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ピエロは嗤う  作者: ネギ鮪パラダイス
ギルド編
19/30

夜明けて

一週間を「そんなこんなで一週間」の一言で済ませたのに、半日で一万文字以上使ってる人がいるらしいですよ。

「おいっ! ツグミ、いい加減起きろ!」


「んん? もう朝か。もうちょっと寝かしてくれ」


「お前、それ三回目だぞ……。いいから起きろ」


 あれ? そんなに起こされたか? 全然記憶ないや。

 まだ眠いけど、起きないとまずそうだから起きるか。


「起きた起きた。だから揺らすのをいい加減やめてくれ」


 ったく、誰のせいだと思ってんだよ。空が白んでくるまで話しやがってからに。

 というか、なんでこいつはこんなに元気なんだ。あー、ねみぃ。


「よっしゃ、起きたならとっとと朝飯食いに行くぞ。今日のメニューは礫鶏(ペブルバード)の目玉焼きだとよ」


 目玉焼きかぁ、久しぶりに食べるな。王宮では、いつもすごい豪華な食事食べさせられてたから。

 でも、元の世界のこのくらいの時代観だと、衛生管理が難しくて高級食じゃなかったか? まあ、ファンタジーだし細かいことは気にしないでおこう。多分魔法的な何かなんだよ。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「あいよ、礫鶏(ペプルバード)の目玉焼きとパン、そしてスープだ。そして、そこの四匹。お前さんたちには、礫鶏(プペルバード)の胸肉だよ」


 おお、うまそう。

 誇張なしで、こっちの世界に来てから、元の世界よりも良いもの食ってないか? 向こうの世界だと火の車とまではいかないけど、そこそこぎりぎりの生活だったから。異世界転移様様だな。


「さすが女将さんっすね。こんなにうまい朝ごはんなんて初めて食べましたよ。やっぱり、此処の宿を選んで正解だったな」


「王宮のごはんは豪華だし、おいしいのは間違いないんだけど、緊張であまり味わえなかったからな」


「実に美味なり」


「ほふほひほひひひへふ」


「金堂君……落ち着いて食べなさいよ」


「……ゴク、ほんとにおいしいです」


「調子のいいこと言ってくれるじゃないか。そんじゃあ、これをサービスだよ」


 そう言ってアリエラさんが差し出してきたのは、一人ひとりにあった武器だった。

 カズヤにはナックルダスター、俺には金属製のカード、ハルユキには護符、アカギには鉄弓、ハナには薙刀といった具合だ。しかもこれらに加えて、俺たちについてきた四匹の分まである。……動物たちがどうやって戦うのかは知らないが。


「え、もらえないですよ。申し訳ないです」


「良いんだよ、若いもんが遠慮すんじゃない。これはね、あたし達があんた達を気に入ったからこそなんだよ。第一、気に入った相手たちに死なれたら目覚めが悪いじゃないか」


「そうですか……。ではありがたく受け取らせていただきます」


「おう、そうしな。今後その武器の修理やら、改造やらしたくなったら安くしてやるよ」


 ゴルドさんまで。

 こんなに厚待遇で、人とのつながりはあったけえなあ。


「「「ありがとうございます!」」」


 それから俺たちは、二人、いや此処は尊敬の念を込めて御二方と呼ぼう。御二方に感謝しながら朝食を食べた。

 もう感謝の念に堪えねえよ。これはずっと恩を返し続けるしかない。


「ところでお前さん達、それの使い方はわかるか? カズヤとアカギ、それとハナといったか? その三人はわかるだろ。でもよ、ツグミとハルユキの二人とも使い方大丈夫か?」


 確かに。

 護符はまあなんとなく想像つくけど、俺のカードはどうやって使うんだ? 普通のトランプみたいに使うのは難しいし。投げるのか?


「とりあえず、全員分の使い方を説明するか。まずカズヤからな――」


 ゴルドさん曰く、

 ナックルダスター――手で握り込んで使用する。金属部分で攻撃しないと自分が反動でダメージを受けることがあるので、注意が必要。要するにメリケンサック。

 金属製カード――薄いカードを投げて、遠くのものを切ることができる。厚めのカードは、簡単な魔法陣なら刻むことができる。再使用可能。手を切りかねないので取扱注意、

 護符――これはゴルドさんではなく、アリエラさんが作成したものらしく、アリエラさんから説明があった。曰く、まっさらな巨大な紙のようなもので、自分の好きなように魔法や呪いを入れることができる。俺のもらったカードとは違い、魔法や呪いの効果や規模に制限はない。破れると誤爆することがあるので、大切に保管すべし。

 鉄弓――鉄弓と言っているが、別に鉄製ではない。特殊な合金を用いており、鉄のような強度と木材のようなしなやかさを兼ね備える。少し重いので取り回しには注意。

 薙刀――以前この店にやってきた人が持っていた薙刀と刀を参考にしたらしく、正確に作れているかは分からないとのこと。特に、切れ味は再現できなかったようだが、ハルバードのような使い方が可能になった。長いので周囲に注意。

 従魔用兜――俺についてきた蛇用の兜らしく、動きや視界を遮らず、弱点を守るようにしてあるとのこと。放熱しにくくなるので、変温動物の蛇には注意が必要。

 従魔用爪――アカギの猫用の爪。足に装着することで自分の爪が割れる心配がなくなり、攻撃力が増す。常時付けていると自分を傷つけかねないのでこまめに着脱すべし。

 従魔用鉤爪――ハルユキが連れてきた鳥用の鉤爪。猛禽類のような狩りを再現することが可能。ただし、重量があるので機動性が失われる。

 従魔用鎧――ハナの連れてきた亀の鎧。こちらの世界の亀は、自分の成長に伴って殻を大きくして成長する個体と、元の世界のヤドカリのように甲羅を変えるものがいるらしい。この亀の場合は後者だったようで、鎧を目の前に置くとすぐに入れ替わった。成長に伴って定期的なメンテナンスが必要。

とのことだった。


「久々にこんなに張り切っちまった。なかなか遣り甲斐のある仕事だったよ。とはいっても、俺が新しく作ったのはカードくらいなもんだが」


「あたしも久々に護符なんて作ったね。腕が落ちてなくてよかったよ」


「最後にお前さんたちにやってほしいことがある」


「なんでしょうか」


「その武器やら防具やらの銘を決めてほしいんだ。俺は基本的に、使う人に決めてもらうようにしてるんでな」


「なぜですか?」


「そんなに深い理由はありゃせんよ。自分で銘を決めた方が、愛着を持って使ってもらえるようになるだろ?」


 なるほどね。拾ってきた犬を一時保護のつもりで家に連れてきたけど、名前をつけたら愛着がわいてしまって里親に出せない、とかそういった類のものと同じ感じだろう。

 それよりも、銘かあ、なにがいいかな。

数ある作品の中から拙著をご覧頂きありがとうございます。


よろしければブックマークと感想並びに、☆をよろしくお願いします。

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普通★★★☆☆

と言った具合でいいので


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