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第八話 帝国側にも色々あるんだからねっ!②

「それに、こう申しては何だがお姿はエヴァルス皇族でもイーハリス王族でもない……

レスカリアン王家に近しくあられますからな。

だが、ご気性の方はどうか……」



 かつてイーハリスに赴任していた貴族の一人が回顧するように目線を流す。


「前王妃には以前拝謁する機会がありましたが、たおやかな見目に反して中々ご気性の激しい御方のようでした。

それに増してリウスティア殿下のご気性を継いでおられたならば、異国暮らしはお辛いことでしょうな」


 誰ともなく苦笑が漏れる。

ここに集まっている面々は何十年も皇宮を出入りしている貴族、イーハリスに嫁ぐ前の皇女を知っているものばかりだ。

何者も平伏させるほど誇り高く侵し難い皇女。

あの苛烈な気性で、他国で生きていくのは難しかっただろう。

しかしあの時は、皇女を嫁がせないわけにはいかなかった。

それはこの数代に及ぶ大騒動の後始末であり――滞った血筋の救済であった。


「噂は色々届いておりますが……やはり、盛大に歓迎されているようですね」


「親戚筋に侍女として付き従った者がおりますが、先日憤懣やる方ないと言った手紙が来たそうで。

我々が直接お力になれることは少ないでしょうが……」


「皇帝陛下の威信にも関わることですからね。

我らもお求めがあれば、何かの折にお助けすべきでしょう。

バーデル伯はそのおつもりのようですから、当分は彼に任せましょうか」


「……そう言えばロートベラール公、ご子息がジディスレンにいらっしゃったのでは?

もしかすれば、殿下にお目にかかる機会もおありかもしれませんな」


 突然話を振られた老境の公爵は、むっつりと口を開く。

後妻との間に生まれた三男は既に独り立ちしているが、昔は散々面倒を起こしては後始末に悩まされたものだ。

自然と眉間に皺が寄る。


「とんでもない。あの愚息は殿下の御前に出せるほどの者ではございません。

先だって辞令が下ったばかりでございますし、殿下とは入れ違いになったことでしょう」

 話しかけた貴族も、その語調からこれ以上詮索すべきでないと悟り、早々に話題を変える。周りもそれに否やはないと話を合わせた。杯が進み、重ねられていきながら話題は移り変わっていく。

「新たな国使も決定される時期ですからな。やはりパエルギロ公で本決まりでしょうか」

「そうでしょう。公ならば安心してお任せできるというものです……」


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