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1-6 学園初日 (2)

誤字脱字のご指摘ありがとうございました!

見返してるんですけど、結構間違いあるものですね…。

気を付けます。


 

 さて、食事は寮棟でもできるが、ここはやはり評判になっている本棟の食堂の食事を食べてみたい。


 ウィルも同じ思いだったようで、僕達は二人で本棟の食堂にやって来た。




 本棟の食堂は想像を絶する広さだった。


 恐らく、一度に300人程度が座っても問題なさそうなくらい、テーブルと椅子がそれなりにスペースを保って配置されている。


 食事はいろいろな国の生徒がいるので、それに合わせてメニューが豊富だ。それなのに、その豊富なメニューを注文されてから1分以内に出しているから驚きだ。


 どうも事前に作ったものに対して魔道具を使って温めてから盛り付けをしているらしい。あの魔道具、恐らくかなり高価なものだと思う。それこそ、小さい貴族の家を建てられるくらいには…。


 流石はセントリア魔術学園だとこんな所でも関心してしまった。



 食事のメニューだが、僕は魚介類がふんだんに入っているシチューと白パンを注文し、ウィルは良い匂いのソースがかかった大きなステーキを注文していた。


 よくそんなに食べれるなと感心してしまうが、ウィルは身長も大きく、体格もかなりがっしりしているので、それくらい食べないと維持できないのだろう。


「「いただきます!」」


 僕達はそろって、食事を食べ始めた。


「うぉー! こりゃうまいな! オレ、この学園に来れてよかったーーー!」


 ウィルが声を抑えて絶叫している。


 かく言う僕もこの食事に舌鼓を打っていた。


 濃厚なクリームソースは魚や大きな貝、海藻などの素材の味を損なわないように絶妙に絡み合い文句なしの仕上がりになっている。


 今まで、伯爵家でかなり恵まれた食生活を送ってきたが、そんな舌が肥えた僕をしてもこの食事は絶品だと言わざるを得ない。


「これは驚いた…。やっぱり評判は伊達じゃなかったね」


「おぅ! これから毎日この食事が食べられると思うとたまんねーな」


「違いない。今から明日何を食べるか考えてしまうな」


「まぁ、オレは明日も肉を食うけどな!」


 ウィルが嬉しそうにこれからも肉を食べる宣言をしている。僕には無理だな…。




 *****



 幸せな食事の時間が終わり、時間もあるので、僕は本棟の大図書館に行くことにした。


 ウィルは寮のトレーニングルームで体を動かしてから昼の講義に行くらしい。食べた後によくすぐ動けるよな…。


 ウィルには、勉強熱心で関心するな、なんて言われたけど、実は図書館に行くのは訳がある。


 食事が終わってどうしようか考えているときに、たまたま、あの銀髪の女の子が図書館の方に向かって歩いているのが目に入ってしまったんだ。


 別にまだ仲良くなっているわけじゃないから話なんてできないだろうけど、あの子と一緒に居たいという心からの欲求に抗うことはできなかった。



 大図書館は広かった。それはもう広かった…。


 自分の語彙力に自信がなくなるが、そうとしか言えない程の広さだった。

 この中から、あの子を探すのはちょっと難しいな。


 …


 僕はセントリア聖王国についての過去の文献を本棚から取り出し、フリースペースと思われるテーブルで読み始めた。


 うん、あの子については、十数分探した所で諦めたよ…。別にもう会えなくなるわけじゃないからこの時間を有効活用しないとね。




 30分くらい読んでいたかな。


 そろそろ終わりにして講義室に戻ろうとした所で、ふと視線を感じたので、なんだろうと見渡した所でドキッとした。


 あの女の子がこっちを見ていて、目があった所でこっちに向かって来るではないか。


 僕が困惑しながら待っていると、なんと向こうから話しかけて来てくれた。


「あの…、確かサラザーヴァの1年生の方ですよね? 入学式の時に前の方にいたのを覚えていたので声を掛けちゃいました。私は、ソフィー・マグワイヤと申します。失礼ですがお名前をお聞きしても?」


「あぁ。僕はギルバート・ウォリスと言います」


 まずい、緊張しすぎて名前しか言えない…。何か言わないと!


