The Other Side (Side:ハルユキ)
五日目!
よっしゃ!
目を開けると、真っ白な空間にいた。
360度すべて白。壁がどこにあるのか、天井がどこにあるのか、床と壁の境目はどこなのか、全くわからない。
「誰もいないし、普通の喋り方でいいか。んで、俺の特訓はなんなんだ? この気が狂いそうな部屋で精神統一でも知ろってか?」
あ、なんか落ちてる。紙?
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ここから出ろ
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簡潔だな。というか、この字はあのジジイの字か? 何だってこんなところにあるんだ。読みにくい字だな。崩して書くな。
まあ、そんなことはいいや。とにかく、この部屋から出ればいいんだろ? どうすっかな。
「とりあえず、召命“妖-雲外鏡”」
あれ? 出てこない。おかしいな。
ん? 新しい紙だ。
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言い忘れてた。ここ、妖怪喚べないから。
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あんの、クソジジイ。わかっててやってるだろ。
もういい。クソジジイに構ってると余計疲れる。切り替えてとっととでないと。でも、出ったら一発殴る。たぶん躱されるけど。
ふう、落ち着け。
まずは目がおかしくなりそうだから、目をつぶっておこう。これで幾分かましになるはず。
うーん、出ようにも妖怪喚べないんだよな。どうしようか。
「とりあえずステータス見てみよ。たぶん見れないけど。“ステータス”」
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《名前》
蝨溷セ。髢? 譎エ荵
《職業》
髯ー髯ス蟶ォ
《能力》
轣ォ鬲疲ウ
險?隱樒炊隗」
《固有能力》
一子相伝
螯匁?ェ菴ソ蠖ケ
螯匁?ェ蜿ャ蝟
莠碑。碁匆髯ス驕
《加護》
轣ォ縺ョ邊セ髴翫?蜉?隴キ
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駄目だ。相変わらず文字化けしてやがる。
わかるのが、固有能力“一子相伝”だけって。これじゃあ、俺に何ができるのかさっぱりわからん。俺の家業のやつは入ってるんだろうけど。にしても能力が多い気がする。
ということは、だ。
「頑張ってひらめくしかないのか」
結局こういうことだろうな。
雲外鏡は喚べないしなあ。昔やったときはこれでよかったのに、態々難しくしてくれやがったな。ありがた迷惑もいいところだ。
他になんか方法あるか? 妖怪召喚ができないとなると、五行でいくしかないか。なんかいい術式あったかな……。
ああ、いいのがあった。では早速。
「五行陰陽“風陰-断界”」
よし。これなら、空間ごと壊して出られるだろ。
結果は想定通り。空間に裂け目ができ、そこから体を出して出ることができた。
「おい、師匠。出たぞ」
「遅い。もっと早く出られただろう。あと、儂はまだクソジジイと呼ばれるような年ではない」
「もとはと言えば、あんたが先に説明しなかった所為だろうが。それに、あんた今もう千歳超えてんだろ」
「ちゃんと回りを見んからだ馬鹿者。よく見ればわかっただろう。少し色の暗い白で封印の術式が組んであったろう」
「どこぞのモデルみたいなこと言ってんなよ。分かるかそんなもん。あと、都合よく年齢だけ聞こえなくなるな」
「だから、回りをよく見ろといっておるのだ」
ちっ、埒が明かん。
「んで、何だってあんたが俺の夢の中にいんだよ?」
「なんだ、お前知らんのか。儂は勇者パーティーの一人だぞ」
「あんた、今まで一回もそんな話しなかったじゃねえか」
自分の自慢話好きでよく話してたくせに、その話だけは一回もしなかったな。
「まあ、その、なんだ。自分の世界の話じゃないからいいかなって、思ってたんだ。それに、お前がこっちに来ると思わんし」
「それもそうか。ってそんなことはどうでもいいんだって。あの空間から出るだけが特訓じゃないんだろ? 何をやるんだ?」
「一通りの修行はあんたの下でやったと思うが」
「いや、そうなんだがな、ククルのやつがどうしてもって言うから、じゃあちょうどいいし新しい術式でも一緒に作ろうかなって」
「やだ」
何が悲しゅうて、こいつと一緒に術式の開発しなきゃいけないんだ。昔、新しい術式を作るっていったときには俺で人体実験しようとしたやつだぞ。
「あ、冗談だから。怒らないで。ね? ギャー! “閻魔”召喚しないで! こないだ帰ってきたばっかなんだから! 初代に向かって無礼だぞ!」
……、こいつの情けないところが見られたから良しとしよう。
「で、本題は?」
「ああ、お前の左手に封印されているやつを何とかしようと思ってな。お前さん、ステータスがちゃんと表示されないんだろ? それは多分そいつの所為だ」
俺のステータスが見られるようになると!?
「うん、そうなんだけどさ。普通そっちじゃないよね、驚くのって」
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