疾風
このたび私、赤点をとりまして、現実逃避用に一晩で書きました。
理由は心当たりしかありません。
今月投稿したほかの二話、じつは考査期間中に投稿してるんですよね。
やっぱり課題は出さないといけませんね。
課題を出していなかったおかげで再試になりました。
皆様はしっかりと期限を守ることをお勧めします。
カズヤのファインプレーによって、何とか動き始めた俺たちは保管庫へと向かった。
「保管庫ってどこにあるんですかね? 誰かわかる人います?」
それ思った。どこにあるのか説明もされてないのに、取りに行くの難易度高くね?
「あ、あの! 私分かります。ここを真っ直ぐ行ったところにある扉のところです」
声を上げたのはルチアちゃんか。
「あ、そうなの? ありがとう。じゃあ早速向かうか」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
保管庫の前についたのだが、扉でかくね? あれか。なにか、どでかい魔物とかを保管する時用か? それこそ、岩竜とかみたいな。
「うわぁ、おおきいです」
「すっげ……」
ミレイちゃんとレオさんも驚いてるな。レオさんはB級パーティーらしいから、このくらいの大きさの魔獣と戦ったこともあるだろうに。やっぱ、魔獣と只の扉とじゃ受け取り方が違うか。
てか、これ開けれるのか? 人力じゃ開けられなさそうなんだけど。
「えっと確か……、ここに魔力を流して、と」
――ゴゴゴゴゴゴゴ――
おお、開い、た? なんか思ってたのと違う。なんかこう、仰々しく開くのかと思ったのに、一部だけ穴がいた感じなのだが。
「しょぼ……」
あ、メアちゃんが言っちゃった。みんな言わないようにしていたのに。
「瓶三十本と縄二十本だったかな? 職員がいるって言ってたけど、どこだ?」
「ここだよ~」
カズヤへの返事は上から来た。すごいな、俺が全力で集中しても気配が全然分からない。なんでこのギルドには、ギルドマスターといい、この人といい、こんなにも気配を消すのがうまい人が多いんだ?
「やっほ~。僕はね、ここの職員のシュンだよ。荷物を取りに来たんだよね。そこにあるから持ってっていいよ」
うわ、この人胡散臭え。俺と同じ匂いがする。いや、体臭の話でも、俺が胡散臭いわけでもなくてね。同族嫌悪ってやつ? 嫌悪ではないけど。
「あ、そうだ。一つ勝負をしようか。そこに色んな種類の道具があるだろう? それを、今から全部同じに見えるような幻術を掛けるから、当ててみてよ。あ、安心してね。触ったら危ないものには掛けないから」
いや、何のために……。いや、こういうタイプは人の話を聞かない人だ。というか、無理やり自分のペースに持ち込んでくる。まともに考えても無駄なのだ。
「ヒントとして、最初に十秒だけ覚える時間を上げよう。その後に一斉に幻術を掛けて、位置を入れ替えるから、どこにあるかちゃんと覚えておくんだよ。それじゃあ、十秒のカウントダウン開始。十、九、八」
覚えるたって、結構な量があるぞ。見つけるのに十秒以上かかりそうなもんだが。
えっと、縄が左から三番目、上から二番目。瓶が右から二番目下から五番目。
あ、無理だわ。絶対に覚えられん。
「三、二、一、ゼロ―。ハイ終了。じゃあ幻術を掛けるよ。それっ」
ああ、せめてあと五秒ほしかった。
そんな俺の願い空しく、順に見た目が変わっていく道具達。
なんで、よりによってバラの見た目をしているのだろう。俺への嫌がらせか何かか? ついさっきできた傷に塩を塗るどころか、刷り込まれているんだが。
「さあ、位置を入れ替える、よっ」
想像の倍以上激しく入れ替わっているんだが。
せいぜい、二、三個が同時に入れ替わっていくものかと思ったが、棚にあるものの半分近くが同時に入れ替わるとは。ただ、動いているところが見えるのが唯一の救いか。
「さあ、移動は終了。君達が答える番だ。正解したら、御土産にいいものあげるよ。全員じゃなくても、両方とも当てれた人には、プレゼントをあげちゃおう。ああ、外してもちゃんと必要な道具は渡すから、安心してね」
そこまで不利な条件でもなし。むしろ俺たちが有利になるような条件だな。向こうからけしかけてきて、こちらが不利だったらキレるが。
「どれだ? 一個は分かるんだが、もう一個がな」
カズヤが分かるのは一個だけか。かくいう俺も瓶しか分からないがな。
「さあ、みんな答えは出たかな? じゃあまず、瓶の方から聞いてみようか。瓶はどこでしょう? せーのっ」
「「「左上」」」
「「「右下」」」
「「「ど真ん中」」」
「「「「――え?」」」」
こんなにきれいに三人ずつに分かれることあるか? というか、俺とカズヤで答えが違うじゃないか。どっちか間違えたか? いや、でも俺はずっと目で追っていたから、間違えていないはず。
「全員正解! すごいね。よく、周りの人に惑わされず、自分の答えを自信持って言えたね。えらい!」
どういうことだ? いまいち状況がつかめていないんだが。
もしかして、全員にそれぞれ違った幻術を見せてたのか? でも、いつから?
考えられるのは、俺たちが部屋に入った時と、シュンさんが姿を現した時の二箇所。おそらく後者ではないだろう。魔法の類を発動する様子がなかった。
だとしても、幻術で幻覚を見せるのには本人の演算能力や集中力、魔力量も問われてくる。能力“幻術”持ちの俺が言うのだから間違いない。実際に、城の訓練で使った時は一分程度で切れてしまった。あのときは城の近衛の人に対して使ったから、素で抵抗力が高かったかもしれないが、それでも訓練だから受け入れてくれていたはず。
つまりなにが言いたいのかと言うと、受け入れるという意思があるわけではなく、無意識下で“幻術”に対して抵抗しているはずの俺たちに、ずっと幻術を維持していたわけで。さらに言えば自称お荷物とは言え、B級冒険者のレオさんもいるのだ。それなのにまだ幻術を維持し続けている、底知れない実力を持った実力者というわけだ。
おそらく、俺と同じ結論にたどり着いたであろうレオさんも顔を青ざめさせている。対して、うちパーティーメンバーと戦乙女の三人はまだ、いまいち状況がつかめていないようだ。
「さあ、まだまだ続くよ。呆けてないで、次は縄の場所を当てなきゃ。ほらいくよ、せーのっ」
「左から二番目の下から四番目?」
「「ど真ん中の一つ右」」
「「右端の列の下から三番目」」
「「左から二番目上から二番目」」
「「一番下の真ん中」」
「あー残念。カズヤ君、ルチアちゃん、ミレイちゃん不正解。じゃあ、君達三人にはこれを。後でどんなものか見てみて。他の六人は正解だよ。両方とも正解した君達にはこっち。今はただの黒い球に見えるかもだけど、ギルドの本館の方に戻ったら解けるようになってるから。そして、君達が必要な道具はそこに置いておいたから持っていってね。そろそろ、ギルマスに怒られそうだからじゃあね。あ、ギルマス。いや、ちょっと待、やめ。あぎゃ」
最後までマイペースだな。
あ、消えた。まさかしゃべってた姿すらも幻覚だったとは。ハハッ。これはもう、驚きすぎて乾いた笑いしか出ない。
「嵐が過ぎてった……」
数ある作品の中から拙著をご覧頂きありがとうございます。
よろしければブックマークと感想並びに、☆をよろしくお願いします。
面白くなかった★☆☆☆☆
普通★★★☆☆
と言った具合でいいので
評価されると作者の更新スピードが上がります。




