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2-14 初デート


 僕とウィルは「ダンテの武器屋」を出てソフィー達に合流しようとしている。僕の腰には先ほど、購入した日黒刀がぶら下がっており少し物々しくなっている。


 ウィルの槍は微調整をして貰っているので、帰る前にまた取りに行く約束をした。だから実はこの刀もその時に取りに行こうとしたんだけど、何だか「手放すな」って刀が言っている感じがしてそのまま持って来たんだ。


 ダンテさんが言っていたこの刀の経歴も物騒だったし、この刀って呪いの品か何かじゃないかな……。とは言っても、この刀に決めたことは全く後悔していないんだけどね。



 そうこうしている内にソフィー達との待ち合わせ場所に着いた。


 ここはソフィーとリリーが行きたいと言っていたから「昼食はここで」と決めたお店で、外観も内装もオシャレだし、何より味がいいらしい。あと、ウィルがこれだけは外せないと突き通した肉料理もしっかりあるので、満場一致でここになったんだ。



「何だよ、まだリリー達、来てねーじゃねーか」


 まだ女の子達は来ていないようで、僕達が先に着いたみたいだ。


「まぁ後で来るより、先に来て待っている方がいいんじゃないか?」


「あー、それもそうか。後から来たらリリーあたりに文句言われるだろうしな……」


「ははは。そういう事。じゃあしばらく待っておこうか」


「へいへい」


 そうして、待つこと十数分。人混みからソフィー達が向かって来るのが見えた。


 ……なんか、荷物が多くないか?


「ごめんごめん、待った!? ちょっといろいろ見てたら時間気付かなくって!」


 リリーは僕達を見つけるとそう言って謝って来た。


「二人ともごめんね」


 ソフィーは本当に申し訳なさそうな顔をしている。というか何買ったんだ?


「いや、僕達もさっき来たところだからそんなに待っていないよ。それにしても何を買ったんだい?」


「こ、これはリリーちゃんが折角だからって……」


「ふふ。恋する乙女が可愛過ぎていろいろ服とか選んでたのよ!」


「はは。そういう事か。ほら貸してご覧。僕が持つよ」


「あ、ありがとう……」


 そう言ってソフィーから荷物の袋を受け取った。ソフィーは何だか恥ずかしそうにしているから、こっちまで恥ずかしくなってしまう。


「は~、いいな~」


 リリーはそんな僕達を見てから、ウィルの方をジッと見て溜息交じりにそう零した。


「うっ、分かったーつーの! ほらっ、持ってやるよ!」


「あら、気が利くじゃない。 ありがとね!」


 リリーはしてやったりという凄くいい笑顔を浮かべながらウィルに荷物の袋を手渡している。


 僕もソフィーもそんな様子を笑いながら見ていた。




 *****



 その後、4人で昼食を取ってからウィルとリリーとはまた3時間後に集合ということで別れた。食事についてはウィルが「今日は来て良かったぜ!」とか言いながら嬉々として肉料理を頬張っていたから行ってよかったよ。


 ただ、あのオシャレなお店でそうやってガツガツ食べるのは何だか雰囲気を壊していたから、僕達は苦笑しながら食べていたんだけどね……。




 そういう訳で、今はソフィーと二人っきりになっている。


 そう言えば、これはデートというのでは? そう思うと緊張してきた……。



「今日は何だかごめんね。迷惑じゃなかった?」


 ソフィーがそう尋ねて来た。


「迷惑な訳ないじゃないか。むしろ普段は恋人らしいことが出来てなくてすまないな」


「こ、恋人……」


 僕の言葉を聞いてソフィーが真っ赤になって俯いてしまった。そんなに恥ずかしがられると僕も恥ずかしくなるんだけど……。


「ねぇギルくん……」


「うん?」


 ソフィーは俯いたまま、僕の名前を呼んできた。


「手、繋いでもいい?」


 か、可愛いぞ。なんだこの可愛い生き物は……。


「も、もちろんいいよ」


 そう言って、僕は荷物を持っていない方の手でソフィーの手を優しく握ってあげた。


「えへへ。こっちの世界では初めてだけど、前世ではこうやってよく手繋いでた気がするな」


 ソフィーをそう言いながら凄く可愛らしい笑顔を浮かべている。確かにそうだったような気もするな。


 何だか、前世の記憶って部分的にしか覚えてないから普段どんな感じだったか分からないんだよな……。


「そうだったかもしれないな。 ソフィーは結構覚えているの?」


「ううん。凄く断片的な記憶しかないよ。多分ギルくんと同じじゃないかな?」


「そっか。それにしてもこうして再会できたんだから本当に奇跡的だよね」


「うん。もう別れたくないな……」


「もちろんさ。これからはずっと一緒だよ。さて、折角来たんだからいろいろ行ってみようか」


「うん」


 そう答えたソフィーの笑顔がとても眩しくて僕は思わず息を呑んでしまった。



 *****



 それからいろいろな所に行ってみた。


 歴史的な建造物を観光したり、広場で演劇をしていたから手をつないだまま見たり、屋台でちょっと小腹を満たしてみたりと本当に充実した時間を過ごした。


 ソフィーはそのどこに行っても嬉しそうな笑顔でとても可愛らしかった。


 ただ、楽しい時間はあっという間に過ぎてしまうもので、気付けばウィル達との集合時間間近になっていた。



 今、僕達はウィル達との集合場所に向けて歩いている。もちろん手を繋いだままね。


「今日はありがとう! 凄く楽しかったよ」


 歩きながらソフィーが僕を見てそう言ってきた。


「あぁ、僕も楽しかったよ。先週の休日にウィルと武器について話していた時はどうなる事かと思ったけどね」


「う、だってウィルくんばっかりと楽しそうな話してて、何だか寂しかったんだもん……」


 ソフィーは子供みたいに唇を尖らせて拗ねている。そんな姿も可愛らしくっておかしくなる。


「ははは、冗談だよ。僕も悪かったしね。また来ようか、今度は二人きりで」


「……うん」



 そんな会話をしながらウィル達と合流した。


 その後、ウィルの武器を受け取ってから馬車に乗ってセントリア魔術学園に向けて出発した。


 ウィルを除く3人は充実した笑顔をしていたが、ウィルだけは疲れ切った様子だったので、どうやらリリーに相当連れまわされたようだな。


 これは帰ってからウィルの愚痴を聞く羽目になりそうだ。


 そんなことを思いながら僕の初デートは幕を下ろした。



お読み下さりありがとうございます。


何だか最近4人での絡みばかりで物語があまり進んでいないですね。すみません。

これから一気に進んでいく予定なのでもうしばらくお付き合い頂きたく!

ただ、この調子だとやっぱりこの第2章は第1章より長くなりそうです……。

僕の中のこの物語の全体像でも今は序盤も序盤なのにこれだけかかるって完結するのに何年かかる事やらという感じです。



さて、相変わらず拙い文章ですが、引き続き楽しんで頂けると嬉しいです。


それではまた明日。


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