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2-16 寮対抗宝探し 前日


 あっという間に寮対抗宝探しの前日になった。


 ビルウッドの森は少し距離があるので馬車で行くことになるのだが、数百人が一緒に移動することはできない為、複数回に分けて移動することになっている。


 初めに上級生が移動して、野営などの準備をして、その間に下級生達が移動するという手筈だ。ただ、この前最終ミーティングを行った生徒会含むメンバーは学年に関わらず先発部隊になっているので、僕とソフィー、リリーは一足先にビルウッドの森に向かっている。


「何だか緊張するな……」


 ソフィーが不安そうな顔をしながら呟いた。


「そんなに心配しなくても大丈夫よ!ビルウッドの森にも、そこに行くまでの道にも危険な魔物が出ない事はちゃんと確認したんだもの!」


 リリーが「任せなさい」と言わんばかりに胸を張ってソフィーを安心させようとしている。


「そうだぞ。ちゃんと事前に確認は出来ているからな。まぁ魔物が出てきても先発部隊には上級生ばかりだから全く問題ないさ」


「それは分かってるんだけど……」


 僕達の言葉を聞いてもまだ不安そうだ。まぁ頭では分かっていても魔物に慣れていないんだからしょうがないか。


「何があってもソフィーは僕が守るよ」


「……う、うん。ありがとうギルくん」


 ソフィーが頬を染めて俯いた。相変わらず可愛い子だ。


「かー! 頼もしい彼氏持って、この〜、幸せ者〜」


「か、揶揄ないでよ、リリーちゃん!」


 ソフィーが頬を膨らませて怒るが、当のリリーはどこ吹く風だ。そうしてソフィーの緊張を和らげながら馬車は進んで行く。




 ******



 ビルウッドの森に着くと、慣れている上級生達は早速準備をし出した。


 僕達を乗せてきた馬車の一団は次の生徒を乗せる為に学園の方に向かっていく。これを何往復もするのだから本当に大変だな。



「じゃあ僕達は本部の設営をしようか」


 ソフィー、リリーと別れて生徒会に合流した所で、オルフィス副生徒会長がそう言って指示を出し始めた。


 本部とは主に教師陣が使う所だが、生徒会の生徒も交代でここに来ることになっている。何かあった時にすぐ動けないと不味いからね。


 僕達は先輩達の指示に従いながら柱を縦横に繋げて骨組みを作っている。これに雨風を凌げるように布製のカバーを掛けたら完成らしい。ただ、一つ一つの部品が重いのでかなりの重労働だ……。



 ちなみに、風紀委員会は生徒がフライングして魔物を狩らないように見回りをしている。もし不正が見つかれば即減点なので、誰もそんなリスクを負う生徒はいないらしい。


 一方、保健委員会は負傷者の治療が出来るように、仮設の診療所を設置したりしている。後は、治療用の回復薬や解毒薬などが入った箱を手分けして運んでいる様だ。


 貴族連合の生徒達は、……優雅にお茶会をしていた。おい、各国を背負う貴族がそれでいいのか……。




 そうして準備をしながら時間が過ぎていき、その間に馬車が何往復かして生徒の数もどんどん増えて来た。


 新しく来た生徒も野営の準備をしている。野営の準備とは寝床の確保や夕食の支度のことだ。そうなんだ、このイベント中は食事も自分達で賄う事になっているらしいんだ。


 まぁ、この距離で料理を運ぶのはコスト的に問題なのだろう。完全にサバイバルのようになっている。


 かく言う僕も食事の準備を手伝っている。と言っても、前世を含めて料理なんてしたことがないので、食材を洗ったりという作業なんだけどね。ただ、これって水魔術が使える人にやらせているのでは……。



「お~、やってるな!」


「やぁウィル、やっと着いたんだね」


 僕が作業している所にウィルが手を挙げながらやって来た。他の1年生も全員揃った様だ。



 ウィルにも手伝ってもらって料理も出来て、各寮で食事をしながら明日に向けて作戦会議などを行うことになっているので、サラザーヴァの生徒達が集まった。


「さて、明日からとうとう寮対抗宝探しが始まる! まずは折角おいしそうな料理を作ってもらったから温かいうちに食べてくれ。その間に明日の作戦について話すので、質問や意見があればその都度言って欲しい!」


 サラザーヴァの生徒全員に料理が行き渡るのを確認したオルフィス副生徒会長が話し始めた。


 僕達は言われたように料理を食べ始めるが、これ結構おいしいぞ。外での料理なので、いろいろな食材を大きな鍋でグツグツと煮て味付けしたスープだけど、しっかりと具に味がしみ込んでいる。味付けをした人は料理が得意なのだろう。



 そうして、生徒達が食べ始める様子を見守ってからオルフィス副生徒会長がまた話し始めようとしている。


「さて、明日だけど例年とそこまで編成を変えることはしない! と言っても、1年生はもちろん分からないだろうから説明するね」


 オルフィス副生徒会長の話だと、一番重要な宝を探すグループは4年生の代表で後方の支援係の二人を護っていた先輩を中心に斥候が得意な人と、魔物と戦うことに抵抗がある生徒達になるようだ。


 そして、それ以外の生徒は魔物を狩ることになる。魔物を狩った後は、その魔物を証明する部位を持ち帰るんだとか。魔物を狩る時は先輩後輩で少数のチームを作って行う様だから、魔物の証明部位はその先輩に聞けば分かるらしい。


 あと、生徒会、風紀委員会、保健委員会の生徒は交代しながらそれぞれの役割を行う必要があるので、基本的にサポート中心になるとのことだ。


 基本的に上記の組織に属しているのは前回の学年別対抗戦の代表ばかりだから今回のイベントは他の生徒に活躍してもらおう、という事のように感じた。



「説明は以上だ。後の事は、明日以降の状況次第なので、各自で判断して行って欲しい。それじゃあ、今回は僕達サラザーヴァが勝つぞ!」


「「「「おぉ!!」」」」


 オルフィス副生徒会長の音頭でサラザーヴァの生徒達の熱気が高まった。流石だな……。



「おっしゃ! 明日は魔物を狩って狩って狩りまくってやるぜ!!」


「あぁ、頑張ろう!」


 ウィルと一緒に僕のテンションも一気に上がっている。


 今回のイベントは僕達サラザーヴァが勝つ!



お読み下さりありがとうございます。


やっと次のイベントが始まります。

ここまで長らくお待たせしました。

少しずつ物語が動いて行きますので乞うご期待です。



さて、相変わらず拙い文章ですが、引き続き楽しんで頂けると嬉しいです。


それでは、また明日。


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