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AI屋台 第9話「奇跡のマイク」

作者: エドゴン

【1.序章】


佐藤「俺は佐藤。売れない歌手である。歌手と言っていいのかわからないほどの活動しかできていない。路上ライブをしても一人や二人くらいしか足を止めてもらえない。歌のレベルが低いことに原因があった。」


佐藤は自覚していた。自分の歌声を録音して聴いても普通のカラオケレベルであることを。歌手としては全然だった。


自作の歌を3曲ストリーミング配信しているが視聴回数は0回だった。誰にも自分のことを知られていないため当然だった。自分では結構いけていると思っているが見向きもされない。


路上ライブ中にCDの販売もしているが1枚も売れなかった。世間の目は厳しかった。


佐藤はSNSやブログで自作の歌をPRしているが影響力がなく効果は皆無だった。


今日も佐藤は路上ライブをしていた。


佐藤「あ〜あ〜、マイクテスト。」


マイクテストが終わり歌い始めた。


佐藤「本日は3曲をお届けします。」


ストリーミング配信をしている3曲を歌い上げるも、全く反応はなかった。誰も足を止めなかったのだ。


佐藤は自分は歌の才能がないのではないかと不安を感じることも多くなっていた。


【2.奇跡のマイク】


路上ライブの帰り道、佐藤はAI屋台を発見した。


佐藤「こんなところに屋台かぁ。珍しいな。」


エドゴン「いらっしゃいませ!」


佐藤「こんなところに屋台なんて珍しいですね。何が売られているんですか?」


エドゴン「AIスキャンを実施していただき、その時のあなたに必要な商品が売り物でございます。」


佐藤「何か怪しいけどAIスキャンをお願いしてみようかな。」


エドゴン「かしこまりました。」


びろろろろーん!!


わずか3分ほどでAIスキャンは終わった。


エドゴン「おお、これは!奇跡のマイクでございます。」


佐藤「奇跡のマイク?どんな商品なんですか?」


エドゴン「それは使ってみなければわかりません。」


佐藤「効果もわからずに売っているんですか?でもわかりました。奇跡のマイクというからには歌が上手になるようなマイクなのでしょう。いくらですか?」


エドゴン「1万円でございます。」


佐藤は奇跡のマイクを購入した。


【3.路上ライブの奇跡】


早速佐藤は路上ライブで奇跡のマイクを使用してみた。するとどうでしょう?今までほとんど足を止めなかった通行人が次々と足を止め始めた。


一人、二人、そして十人、どんどん増えていった。


佐藤「マジかよ。こんなに人に見られて歌ったことがないから恥ずかしいな。」


路上ライブも無事に終わり佐藤は手応えを感じた。


佐藤「このマイクはすごいな。奇跡のマイクとは、歌を上手に歌えるようになって人に感動を与えられるマイクだったんだ。」


佐藤は毎日路上ライブをした。「歌が上手な男性が路上ライブをしている」という噂は瞬く間に広まった。毎日50人を超えるお客さんが佐藤の路上ライブを見にきていた。


それと同時にストリーミングの音楽ダウンロードも増えていった。


【4.新曲の発売】


これをチャンスだと捉えた佐藤は新曲を発表した。各種ストリーミングサイトでダウンロード販売を開始。歌はあまり上手ではない佐藤だが、作曲の才能はそこそこあったようで、路上ライブでの人気との相乗効果もありダウンロード数は伸びていった。


この新曲は話題にもなり、過去の3作品にも注目が集まった。佐藤は新曲を発表してから初めての路上ライブを行うことにした。


パチパチ。


路上ライブの開始前から人が集まり、拍手が起きた。SNSで告知をしていたからだ。この日も奇跡のマイクを片手に歌うことにした。


歌い始めて5分ほどで人だかりはすごいことになっていた。順調にライブも終わり佐藤は声をかけられた。


男性「うちの事務所に所属してみませんか?」


それは事務所へのスカウトだった。


男性「楽曲の販売、プロモーション、MV制作を引き受けます。ライブや音楽番組にも出演できるでしょう。」


佐藤「私でよろしいんですか?」


佐藤は聞き返したが内心は喜んでいた。


【5.音楽番組】


佐藤は事務所に所属し活動の幅を広げていった。今までは路上ライブをするしかなかったが、楽曲が人気になったこともあり音楽番組にも呼ばれるようになった。


佐藤「今日は初めての音楽番組か、緊張するな。これが売れるということか。」


佐藤は音楽番組で歌い上げ、達成感を味わっていた。番組の終了後、SNSをチェックしてびっくりした。


男性「意外と歌が下手だな。」


女性「路上ライブとは違って歌が下手に聞こえたわ。」


佐藤は音楽番組では奇跡のマイクを使っていなかった。


佐藤「俺はプロになったんだ。奇跡のマイクにはもう頼らない。自分の力で感動を与えられる人になりたい。今までありがとう。」


佐藤は奇跡のマイクを捨てた。そして佐藤には専属のボイストレーナーが付いた。佐藤は歌の上達を目標に、日々、ボイストレーニングに励んでいる。

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