「ギルバート様と言うのですね。あ、あの! 同じ1年生なのでこれからも仲良くしてくださいね」


 それだけ言うと、ソフィーは顔を真っ赤にして走り去っていってしまった。


 どうしよう…。


 緊張しすぎたのと、声をかけられたことが嬉しすぎて呆然としてしまう。あ、僕、名前だけしか言ってないじゃないか、本当にどうしようもないヤツだ…。


 ウィルなら初対面でも屈託なく話してすぐに仲良くなっちゃうんだろうな。それを考えると僕のあまりの不甲斐なさに悲しくなってきた…。


 あぁ、残念過ぎるけど、午後の講義があるから講義室に向かうか。はぁ。




 *****



 講義室に戻ってきた僕はウィルと合流した。


 ウィルは同じサラザーヴァの1年生と何やら楽しそうに話していたが、僕を見つけたことでこっちに来てくれた。


 ホント、こいつの友達生産能力はどうなっているんだ。少し分けてくれないだろうか…。


「おぅ、ウィル、ギリギリじゃねーか。本を読むのがそんなに楽しいのかよ?」


「いや、悪い悪い、ついついのめり込んじゃってね」


 僕は冷静に返事をした。


 うん、ソフィーとのことは言わない方がいいな。どんなにからかわれるか分かったもんじゃない。というか、絶対呆れられるよな、せっかく話しかけられたのに名乗っただけなんて…。



 時間ギリギリだったので、すぐにアルメリア先生はやって来た。あと、4人の先輩が一緒に入って来て、その中には、生徒会長も含まれていた。


 生徒会長の名前はアリス・フォレスティア。


 エルフの王族で、氷魔術をはじめとした魔術の実力は他の生徒の追随を許さないと聞いている。外見は髪も瞳も透き通るような青色で、作り物のように綺麗な顔をしている。身長は170cmくらいだろうか。スラっとしていて姿勢よく佇んでいる。



「それでは、午後の時間になります。午後は初めに言った通り、寮ごとに各施設の見学をしてもらいます。ノーマンダスはここ本棟、シルファリーは専門棟、ウィルディネアは寮棟、サラザーヴァは闘技場を初めに見学してください。30分経ったらローテーションをしてもらいます。案内はそれぞれの寮長がしますね。じゃあ寮長はそれぞれ挨拶してください」


 アルメリア先生が寮長に挨拶を促した所で、寮長達が前に出てきた。


「入学式で挨拶しましたが、私は生徒会長でウィルディネア寮長のアリス・フォレスティアです。この後、ウィルディネアの寮生は私の所に来てください」


 アリス生徒会長は淡々と自己紹介をしてすぐに後ろに下がった。


 次に、隣にいたオレンジ髪で黄土色の瞳を持つ先輩が前に出た。


「初めましてだね。僕はこの学園で副生徒会長とサラザーヴァの寮長をしているオルフィス・ヴァーグナーと言います。今日に限らず、この学園で分からないことがあれば何でも相談して欲しい。君達の学園生活が充実したものになることを心から願っているよ。この後、サラザーヴァの寮生は僕の所に来てね」


 オルフィス副生徒会長はハウゼル王国のヴァーグナー公爵家の長男で、貴族同士のパーティーで何度か見たことがあるので知っていた。


 その後、ノーマンダスとシルファリーの寮長の挨拶が終わり、僕達はオルフィス副生徒会長の元に向かって、そのまま闘技場の見学に行く事になった。




 *****



 闘技場は中に入ると直径100mくらいあるんじゃないかと思う程の円形の空間を囲むように上に観客席が広がっている建物だった。


 視線を上にあげると、恐らく王族などの偉い人達が観戦するであろう豪華な席もあった。


 この闘技場だが、魔術を用いて戦闘訓練などできるように、防御魔術がふんだんに使われているらしく、宮廷魔術師の師団長が魔術をぶっ放しても観客席に被害が及ぶことはないらしい。


