かわいい出会い
えー、皆さんお久しぶりです
誠に申し訳ありません
楽しんでいただけたら幸いです
ということで、探し物をすることになった俺たちは、東西南北にそれぞれと、中央の噴水広場付近といった具合に、五人それぞれで別れて探すことになった。
話し合いの結果、分担は――
――東方面は俺、西方面はアカギ、南方面はハルユキ、北方面はハナ、中央はカズヤ――
――ということになった。
特にスラム街なんかはないからいいんだが、一人だと迷子……じゃなくて知らない人に絡まれそうで怖い。
まあ、絡まれたら絡まれたでなんとかするしかない。
とにかく、自分に都合の悪いことは考えないことにして、いいことだけ考えよう。
ん? カズヤが俺を呼んでる。どうかしたのだろうか。
「いいかツグミ。一時間に一回、俺が魔法で空に虹をかけるから、それに向かって帰って来いよ? 四時間後、即ち四回かかったら見つかっても、見つからなくても、帰ってくること。いいな?」
「わかった、助かる。どうやって帰ってこようか迷ってたんだよね」
やっぱり、持つべきものは友だね。こんなにも俺のことを考えてくれているなんて。
「よし、これで行方不明になることもないだろうし、探しに行くとするか。で何を探すんだっけ?」
「はあ……、やっぱりそうなると思ったわ。聞きもしなかったものね? 竜のぬいぐるみよ。水色のやつね」
「なんでよりによって竜なんだ? 普通、クマのぬいぐるみとかじゃないのか?」
自分で言っといてなんだが、『普通』ってなんだ?
「この町の守護竜のぬいぐるみらしいわよ」
「なるほどね、それは大切なんだろう」
守護竜とはこれまたファンタジーだな。
これは何としてでも、探し出してあげないと。
「さあ、分かったならさっさと行きなさいよ」
「はいはい」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
二時間と少しが経過するが一向に見つからない。
町の人にも聞いてみたが、知らないみたいだし。
ちなみに、一時間おきにかかる虹に町の人は困惑していたみたいだった。
まあ、雨も降ってないのに虹がかかるのはおかしいもんね。きれいだったから特に気にしていないみたいだったけど。
――カツン――
ん? なんだ、今の音。
誰かにつけられてる!? そう思って後ろを確認したのだが、そこに居たのは黄頷蛇のような子供の蛇だった。
個人的に、蛇は可愛いから好きだ。
「どうしたんだ、お前。なにか探してるのか?」
『お兄ちゃん、どうしたの?』
今の声はなんだ? 蛇が喋った気がしたんだけど。
「今の声は、お前の声なのか?」
『何のこと?』
そうか、自分の声かと聞かれてイエスとは答えられないよな。
そんなことよりも、蛇の声が聞こえることの方が問題だ。
思い当たる節があるとすれば、能力“言語理解”の『翻訳』くらいなものだが。果たして、動物の声までわかるものなのか?
仮にそうだとしたら、虫なんかはそこら中にいるからすごいことになりそうなものだが。
まあ、いいや。めんどくさいことは考えない主義だ。
「それで、どうしたんだ?」
『一緒に行っていーい?』
「おう、いいぞ」
超可愛いんだけど。ペットにしたい。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
とまあ、そんなこんなで二時間がたち、集合の時間になった。
「見つかったか?」
「なかった。聞いてきたってことはカズヤも見つからなかったのか」
「まあな」
そんな簡単に見つかるなら、クエストになってないよな。
「なあ、お前ら、ひとつ聞いてもいいか?」
何か疑問があるのだろうか。薄々勘づいているが。
「なんで、全員何かしらの動物を連れているんだ!?」
カズヤが言った通り、動物を連れていたのは俺だけではなかった。ハルユキが雲雀を、アカギが白猫を、ハナが子亀をそれぞれ連れていた。
「くくく、我が庇護を求めし神鳥がいた故に、な」
また、ハルユキがなんかいってやがる。どう見てもただの小鳥だろうが。
「探してる時に見つけてさ、そのまま懐かれちゃった。可愛いよねぇ。僕猫好きだったから、このまま飼おうかな。あ、飼い主とかいるのかな。いたら返してあげないとね」
「私も同じよ。水路の近くを探してる時に見つけたのよ。親とはぐれたみたいだったから保護したの」
皆同じような理由だったか。俺の場合はこいつが着いてきたのだが。
「お前らが羨ましいよ。俺も可愛いペットが欲しい。いや、というかください。そうだ! この後買いに行こう!」
「アホか! んな事できるわけがねえだろ。ただでさえその日暮らしなんだ。今日の宿すらも決まってない俺らがこの子達を飼えるわけがないだろ」
俺もこうは言ったが、飼えるものなら飼いたい。駄菓子菓子.......じゃなくて、だがしかし、やはりその日暮らしの俺らには如何せん金がない。いたし方あるまい。
「今日は見つからなかったということで報告して、明日また探しましょう。あとは今日泊まる宿を探すわよ」
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