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1-8 実力測定 (1)

 

 ソフィーとリリーの二人と別れてから食事を取り、お風呂で疲れを癒した後、早めに休むことにした。


 セントリア魔術学園の初日で心身ともに疲れていたというのもあるけど、1か月後の学年別対抗戦に向けてきちんと自己管理して万全の状態で臨む必要があると思うからね。


 しかし今日は一気にソフィーと仲良くなることができたな! 嬉しいけど、緊張のし過ぎで本当に疲れた…。


 前世も現世もまだ子供なので恋なんてしたことないし、洗礼式後に貴族の女の子と会うのは家同士の付き合いで恋云々じゃないからね。


 それにしてもソフィーは可愛かった…。あの綺麗な髪と瞳、顔も幼い童顔から大人の女性になる途中のような顔で庇護欲をそそられてしまう。しかも、14歳なのに身体つきは女性らしく、出るところは出ているので目のやり場に困ってしまったものだ。よく平静を保てたと自分で感心する程にね。


 まったく、相手は前世の妹なので、この気持ちは本当にまずい。前世のこともあって、変に意識し過ぎている様な気がしないでもないけどね。


 ウィルに相談したいけど、前世のこととかは言えないので、しばらくは一人で悶々とするしかないと思うと、今から疲れてしまう…。




 *****



 翌日、朝の日課の魔力操作練習を終えて、食事など準備を終えてから僕達は1年生の講義室に着いた。


 ソフィーとリリーは既に座っていたので、僕達もそちらの方に向かった。


「やぁ、二人ともおはよう。昨日はよく眠れたかい?」


「あら、ギルとウィルじゃない」


「あ、ギルくんもウィルくんもおはよう。うん、よく眠れたよ。そう言えば、寮の先輩から聞いたんだけど、毎年、入学式の2日後は実力測定っていうのをやるんだって。知ってた?」


 僕とウィルはお互い顔を合わせて首をかかげた。


「いや、知らねーな。なんだ、実力測定って?」


 ウィルがソフィーに訪ねている。うん、僕も知らないから気になる。


「それがね…、ってごめん! 先生が来ちゃった」


 僕達が時間ギリギリに来たのが悪いけど、すごく気になるところでアルメリア先生が来てしまった。まぁ、先生からも説明があるだろうし、それを聞こうか。



「皆、おはよう!! 毎年の事なので先輩から聞いている子もいると思うけど、今日は実力測定をします! 実力測定は皆の今の身体能力と魔力量、魔術回路の操作能力を見ます。当然、優秀な学生が多い寮にはポイントがあるから皆頑張ってね」


 来た、またポイントだ。この調子だと思った以上にポイントが入るイベントがありそうだ。


「とは言え、ここで見たいのは個人の実力であって、他の生徒と比べて調子に乗ったり、自分を卑下することはしないように! あくまで今の皆の実力を見て、来年、再来年と同じ時期に実力測定をすることで、その年の自分の努力を評価してもらうことが目的なのでそこは履き違えないようにね!!」


 なるほど、確かに毎年同じ時期に測定すると自分の努力が目に見えて分かるのでモチベーション向上になりそうだな。隣のウィルはもの凄くやる気に満ちた様子で目をキラキラさせている。


「おい、ギル! こりゃチャンスだぞ!! オレは身体能力で、ギルは魔術関係でポイントもらいだな!」


 全く、こいつのこの自信はどこから出てくるんだか…。まぁ、ウィルの身体能力の高さは相当だからあながち間違っていもいない気はするけど。


「確かにウィルの実力ならポイントがもらえるかもな。ただ、僕の方は微妙だぞ。確かノーマンダスのクロエ・ドリリアは魔術の実力が化け物染みていると聞いたことがあるからな」


「はー!? 魔力量では負けるかもしれねーけど、魔力操作の腕ならお前に勝てる1年なんていねーよ!」


「そこまで言ってもらうと悪い気はしないな。まぁ先輩たちの為にもここはポイントを取るために頑張ろうか」



 僕達と同様、他の生徒もざわついているが、ここでアルメリア先生が話し始めた。


「はい! 私語はここまでね。測定は本棟トレーニングルームでやります。まず午前中は身体能力測定をして、魔術関連の測定はお昼休みの後でやるから遅れないようにね。じゃあ、皆移動してね」




 ******



 その後、僕達4人は本棟のトレーニングルームに一緒に向かった。


 本棟のトレーニングルームは当然、寮のトレーニングルームより圧倒的に広かった。


 前世で行っていた小学校の体育館2個分くらいには大きい気がする。まぁ、あまり詳細に覚えていないからあくまで感覚だけど。


 そこに、測定の為であろう様々な器具が置いてあって、記録員のような職員が座っている。


 前の方の少し高くなっている場所からにアルメリア先生がこちらを見て、いつもより気合を入れて胸を張っている。


 かなりやる気だ。というか、格好がおかしい!!


