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ピエロは嗤う  作者: ネギ鮪パラダイス
ギルド編
20/30

武具の名は

すいません、思いっきり間違えてました。


宿屋の人の名前ガルムじゃなくてゴルドです


ガルム誰やねんって思ったかた、紛らわしいことしてしまって申し訳ありません。


すでに修正は終えました。

 銘、銘かー。カードに名前を付けるって難しいな。剣やら刀やらだったら比較的つけやすい気もするけど、カードだからな。


「うーん、なににしようか。ここは無難に“拳刃(フィスト・エッジ)”にするか? いや或いは――」


 果たして拳刃(フィスト・エッジ)が無難なのかどうかは置いておいて、カズヤも迷走中か。


「ククク、迷う余地もなし。“魔現符”と名付けよう」


「んーと、どうしようかな……。よし、“重藤(シゲトウ)”にしよっと」


「私は……、そうね“流月(ルゲツ)”にしようかしら」


 みんなポンポンと名前が決まっていく。

 俺はどうしようか。

 カード、カードか。そもそもカードって武器じゃないだろ。なぜカードになる。

 まあ、ロマン武器として使う分には、厨二心がくすぐられていいんだが。しかし、実際に自分が使うとなると話は別だ。

 そういえば、王宮でロマン武器を支給されたやつらもいたな。あいつらは今頃どうしているのだろうか。バリスタを受け取ってるやつもいたけど、あれをどうやって持ち運んだのかが気になる。

 あれ? カズヤのやつ、王宮で剣を受け取ってなかったか? しかも、魔剣の名を冠してるやつ。


「なあ、カズヤ。お前魔剣……じゃないや、聖剣だったか精霊剣だったかを持ってなかったか? あれどうした」


「ああ、あれな。俺さ、前の世界で空手やってたから、能力(スキル)に剣術はあれど徒手空拳のほうが戦いやすいんだよね。だから返した」


「あっそう。じゃあ、代わりに何か受け取らなかったのか?」


「受け取ろうと思ったんだけど、どうも俺に合わないものばっかり持ってくるんだよね、あの宰相。だから、何も受け取らなくていいかなって」


 ふーん。

 ああ、話がそれた。武器の銘を決めないと。

 こういうのは直感が大事なんだ。元の世界でも、将棋の棋士が一時間かけて考えた手と、数十秒で直感的に思いついた手の八割が一致した、っていう研究結果もあるらしいし。

 ここは何も、カードであることに囚われなくてもいいんだ。現にハナだって、薙刀とは直接的に関係のない、“流月(ルゲツ)”って名前にしてるし。まあ、和風の名前っていう感じで、共通点を見いだせなくもないけど。

 さあ、閃け、俺の直感。

 カード。道化師(ジョーカー)

 よし、決めた。


「お? あんちゃんも決まったって顔してるな。あとはお前さんだけだぞ、えっと……名前何だったか?」


「そういえば自己紹介してませんでしたね。カズヤです」


「あとはお前さんだけだぞ、カズヤ」


 そうか、全然名前で呼ばないなー、とは思ってたけど、自己紹介をしてなかったからか。

 あまりにも自然に、俺たちの適正にぴったりな武器を作ってくれたから、もうしたものだと思い込んでいた。


「あ、自分はツグミって言います」


「くくく、貴殿には特別に我の真名を教えてやろう。我の真名は、土御門(つちみかど) 晴之(はるのぶ)である」


「はいはい、そういうの良いから。すいませんね。こいつの名前は内田 春幸です。ハルユキって呼べばいいので」


「お、おお、そうか。独特な兄ちゃんだな」


 この場面で厨二病を発症するなよ。


「僕はアカギって言います。あの、こんなナリですが一応男です」


「私は、ハナって言います」


「カズヤにツグミ、ハルユキにアカギ、そしてハナだな。相分かった。これからは名前で呼ばしてもらうけど、ええか?」


「はい、是非!」


 ええと? もともとは何の話をしてたんだっけか? あ、そうそう。武器に名を刻むから考えてくれっていう話だったな。

 んで、カズヤがなかなか決まらなくて、決まったかを聞こうとして名前がわからなくて、自己紹介をしたのか。


「カズヤ、いい加減に決まったか?」


「ツグミ、ちょっと待ってくれ。今、候補が三つにまで絞れたところなんだ」


「ちなみに候補とは?」


「“拳刃(フィスト・エッジ)”、“鉄拳(アイアン・フィスト)”、“閃衝フラッシュ・インパクト”」


「あ、そう」


 なんというか、良くも悪くも良いセンスしてるとしか言えない。


「俺は“鉄拳(アイアン・フィスト)”がいいと思うぞ」


 俺個人の意見だが、“拳刃(フィスト・エッジ)”よか、幾分かましだと思う。閃衝フラッシュ・インパクト? 論外だ。何が悲しゅうて、そんな名前を付けにゃならんのだ。カズヤがどうしてもっていうなら、いいとは思うが。


