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2-11 ソフィー・マグワイヤ 2

 

 私、ソフィー・マグワイヤは恋に落ちています。


 はい、相手はもちろん前世の兄であるギルバート・ウォリスくんです。


 前世の兄は人見知りだった私の自慢でした。兄は自覚がなかったようですが、実は私達女子の間では人気だったんですよ。


 まぁ、それが原因で私はよく虐められていた訳ですが……。


 だって、私に近付いて来る女子は大抵が兄とお近づきになりたいという下心が丸見えだったので、そんな子と仲良くなんてできる訳ないじゃないですか。兄が私の知っている人と付き合うなんて耐えられません……。


 そんな私を兄はよく慰めてくれたし、一緒に居てくれました。そんな兄を異性として好きになるのは自然な事ですよね?



 まぁ前世の話は置いておいて、問題は今です。


 なんとあの衝撃の入学式の後、学年別対抗戦というイベントの代表に私もギルくんも選ばれたんです。一緒に居られる時間が増えるなんて幸せ過ぎます。


 代表に選ばれてからは毎日特訓の日々で、二人っきりの時間なんてなかったけど、それでも私は充実した日々を過ごしていました。


 その特訓の甲斐もあって、学年別対抗戦では2位の成績を収めることが出来ました! まぁ、決勝戦では私、完全にお荷物だったんですけど……。


 でも重要なのはこの後なんです!


 学年別対抗戦の打ち上げの食事の後、ギルくんが居なくなったから、まだ体調が悪いのかな?って思って追いかけたんですけど、なんとそこでギルくんにも前世の記憶があることが分かったんです!


 私が一方的に想ってるだけじゃなくって、ギルくんも私のことを想ってくれてたんです!


 こんなに幸せなことってあっていいんでしょうか……。


 ま、まぁ勢い余って抱き合ってしまったのは淑女として、はしたなかったとは思っていますよ?


 その後はお互い恥ずかしくなってしまって別れてしまったのですが、あの「今度こそ僕は君を護るよ」っていうセリフは告白の言葉だと受け取っていいんでしょうか?


 う~ん、凄く難しい所です。


 ギルくんは前世の妹を護れなかった事を後悔しているから、現世こそは私を護るって言っているような気もするんですよね。


 そうなると、私は恋人というより妹的な立ち位置になってしまう訳で……。


 でも普段の様子を見ていると両想いな気がするんですよね~。


 あ~、失敗しました。あそこで言質を取っておけば……。




 そんな悶々とした日々を過ごしていましたが、今日は何とセルシアという町に皆で行くという大イベントがあるんです!


 考えてみると、現世の私達って休日に一緒にどこかに出かけるとかしたことないんですよね。


 これは一気に二人の距離が近くなるチャンスでは!?


 という下心もありますが、純粋にセルシアには行ってみたかったので凄く楽しみです。リリーちゃんとは昨日の夜もどこに行くか一緒に考えていたんですよ。


 そんなセルシアですが、私はセントリア聖王国でも有数の大神殿に絶対行きたいって思ってるんです。


 だって、創造神エリアス様と光の女神ウィレス様を象徴する神器があるんですよ! レプリカとは言え、神器を置くことが許されているのはセントリア聖王国では6つの大都市にある大神殿だけなんです。




 *****



 という訳で、その大神殿に来て実際に見てみたんですけど、その荘厳さに言葉を失ってしまいました。


 凄く神秘的です。小さい時から神殿に行っていたので、いつか神器を見たいと思っていましたが、まさかこんなに早く見ることが出来るなんて……。


 それからしばらく、私達は大神殿の神々しい雰囲気を堪能しました。これだけで今日来た意味は大いにあります。



 次に行った武器屋では男の子達が武器を見繕うのかなと思いきや、なんと私とリリーちゃんに短剣を見繕ってもらっちゃいました。


 高価なものを買って貰った罪悪感と、普段、身に着け慣れていない武器に対する戸惑いが半端ではありません。その思いはリリーちゃんも同じだったようで目と目で語り合ってしまいました。


 でも、最初に貰うプレゼントが武器って何だか……。


 いや、う、嬉しいんですよ! 嬉しいんですけど、何か違う感じが……。



 その後は自棄になってケーキを何個か食べたり、リリーちゃんと服をいっぱい試着したりしました。


 こういう事ってあまりやったことなかったんですけど凄く楽しいです!