 先ほどまでは魔術師のローブを着ていて分からなかったが、どうも中は運動着だったようだ。なんで、生徒よりも先生の方がやる気になってるんだよ…。



「はい! 皆集まったかな? これから身体能力の測定をします。内容は腕力、脚力、反射神経、瞬発力、持久力の5項目です。4つの寮でそれぞれローテーションしてもらいます。じゃあ初めは、サラザーヴァが腕力、ノーマンダスが脚力、ウィルディネアが反射神経、シルファリーが瞬発力のところに集まってね。それぞれの区画に項目の内容が書いてあるから間違えないようにね」


 と、そこで、ノーマンダスの男子生徒の一人が声を上げた。


「先生、質問があります! 僕は雷属性の瞬雷魔術で身体強化をして戦うので、この身体能力測定にはあまり意味がないと思うのですが…」


 男子生徒は呆れたように質問している。かなり意欲がなさそうだな…。


 瞬雷魔術とは雷属性の魔術で身体能力を高める魔術だ。用途は様々で、反射神経を高めたり、身体能力の底上げや瞬間的に爆発的な加速をさせたりできる。



「チッ、チッ、チッ! 君、分かっていないな。いい? 瞬雷魔術は身体能力と魔術の出力の掛け算だから、元々の身体能力が高い程、効果的なのよ! 私も瞬雷魔術が得意だけど、元の身体能力も相当自信があるのよ」


 アルメリア先生は自信に満ちた顔で得意そうにしている。なんか年上のはずだけど小動物みたいだな…。


 と、そこでアルメリア先生はおもむろに脚力測定の場所に行った。脚力測定は前世の体力測定の立ち幅跳びそのままの様だ。何をするつもりなのだろうか?


「いい? 私が見本を見せてあげる!」


 そこで、アルメリア先生は軽く腰を落とした後、一気に跳んだ。



 え…、あの距離はどう考えてもおかしい。あの体格で10mくらい跳んでる!!


 ウィルでもあんなに跳べない。隣を見るとやっぱりウィルが絶句している。他の生徒も唖然としている様だ。


「うふふ、どう? これくらい出来て初めて瞬雷魔術が使い物になるのよ! ちなみに私はドワーフだけど、実は獣人の血も4分の1だけど入ってるんだよね。でもここまでなるまで頑張ったんだからね!」


 アルメリア先生が得意げに話している。


 うん、獣人でもここまでの跳躍力はないはずだから、この先生はいろいろとおかしい…。


 と、そこで、初めに質問した男子生徒が驚きながらボソッと恐ろしいことを口にした。


「ありえねー、あんなに()()のくせに」


 その時、「ブチッ」と何かが切れる音が聞こえた気がした。恐らく皆聞こえたと思う…。


 次の瞬間、「ドンっ!」という音が聞こえたかと思うと、その男子生徒は消えていて、その場所にはアルメリア先生が立っていた。驚いて男子生徒を探すと、入り口付近の壁が大きく凹み、その下で泡を吹いて倒れている。


 アルメリア先生の移動前後の位置の間に電気がバチバチと言っているので、恐らく瞬雷魔術だろう。


 ただ、僕には全く見えなかった…。自分自身が瞬雷魔術を使う隣のウィルも冷や汗を流して完全に固まっている。


 そんな中、アルメリア先生が話し始めた。


「次、また私の体をバカにしたらあいつみたいになるから忘れないでね」


 アルメリア先生はいつもの元気な様子ではなく、真顔で冷淡に言葉を発した。


 その後、僕達はただうなずくことしかできなかった。


 だってそうだろう? この状態のアルメリア先生に何か言って機嫌を損ねたら、それこそあの男子生徒の二の舞だ…。


「あの子はノーマンダスだったわね。悪いけどノーマンダスの生徒はあの子を医務室に連れて行ってあげて。手加減したからそんなに重症じゃないはずよ。ちなみに今回は初めてだからノーマンダスの減点はしないであげる。まぁ次はないけどね…」


 こ、怖すぎる…。こんな事で減点にするなんて完全に私情じゃないか!


 ただ、皆の心にはしっかり刻まれたはずだ…、この先生を怒らせてはいけないと。


 そんなことを考えていると、アルメリア先生はいつもの様にニコッと笑った。


「はい、じゃあ切り替えて身体能力測定を始めましょうか! それぞれの区画には記録員がいるから、やり方とか聞いてね。私は私で勝手にやっているけど、気にしないで!」


 完全にいつもの調子に戻ったアルメリア先生の言葉が発せられるや否や、学生達は一斉にそれぞれの場所に向かって駆け出した。



 もちろん僕達も腕力測定の場所に向かって走って行ったよ。



お読みくださってありがとうございます。


やっと書きたいシーンの一つを書くことができました。


アルメリア先生は怒らせてはいけないんです。

ちなみに年齢のことも絶対に触れてはいけません。


あ、なんか魔術がいろいろ出てきて混乱してしまうかもしれないので簡単に整理しました。

まずは基本と出てきたところだけです。

実力測定回の後で魔術の講義のシーンを入れる予定なので、そこでもう少し詳しく書こうと思いますのであしからず。


【基本属性】

火属性

 火魔術:火を操ることができる。


土属性

 土魔術:土を操ることができる。


水属性

 水魔術:水を操ることができる。


風属性

 風魔術:風を操ることができる。


【特殊属性】

光属性

 回復魔術:回復することができる。

 付与魔術:能力向上バフができる。


闇属性

 ??魔術

 ??魔術


【派生属性】

雷属性

 ??魔術

 瞬雷魔術:身体強化

      ※アルメリアの強化はちょっとおかしいです(笑)


氷属性

 ??魔術

 ??魔術


木属性

 ??魔術


炎属性

 ??魔術

 爆炎魔術:中範囲に強力な爆発をさせる


霧属性

 霧魔術


砂属性

 ??魔術


空属性

 空魔術:転移など空間に干渉することができる




相変わらず拙い文章ですが引き続き楽しんでもらえると嬉しいです。


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