予想道理の意外な結末
みなさん、6,000,000秒ぶりの更新です。
私用で忙しく、なかなか更新できませんでした。
次は三月中旬を予定しております(もしかしたら早くなるかも?)
「やあ、よく来てくれたね。まあまあ、席に座って」
ギルドマスターの執務室に着いた俺たちは、部屋に入るなり席に着くように案内された。
「じゃあ、行こうか。“桃源郷”」
ククルさんが何やら能力のようなものを発動した瞬間、俺たち五人とククルさんの体が光に包まれた。
「さあ、本題に入ろうか」
光が止むと、親父の書斎にいた。
「えっと……、どういう状況か説明してもらってもいいですか? それと、ここはどこですか?」
「ハハハ、そんなに慌てない、慌てない。ちゃんと説明するから。まずここに君たちを呼び出した理由だけど、大きく分けて二つある。いや三つかな? まあ、どっちでもいいや」
言外に感じられる焦り。
まだ、自分の中でも話内容の整理がついていないのか、ククルさんらしからぬ言動だ。初めて会ったときからお茶目な言動はあったものの、その実、常に冷静ではあった。それ故に俺たちは、何かあったのだろうと察する。
「……なにか問題でもあったのですか?」
カズヤが俺たちを代表して尋ねた。
「察しがいいね。問題がいくつか見つかったよ。それも特大のが。どっちから聞きたい? 君たちに直接関係するものか、そうでないものか」
俺たちに直接関係? 俺たちに何かあるのか? 或いは、クラスメイトたちの誰かが……。
「カズヤ……」
「ああ、大丈夫だツグミ。分かってる。ククルさん、俺たちに直接関係する方からよろしくお願いします」
「分かった。でもその前に、いくつか君たちの疑問に答えよう。とはいっても、ここの空間がどこかを説明する程度だけどね。ここはね、君たちの夢の中だ。その人物が最も安心感を覚える場所が映し出される。だから、君たちがどんな光景を見ているのか知らないし、分からない」
俺が一番安心感を覚える場所、か。
母さんが自殺してからと言うものの、親父とずっと二人三脚だったからな。それも、暫くしたら入らなくなってしまったが。親父は今、元気にしているだろうか。
おっと。今はそんなことどうでもよくて、ククルさんの話を聞かないと。
「それでね、本題に入ろうか。唐突だけど、君たちは洗脳されている」
「「「「は?」」」」
「……」
「いや、何をいってるんですか!? 俺たちは自分の意思で動いてますよ!?」
カズヤの言う通りだ。別に、誰かに指図されて動いているわけではないし、自由意思だって残っている。それなのに、洗脳?
「正確には、ハルユキ君を除く四人だよ。ハルユキ君、君は冷静だが冷淡だ。今回の場合は最適だがね。さて、こんなことを言われだけでは納得できないだろうから、実感してもらおうか。君たち、この世界に来てからおかしいと思ったことはないかい? 例えば、戦うことを強要されているのに、誰も不思議に思わないとかね」
いわれてみれば確かにそうだ。何故、こんなに急なことなのに疑問に思わなかった? 何故、急にこの世界の人間が生きるためにお前たちが死ねと言われて反抗しなかった? 数人は受け入れられない人もいたはずだ。本当に洗脳されているのか?
「自覚を持ってくれたみたいだね。このまま洗脳を解いてあげることもできる。そうすればきみたちは完全な自由意思を獲得する。ただ、かけた術者には気づかれるだろう。君たちは国に召喚されている。つまりは、術者は国の中枢のだれかだろう。そうすると、下手したら国のお尋ね者だ」
「……解かなかったらどうなりますか?」
「少なくとも、お尋ね者にはならないしだろう。ただね、無理矢理戦わされることになるかもしれない。一方で、魔物と戦う恐怖心なんかも軽減してくれる。どっちを選んでも、メリットとデメリットはあるわけだ。それを踏まえて君たちはどうする?」
自由か束縛か。恐怖か無関心か。
俺が選ぶは二つに一つ。
「洗脳を、解いてもらえますか?」
「わかった。じゃあ、“逆夢”」
ククルさんから神秘的な光が発せられた。まるで、子供をあやすような。まるで、春の暖かな日の窓際のような。それでいてどこか恐怖を覚えるような。そんな光だ。
光が止むと、今まで朦朧としていた意識が急に鮮明になっていくような感覚があった。
「成る程な。洗脳から解かれると、さっきまでの俺たちの異常性がよくわかる」
王族への疑念やら国への疑念が止まらないが、話の腰を折ることになりかねない。今は自重しよう。あとで、今後の身の振りを五人で話し合わないとな。
「よし、洗脳も解けたことだし次の話に移ろうか。次の話は君たちには直接関係はしないんだけど、知っておいてほしいことなんだ。君たちの身近に、裏切り者がいる。だけど、その正体を、君たちに明かすことはできない。すまない。ただ、これだけは約束しよう。決して、君たちに危害は加えさせない。精霊たちに誓って約束しよう」
裏切り者が俺たちの近くにいるが、明かすことができない、か。ここが夢の中だからなのだろうか。直感的に俺たちを騙すつもりがないということがわかる。
「さて、最後に、君たちは私の特訓を受けるつもりはあるかい?」
「特訓、ですか? それはどういった内容なのでしょうか」
勇者と共に行動した人直々に特訓をつけてくれるとはありがたい。
「具体的にいようはね、夢の中で魔物と戦ってもらう。夢の中だから死ぬことはないし、精神はともかく肉体的疲労はゼロ、むしろ寝てるぶん体調はよくなる。そして特訓が終わったら、私の能力で現実に特訓の成果を反映させる。どうだい、やってみる?」
「ちょっと、相談してもいいですか?」
「勿論。じっくり議論しなよ。時間はたっぷりあるからね」
ということで、集まって話し合いを始めた。あれ、待てよ……とんでもないことに気がついちまった。
「どうする? 俺は受けてもいいと思うけど」
「私も同意見よ」
「僕もー」
「我もだ」
「なあ、一個聞いていいか? 森精属基準のたっぷりってさ、俺たち寿命で死なな――ガフッ」
「ツグミが馬鹿なことを言ってるのはおいといて、全員受けるってことでいいな?」
ハナ、いきなり腹パンはひどいと思うぞ。いや、変なことを言ったとは思うけど、この仕打ちはあまりにも酷すぎやしないか。
「ククルさん、特訓よろしくお願いします」
「オーケー。“地獄卿”」
視界がだんだんと暗くなっていく。
「辛いものを見ることになるかもしれないけど頑張ってね、私の可愛い息子と仲間たち」
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