幻影
お久しぶりです。
立て込んでおりましてなかなか更新が進められません。
来年度までは遅くなりそうです。
第一話を少し修正しました。(6/18)
頑張って2,3ヶ月に1回程度は更新しようと思っております。
人間というのは良くできているもので、やろうと思えばなんとかなるらしい。
というのも、俺の目の前にはボロボロの岩竜の死体が転がっている。もっとも、それ以上に俺の体はボロボロだが。服のあちこちが切り裂かれ、原型をとどめていない。よく漫画である、大事なところだけ隠す服のようだ。
俺と岩竜との死闘は割愛だ。思い出すのも辛い。
ただ、これだけは言える。俺は、とことん英雄的であった。
――ピッポーン――
-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:
《Result》
Success
報酬 の 付与 を 開始し ます
しばらく お 待ち くださ い
-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:
いよっ、待ってました。これがあるから戦ったんだ。でなきゃ、苦しい思いをしてまで戦わない。
待つこと数秒。俺の体が不意に光だした。
「なんだ!?」
痛くは……ないな。だが、体の奥がなんだか熱っぽい。風呂上がりのような、そんな感じだ。
-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:
能力 の 進化 に 失敗し まし た
追加 の Quest を 実行し ます
-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:
待て待て。失敗だと? 追加のクエスト? メンドクセー。今の時間なんだったんだよ。いや、本当に。最初から、必要な条件調べとけよ。文句を言ったところで変わる訳でもないんだけどさ。まあいいや。グズグズしてたってしょうがない、やってやろうじゃないか。
ーーピッポーンーー
-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:
《Emergency Quest》
独別幻影 の 制圧
《報酬》
特記無し
Quest を 開始し ます
-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:
討伐でも勝利でもなく、制圧か。ということは、岩竜よりも格上と見ていいだろう。もしくは、不死か。
少なくとも、現状の俺では討伐できる見込みはほぼない、と考えていいだろう。
そして、名前から推測するに、誰かの鏡写しのような敵が現れるだろう。最悪なのは見知った人たち、最高は魔物、といったところだが果たしてどうかな。
そんなことを考えていると、目の前にマネキンが現れた。
拍子抜けだな。もっと戦いにくそうな相手かと思ったが。
「あ、いや。そんなこと無さそうだ」
蠢きながら粘性体になったり、岩竜になったりと、形を変える。そして最終的には――
「俺かよ」
流石、ドッペルゲンガーというだけある。外見は俺と瓜二つだ。俺がもし一卵性双生児だったらこんな感じだったのだろう。
「あとは、どこまで俺と同じで、どこから俺と違うのか、だな」
能力までコピーされているのか。それとも、見た目だけの見かけ倒しなのか。或いは、完全に俺の上位互換なのか。只、『制圧』と言うからには、甘く見積もって俺と同程度、或いはそれ以上の強さと見ていいだろう。少なくとも、岩竜以上だな。
体力と武器の耐久の心配はしなくていい。さっきの岩竜戦で分かったが、ここの空間での消耗は無いようだ。
「とりあえずは、様子見だ!」
気合を入れるための掛け声とともに、“鬼札”を投げる。
独別幻影は指をならしトランプを消し去る。
「なっ!?」
かわされることは想定していた。だがしかし、消されるとまでは思わなんだ。
「だったら……、“幻札”」
これは岩竜戦で考えた技で、“鬼札”に能力“幻術”を付与したものだ。能力の効果で相手は“鬼札”の位置を誤認する。そこで、避けたと思ったところをズドンだ。岩竜には有効だったが果たしてどうかな?
「“変化”」
これもダメか。“鬼札”を花に変えられてしまった。これが通じないようじゃ、勝ち目は少ない。それに、“変化”は現状の俺では一度触れてからでなければ発動できない。それを触れることなく発動したということは、確実に俺よりも格上。下手したら、シュンさんレベルかもな。
勝つという考えは捨てなければな。
「もウ、よいノカ? でハ、こちらカラゆクゾ。“変化-粘性体”」
“変化”を自分に発動するのか。そういう使い方もあるのか。勉強になる。こんな状況じゃなかったら弟子入りしたいところだ。
おっと、あれはまずい。捕食の予備動作だ。
「“陰蔽:自己”」
能力“陰蔽”は極論を言えば、ただ影を薄くするだけの能力だ。暗殺など、気が付かれずに行動を起こしたい時に重宝される能力なのだ。つまり、一言で言えば戦闘向きでは無い。それはそうだ。目の前にいる人物を視界に収め続けているのに、見失わないわけが無い。
だが、相手が粘性体ならば話は変わる。粘性体は触覚以外の五感を持たないのだ。
その一方で、粘性体などの一部の魔物は、魔覚と呼ばれる感覚器官を持つ。これは、周囲の魔素濃度を感知する器官であるらしい。
一見万能に思えるこの器官だが、当然欠点もある。それは、ものと空間の区別がつかないのだ。魔素が濃い場所と薄い場所があった場合、たまたま偏っている空間なのか、一方に魔素を含む物体があるのかまでの見分けがつかない。ならば、周囲と同化してしまえば――
「チッ、考えたナ」
――攻撃を辞めさせてしまうことが出来る。しかも、変化も解除できるとは。主はぬ副産物を得た。
「シかし、忘れてハいるまイナ。我ハ独別幻影ゾ。幻影を生ミ、幻影を生きルモノ。ソの機転に敬意ヲ表し、全力を以テお相手いたソウ。篤と見ヨ!」
その言葉を皮切りに、独別幻影の攻撃は激しさを増した。
数ある作品の中から拙著をご覧頂きありがとうございます。
よろしければブックマークと感想並びに、☆をよろしくお願いします。
面白くなかった★☆☆☆☆
普通★★★☆☆
面白かった★★★★★
と言った具合でいいので
評価されると作者の更新スピードが上がります。




