いつの世も、一番苦労するのは後始末する奴だもの♡
この火災の首謀者は誰かしら?
誰ということになるのかしら??
混乱混乱、大混乱☆
(by 亡霊姫★)
火災は中々収まらず、朝方になってようやく終息した。
して消火と並行して、官僚たちは各方へ走り回ることとなったのだった。
突然の火災で多くの人間が犠牲になり、王宮は大混乱に陥ったのである。
「これはこれは、宰相閣下にわざわざお越し頂けるとは恐縮ですな」
「この度は申し開きの使用もないことでございます……」
宰相は、帝国国使に対して平身低頭する勢いで弁明と懐柔にかからなければいけなかった。
真っ青な顔に冷や汗を垂らした表情を、老公爵はただ冷ややかに見つめている。
「この事件に関しては何重にも慎重に調査を進めていきたいと思っておりますので、どうか公爵からもお取りなしを願えればと……」
昨夜、パエルギロ公は招待を受けて、偶然火災現場から離れた場所にいた。
帝国の目は火の粉一つ被らず健在であり、だからこそ追及は冷徹なものになると覚悟していた。
「敢えて調査する必要などあるのですか?例の夫人が糸を引いているのは分かりきったことでしょう」
「お疑いになるのも無理はないことですが、予断は禁物です。
原因究明は徹底的に、決して隠し立てをすることはございませんので、どうかここは寛大に収めては頂けないでしょうか……!」
鎮火が早かった場所から、焼け跡の調査は徐々に始まっている。
しかしまだ多くの場所は危険であり、うかうかと踏み入るわけにもいかなかった。
火元は王妃宮、そして数人の死体も見つかっている。
「何を仰るか……畏れ多くも皇女殿下と、そのお子が火に巻かれたやもしれんのですぞ?
その究明に当たる者とは本当に確かな者なのですか?
この件には、帝国の人材を当たらせる必要がありそうですな」
「それは――!!」
そんなことをされてはいよいよ収集がつかなくなる。
ジディスレン王宮で起こった事件、その関係者の詰問に帝国人がなだれ込んでくるようなことになればお終いだ。下手をすれば主権が崩壊する。
小一時間もの間、二人して激しく押し問答していたが、その状態は突如崩された。
乱暴に扉が開かれ、執務室には武装した兵たちが入り込んでくる。気づけば部屋の周りが、兵で取り囲まれていた。
「失礼致します。国王陛下の命により、御二方を拘禁致します」
その手には、紛れもなく国王の印入りの辞令が掲げられていた。