冬
静かな白い世界の中を
懐中電灯で照らしながら歩いてゆく
そこは小さな村だったから電灯がなかったの
ずんずんとただ、歩き続ける
誰もいないところで
泣くしか今の私に出来なかった
自らの眼から零れる雫が
地に落ちてすぐに氷となった
木の下へ来ると雪はあまり積もっていなかった
そこで私が涙を流すと
地面の霜柱が支えてくれた
それを見ていたらますます泣きたくなった
いつまで泣いていたのかな
分からないくらいに…泣いていたみたい
少し辺りが明るくなった
地面がキラキラ光った
地にさっき落とした水の玉も
氷として曇らせながら光り始めた
まだ朝は来ていないのに
不思議な光をどことなく感じ
ゆっくりと顔を上げると
雲から少し顔を出した月が
照れくさそうに私を見ていたの
2008年9月に作り上げた作品。
高校の文化祭のときに発表した作品です。
どこかに保存しておきたくて今回記載。




