初クエスト
約一か月ぶりの更新です。
皆さんは豆まきしましたか?
部屋を出た俺たちは簡単なクエストを受けてみることにした。
「何か地味なクエストしかないな」
「しょうがないでしょう? まだ駆け出しなんだから、そんなに派手なクエストがあるわけないでしょう」
「でもよー、ゴミ拾いに探し物、挙句の果てにはドブさらいだぞ。やる気でねーよ」
カズヤが文句を垂れていた。
はっきり言って、ウルサイ。
「そう、じゃあカズヤはそこらで野宿するということね」
「いや、そういうことじゃなくて……」
「あら、そうなの? じゃあ何も文句ないわね?」
「はい! 言いません! すいませんでした!」
カズヤ……、リーダーなのに完全に主導権を失ってやがる。ハナに反抗なんかするからだよ。自業自得だ。
「こんなもの学校の掃除と比べたら何でもないわよ。ほらそこの三つ取って受付行くわよ」
学校の掃除ってこれより辛いか? そんなことない気がするけど。よっぽどドブさらいの方がきついだろ。
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無事、三下に絡まれるようなこともなく依頼を受注することができた。
只、少し絡まれてみたかったという気もする。やっぱり異世界ものと言ったら、ギルドで絡まれるっていうのは王道だから回収しときたかったんだが。あんなふうにガラの悪い奴はそうそういないということだろう。何しろ、ギルドの建物の中での暴力沙汰は御法度何だからわざわざやってくる奴もいない。
そんなこんなで噴水広場に到着した俺達は、二手に分かれることにした。俺、カズヤ、ハルユキの三人の側溝掃除組、ハナ、アカギの二人のゴミ拾い組、という具合だ。
探し物は最後に全員でという流れになった。対象はこの町全域なんだ、皆でやった方が効率は圧倒的に良い。
作業開始からかれこれ二十分は経ったんだが、俺たち二人とカズヤの作業スピードの差が半端じゃない。
「カズヤ、お前そんなに体力あったっけ? せいぜい俺と同じくらいだったよな?」
「そうなんだけど、なんか疲れないんだよね。魔力が少し減ってるから、無意識のうちに聖魔法で回復してたのかも」
「え、ずるい。俺にもかけてよ。手がパンパンでつらいんだよ」
「我も頼むぞ」
「よし、わかった。“聖魔法‐回復”」
「これで我の封印されし力を発揮できそうだ」
「おお、すげえ。体が軽くなった。よしこっからギアあげてくぞ、あと四十分で全部終わらせよう」
「無茶言うな。二十分で四分の一しか終わってないんだぞ」
「それは疲労も込みでだろ? 疲れるたびに“回復”し続けたら十二分に終わる」
「それも一理あるか。なら勝負だ、誰がより多くの面積をやれるかな? よーい、どん!」
***アカギ視点***
「じゃあ始めましょう。金堂君は広場のゴミを一箇所にまとめてちょうだい? そしたら、私がゴミ袋に入れるから」
「うん、じゃあ少し待っててね。それよりも久しぶりにふたりで行動する気がする」
「そうね、いつもあの三人がいたものね。あの三人には負けたくないわ」
「そうだね。よし、頑張っちゃおう」
それから落ち葉を集めたり、ゴミを拾ったりしながら十五分がたった。
意外と重労働でインドア派の僕には少々厳しくなってきた。
「ハナちゃん、ちょっと疲れてきちゃった」
「そうね、ちょっと休憩しましょうか」
「ありがとう。やっぱり、僕男の子なのに体力ないのかな……」
「そんなことないわよ。私の場合は疲れてきたら“回復”をかけて体力回復してるだけだから」
「でも、あの三人はまだまだ動けそうだよ」
「馬鹿は風邪引かないって言うでしょう? そういうことよ」
そうか、魔法を使えば簡単になるのか。だったら僕だけの方法がある。
その前にまずは体力を回復させなくちゃ。
「はは、そうだね、ありがとう。因みに僕にも回復かけられる?」
「出来るけど、いいの? 休憩短くなっちゃうわよ?」
「大丈夫、僕には僕の強みがあるから」
しれっと休憩を短くしてくる辺り、スパルタだなあ。
そして、休憩を取り終えた僕たちは、作業を再開することにした。
「それで、何するの?」
「まあ、見ててよ。“風魔法‐風魔嵐”!」
「そ、それって大規模魔法じゃない!? そんなのを町中で使ったら大災害に……って、なってない? もしかしてあの小さい飆が“風魔嵐”なの!? 凄まじい魔力制御技術ね」
「お城の図書館の本に書いてあったんだけどね、魔法って言いうのはイメージなんだ。“風魔嵐”や“火魔球”っていうのは、体系化されたもののうちの一つに過ぎない。能力っていうは、あくまでも能力が使えるようになるだけなんだ。“火魔法”なら火が、“風魔法”なら風が起こせるようになる、といった感じでね。皆が皆同じような魔法を使っているのは、誰かがやっているのを見て、イメージがしやすいからなんだ。宮廷魔導士の人にはオリジナルの魔法を使っている人もいっぱいいたしね。結局は魔力制御技術が必要なんじゃなくて、想像力が一番大事ってことだね」
「へえ、そうだったのね。というか図書館にそんな本が置い
てあったなんて、行ってみるべきだったかしら」
「そんなことないんじゃない? ハナちゃんならそのうち気づいただろうし」
「そう? ありがとう」
このまま放置しておけば、ごみを集めて一か所に山にして固めてくれるはずだし休憩にしようかな。
それよりも気になるのがあの三人。なんかすごい盛り上がってるけど何かあったんだろうか。
さっきとは比べ物にならないくらいの勢いで作業が進んでるし、みんな鬼気迫った表情でやってるけど。
まあ、僕には関係のない話だよね。
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「アカギ、ハナ、俺たちのほうは終わったけどそっちはどう?」
「ああ、もう終わったの? 意外と早かったね。僕たちは今終わったとこだよ。それよりも一つ聞いてもいい? なんで三人分の荷物を一人で持ってるの?」
これは勝負で負けた結果、一日荷物運びをさせられるという罰ゲームなのだが、あえてそこは言うまい。
「ん? まあ気にすんな」
「説明しよう! こいつは自分で勝負を持ち掛けたのにもかかわらず、惨敗し、罰として荷物運びをやらされているのだ!」
俺の名誉のために黙っていたのに、ハルユキの奴言いやがった。なんてひどい奴だ。
そんなことよりも、俺たち三人は肉体的疲労はともかく、精神的疲労で疲れてるのに二人は全然そんな気配がないな。いくらハナが聖女だからと言って精神的疲労までは取れないだろうし。それにアカギは体力がないから、まだ元気っていうのも不思議なんだよね。
「そんな茶番はどうでもよくて、なんで二人とも元気そうなの? 俺たちは精神的疲労でクタクタなのに」
「フフッ、それはね、魔法を使ったんだよ! 具体的に言うと、風魔法で飆を起こしてごみを一か所に集めることで、ほとんど動かずに作業を完了させたのさ!」
魔法か。俺は魔法が使えないから、その発想はなかったな。
いつか魔法使えるようにならないかな。魔法じゃなくてもいい、かわいい使い魔とかでもいいから欲しい。何かファンタジーっぽいものを……。
「そんな無駄話はいいから、早く次のクエスト行くわよ」
ハナの一声で俺たちは次のクエストに行くことになった。
アアギはかわいい系の男の子です。
そして、学校中の男子からも女子からもモテていました。
つまり男の子であり、男の娘です。
アカギゆるさん。
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