宿探し
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心惜しくもありながら4匹と別れ、ギルドに報告へといった。
「こちら依頼達成料30Vになります。尚、落し物捜索のクエストについて期限は1週間後までとなっております。お気をつけください」
やはりそこまでの金額にはならなかったか。
因みに、Vとは通貨の単位だ。小さい方から順に、I、V、Xとなっている。100Iで1V、1,000Vで1Xだ。1Iがおよそ日本円で1円程度に値する。
即ち、30Vは3,000円くらいになる。割がいいように見えるが、これは人数な応じて増える仕組みだったので、1人あたり600円だ。そう考えると、妥当だろう。
とは言え、この世界は物価が安い。
それもそうだ。人の命なんて、吹けば消えるようなこの世界。生への関心は酷く薄い。故に、命へお金をかけることはなくなる。すると、ものの価値は下がる。
……辛気臭いことを考えると、暗い気持ちになるな。
切り替えよう。
「皆様、よろしいでしょうか。王より、皆様の世話役を仰せつかりましたミソナでございます」
「ああ、ミソナさん。来てくれたんですね」
久方ぶりに見たミソナさんの顔。出会ったばかりとはいえ、知り合いを見つけると心が安らぐ。
因みに、今はメイド服ではなく、町娘といった感じの服装になっている。
ギルドマスター? あの人は別だよ。笑顔が芝居かかってると言うか、胡散臭いもん。
「では皆様、今夜の宿探しと参りましょうか。とはいえ、一から全てを見て回るのは大変でございますので、いくつかの候補に搾っておきました。皆様は、その中からお選びください」
そう言ってミソナさんは宿の名前、値段、サービス内容が書かれた紙を渡してきた。
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《小鳥の止まり木亭》
1泊1部屋:25V
備考:朝食付き
《猫の憩い亭》
1泊1部屋:45V
備考:朝夕食付き、お手伝いしてくれた方は半額
《龍の酒場》
1泊1部屋:30V
備考:朝夕食付き、武具の手入れもします
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1番安いが、夕食がない《小鳥の止まり木亭》。
労働が条件だが、《小鳥の止まり木亭》よりも安く、夕食も付く《猫の憩い亭》。
ほかより若干高いが、1番サービスがいい《龍の酒場》。今回は武器を全く使わなかったが、今後使うようになった時には《龍の酒場》がいちばんお得なような気がする。
ふむ、それぞれに違った特徴があって悩むな
「補足になりますが、一般的に武具の手入れは10-:-:50V程の金額となっております。なので、私のお勧めは《龍の酒場》でございます」
「やっぱり、《龍の酒場》が良さそうだな。ツグミ、ハナ、ハルユキ、アカギ、4人もそれでいいか?」
「いいと思うぞ」
「異論はないわね」
「異議なし」
「いいと思うよ」
満場一致で決まったところで、ミソナさんの案内の元《龍の酒場》に向かうことになった。
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「皆様、こちらが《龍の酒場》でございます」
「ほへー、立派なもんだな。これで30Vか。だいぶお得なんじゃないか?」
カズヤがそんな気の抜けるような声を出しながら驚いている最中、ハナとハルユキは我関せずといった具合に入店する。
「お邪魔します」
「頼もう」
店内は薄暗いが嫌な暗さではなく、趣深いといった感じだ。壁には素人目に見てもわかるほどの業物の剣や、儀礼剣と呼ばれるような、意匠を凝らした剣が何本も飾られている。
「おぉ、いらっしゃい。武具の手入れか? それとも宿泊か? 宿泊なら今、3人部屋が2部屋しかあいとらんでの」
店の奥から声をかけながら、好々爺然とした人物がでてきた。
随分と小柄な人だな。元々身長が小さいのか、或いは、人間とは違った種族なのか。まさか、土小人族では!?
「ゴルド様、お久しゅうございます」
「おお、オドんとこの嬢ちゃんか。今日はどうした? 修理はまだ先じゃないか? それともなんだ、変な使い方でもしたのか」
「いえ、今日は修理ではなく付き添いです。それとゴルド様、人前ではそのような話し方は改めた方が良ろしいかと」
「こりゃまた、今日は一段と手厳しいな。この喋り方は生来のものでね、なかなか変えれんよ。で、要件はなんだったかな。そうだ、付き添いだったな。その別嬪さんたちかい?」
べ、別嬪さんって。初めて言われたぞそんなこと。カズヤやハナ、アカギは美形だと思うが、俺とハルユキは美形と呼ばれる部類では無いはず。むしろ普通くらいだ。
「ええ、まあ。それとこちらの割札を」
「確かに受けとったよ。半額は城に請求しとくでね。んで別嬪さんたちは武具の手入れかい? 宿泊かい?」
「あ、宿泊です。ミソナさんも含めて6人なんで2部屋――」
「待ってちょうだい。3人部屋が2部屋空いてるのよね? まさかだけど女子二人と男子一人が同じ部屋で寝るっていうのかしら?」
カズヤの返事をさえぎってハナがそう言った。
「そういや、そうだったな。どうすっかな」
正直俺は、3人部屋に男子四人で寝ても構わないのだがな。ただ、店主のがルムさんが許可してくれるかどうか。
「それなら問題ないよ。広めの部屋だから寝床を1個増やせば四人は十分に寝れるから。あんちゃんたちが良ければだけどね」
「特に問題ないよな?」
「全然問題ない」
「うむ」
「大丈夫だよ」
「わかった。ちょっくら準備してくるで、夕飯でも食べて待っとってくれや。そこのテーブルがあるところに座ってくれれば、料理をうちのかみさんが持っていくでな」
そういうとゴルドさんは店の奥へと消えていった。
あれ、戻ってきた。
「1個忘れとった。そのペットだか従魔だが知らんがその子たちはどこで寝る? 馬小屋でもええが、そのサイズなら部屋でもええぞ」
ふと足元に目をやると、そこには先程別れたはずの4匹がいた。
「お前たち付いてきたのか! 愛いやつめ」
カズヤのテンションが変なことになってるが、これはどうしたものか。
この際、付いてきてしまったものはしょうがない。ここはダメ元でお願いしてみるか。
「すみません、追加でお金は払うのでこの子達の餌も用意して貰えますか?」
「お金はええよ。この子達の餌だったな。準備するで一緒食堂でに待っとってくれや」
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