「そうか? ツグミが言うならそうなんだろうな。じゃあそうするわ」


 カズヤの俺に対する信頼は一体何なんだ。いいけど。俺以外の奴にはやるなよ、絶対に騙されるから。

 とまあ、そんなことを思いつつゴルドさんの説明を聞いていた。


「銘を入れるにもいくつか種類があってだな、刀剣は柄の中の金属部分に入れるんだ。薙刀も同じだな。んでもって、弓は手元の辺りだな。只、ツグミとハルユキのやつはちと違うんだ。武器自体に銘を刻むわけじゃなく、武器に銘を記憶させるんだ」


 記憶? 無機物に? いやまあ、紙は有機物なんだけど。そういうことではなく。


「よくわかってなさそうだな。じゃあ、一つ質問をしよう。お前さんたちの武器と、三人の武器の違いは何だと思う?」


 違い。

 ぱっと思いつくことといえば、物理攻撃のみか魔法攻撃も可能か、っていうところだとは思うが。あとは、札型ってところか。


「まあ、これくらいはわかるだろう。そうだ、お前さんたちの武器は魔法を使える。じゃあ、魔法を使えるようにするにはどうしたらいいと思う? 結論から言おう。これには二つ方法がある。武器の制作過程で、何かしらの魔法を武器に刻み込む方法が一つ。もう一つが、武器の制作過程で、魔力を流し込むことだ。前者の場合は決まった魔法しか撃てないが、魔力を持っていれば基本誰でも撃てる。ただ後者の場合は別だ。制作過程で流し込まれた魔力に、あとから属性を与えることだ。それ即ち、『記憶』させる。それを応用して、属性がない純粋な魔力、言うなれば無属性の魔法を込めるんだ」


 なるほど? 魔力を与えながら銘を授けると言った感じになるのか?


「まあ、見てもらった方がわかりやすいだろ。やってみせるで、ハルユキ、ちょっとお前さんの護符を貸してくれんか。確か、お前さんのは“魔現符”だったか?」


 そういったゴルドさんは、護符を何やら怪しげな魔法陣の上に置いた。


「これで準備は完了だ。そしたら、ハルユキ。この魔法陣に魔力を込めながら、自分の付けたい銘をイメージするんだ」


「ここに魔力を込めて、銘をイメージ……」


 うわっ、魔法陣が光り出した。いや、魔法陣だけじゃないな、光が移っていくように護符も光り出してる。


「よし、ええ感じだ。そしたら『“命名-魔現符”』と祝詞を唱えろ」


「“命名-魔現符”!」


 あれ? 光が大きく……、うわっ弾けた!?


「ぐわぁ、目が目がー」


 ……カズヤが光を直視して、どこぞの大佐みたいなことを言っているが無視しよう。


「よし、上出来だ、出来たぞ。“魔現符”」


 なんか、色が白から薄い紫になった?


「この色はな、“魔現符”内の魔力が、ハルユキの魔力に同調したから出た色だろう。人それぞれ違う波長を持つで、やればやるだけの色が生まれる。次はツグミ、お前さんの番だ」


 やっとか。長かったと言うべきか、しかしあっという間でもあったな。


「もう、銘は決まってるんだろう? そしたら、手順は同じだ。できるな?」


「はい」


「よし、なら行け」


 魔法陣にカードの束を置いて、魔力を流し込む。そして銘をイメージ。このカードの銘は――


「じゃあ、祝詞を唱えろ」


「“命名-鬼札”」


 ――鬼札。

 花札の中で、鬼札(ジョーカー)たる存在の名を、俺は武器に刻んだ。

数ある作品の中から拙著をご覧頂きありがとうございます。


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普通★★★☆☆

と言った具合でいいので


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