妾分かんな~い☆』
そんなことを話していると、すぐに侍女が入ってきた。
控えの間で気配を窺っていたのだろう。
起床の道具一式を携え、準備万端整えてある。
「王妃陛下、おはようございます」
「洗顔を行います。恐れ入りますが、少々お顔をこちらにお向け下さい」
「お着替えの準備を始めます」
音もなく入室してきた侍女たちに取り囲まれ、起床の支度を整えていく。
この辺りの段取りは、皇宮にいた頃と大差ない。
されるがままにしながらも、全身に妙な気だるさが残っていた。
夢は見なかったはずだが、異国での疲れが抜けきらないのだろう。
こんな場所に慣れる日は迎えたくないと、人知れず微笑した。