 男の子達には申し訳ないですけど、折角来たんだからいろいろ回らないと損ですよね?



 と、そうしていろいろなお店を見て回っていたのですが、ある装飾店が気になってしまいました。


 正確には装飾店の中にある青い宝石が付いたネックレスが気になりました。


 そう言えば、私もギルくんも瞳の色って青色なんですよね。


 この世界は前世より髪の色とか瞳の色に種類があるので、同じ瞳の色の人って思ったほどいないんです。だから余計にそのネックレスが気になってしまって……。



 そうして見惚れていると、ギルくんがその装飾店に入ろうと言ってくれました。


 もう十分男の子二人を振り回したので申し訳ない気もしましたが、折角なのでと言って貰ったので入ったんですけど、値段を見てビックリ! 宝石が付いたネックレスってこんなに高かったんですか!?


 その後はリリーちゃんがいろいろ見ながら気分が高揚している様子を横目に見ながら、冷やかしにならない様に早く出たいなとか思っていました。その間、ギルくんは店員と話しているし、何だか慣れてますよね。


 はぁ、こんな所で自分が貧乏貴族の子供だったことを思い出すとは……。




 お店を出ると、もう随分遅くなっていたので帰ることになりました。


 今日は凄く楽しかったので大満足です!


 と言いたいところですが、学園に着くや否やギルくんがこの後ちょっといいかと聞いてきました。


 ……こ、これはまさか!?


 私は高鳴る鼓動を落ち着ける様に何度も小さく深呼吸をしたんですけど、全然収まってくれません。


 リリーちゃん達と離れてから我慢できず、どうしたのかと聞いてしまいました。


 するとギルくんが何やら細長い箱を手渡してくれました。う~ん、これは何でしょう?


 私は恐る恐る箱を開けたんですが、そこに入っていたものを見て心臓が止まりそうになりました。


 それは、私が値段を見て諦めたネックレスでした……。


 私は呆然とそのネックレスを見つめていたんですけど、次の瞬間、ギルくんが「今はこれくらいしか買ってあげられないけど、その内もっとちゃんとしたものを買ってあげるよ」って言ってくれたんです。


 それって、……そういうことですよね? こ、婚約指輪とかってことですよね!?


 そのことを理解すると私の目からは涙が止めどなく出て来てしまいました。前世からの想いが叶ったんです。こんなに幸せな事ってあっていいんでしょうか……。


 その後の「ずっと傍にいて欲しい」という言葉にはもちろん肯定の言葉を返しました。


 私はなかなか涙が止まらなかったんですけど、それに困った様子のギルくんがネックレスを付けてくれたんです。しかも涙を拭ってくれるっていうオマケ付きです。ホントにイケメンですね。


 その気遣いに応える様に大切にするねって答えました。



 でもその後、凄くいい雰囲気だったのに、茂みからリリーちゃんとウィルくんが出て来たんです。


 もう! なんで邪魔するんですか!?


 まぁ、その後でまた二人で夕食を取るように気を使ったので許してあげますけど。


 あ、聞いてくださいよ! その夕食の時間に前世から両想いだったことを確認しようと思って、前世の最後に言葉にした「大好きだよ」って言葉を覚えているか聞いてみたんですけど、覚えているけど妹として好きだって言ったって言うんですよ!


 前世からずっと両想いだと思ってたのに!


 何だか悔しなって怒った振りをしてみたんですけど、思いの外ギルくんが慌てていて、何だか馬鹿らしくなっちゃいました。


 今が両想いなら何も問題ないですもんね?


 こんな独占欲が強くて、我が儘な私ですけどこれからも宜しくね、ギルくん。


 ずっとずっと大好きだよ。



お読み下さってありがとうございます。


すいません、物語を進めるつもりだったんですけど、このソフィーパートを入れるタイミングを完全に逸してしまうと思い、今回入れてしまいました。

そして、さらにすいません、このソフィーの感じは完全に作者の好みです……。


賛否両論あると思いますが、こんなヒロインを応援して頂けると嬉しい限りです。

あとリリーとウィルの絡みはもう少しかかりそうです。

と言いながら、少しでもないかもしれません……。



さて、相変わらず拙い文章ですが、引き続き楽しんで頂けると嬉しいです。


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