 ホントだとしたら途轍もないな…。



 その後、オルフィス副生徒会長の案内の元、まだ行ったことのない施設を巡った。


 本当にどれだけ充実した環境なんだと呆れてしまう。これだけの環境で実力を付けられなかったら、そいつは相当に手を抜いているだろうな。


 各棟の施設を一通り見学し終わった所で、初めの講義室に戻ってきたが、その段階で寮長達は自分たちの講義室に戻って行った。


「皆、この学園の施設についてはきちんと把握できたかな? まぁ分からなくても先生とか先輩に気兼ねなく聞いてね」


 アルメリア先生が生徒達を見渡しながら話し始めた。


「今日はここまでだけど、最後に皆にこの学園の初めのイベントの学年別対抗戦について話しておきます! 今から1か月後に寮ごとに学年別の代表者4名でチームを組みトーナメント戦をしてもらいます。当然、この結果の順位で寮にポイントが入るから先輩達からの圧がすごいだろうけど、怪我しないように頑張ってね」


 1か月後ってすごい近いぞ。4人か、ウィルはほぼ確定だろうけど、あと3人はどうなるかな。


 と言うか、さっそくポイントが入るイベントか。これはここ数年低迷気味のサラザーヴァとしては何とか勝ちに行きたいだろうな。


 僕は先ほどの見学の時にオルフィス副生徒会長が、サラザーヴァが低迷気味と言っていたのを思い出した。



「今回は時間もないし、1年生は先輩達の戦いを見てもらうのがメインなので、各寮の代表4名は教師陣で勝手に決めちゃいました! サラザーヴァは、ウィルソン・ダンヴァルガン、リリー・アシュライン、ギルバード・ウォリス、ソフィー・マグワイヤの4人です」


 おっと、僕が選ばれるのも意外だけど、ソフィーが選ばれてる!


 同じ代表同士なら、極度の人見知りな僕でも自然に話しかけられるはず。これは一気に仲良くなる機会が来た!!


 その後、他の寮の学生についても名前が呼ばれた。ノーマンダスからは、1年生代表挨拶をしていたクロエ・ドリリアが選ばれていた。まぁ順当だろうな。



「やったな、ギル! 他の寮生なんてぶっ飛ばしてオレ達が1位を取っちまおうぜ!!」


「あぁ、しっかり頑張ろう! まずは4人で集まって作戦会議をしないとな。他の2人について、どんな魔術を使うかとか聞かないといけないし」


「そういや、あの子と一緒でよかったな! お前、イケメンで性格もいいから仲良くなったらすぐ付き合えそうだよな」


「な、何言ってんだよ! 僕は別に付き合うとかは…」


「はははっ! お前らしいな。まぁオレは陰ながら応援しとくよ」


「おい、茶化すなよ。とりあえず、他の2人の所に行こうか」


「そうだな」


 ウィルがニヤニヤしながら茶化してきた。


 僕達は今後の学年別対抗戦に向けて他の2人の所に向かうことにした。まずい、ソフィーと会うと思うと緊張してきたな。


 とは言え、ここでちゃんと会話できないと学年別対抗戦に支障が出てしまう。気を引き締めて臨もう。



 僕は無駄に自分を奮い立たせながら、ソフィー達の元に向かって歩き出した。



お読みくださってありがとうございます。


やっとソフィーとの絡みが書けました。

ギルがここまでヘタレとは。。。

でもやる時はやれる子なので今後に期待してください!!



相変わらず拙い文章ですが引き続き楽しんでもらえると嬉しいです。


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