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2-7 休日の予定

 

 宝探しって何するんだ?


「ははは。宝探しって何だろうと思うよね。このイベントは毎年6月の中旬頃に実施しているんだけど、セントリア魔術学園より北西にあるビルウッドの森という所に遠征に行って、野宿をしながら魔物の間引きおよび教師陣が隠した宝箱の中にあるヒントを元に宝を探すイベントなんだ」


 ふむふむ、そういうイベントか。宝探しっていうからもっとラフなイベントかと思ったけど、魔物のいる森で野宿しながら実施するって、結構大変なイベントなんだな……。


「宝を探した寮に大量のポイントが入るんだけど、間引いた魔物の種類や数でも点数がもらえるようになっていてね、近隣の街や村に被害が出ないように、毎年この学園の生徒が行っているイベントさ。もちろん最大限安全に配慮して教師陣も万全の態勢で臨んでいるよ」


 確かビルウッドの森はそこまで強力な魔物は出ないと講義で聞いたので、教師陣もいるなら危険はかなり低いと思う。


「よかったです~。魔物と戦うのって何だか怖くて~」


 ちょっと怯えていたユリアも安心したような様子に見える。


「ははは。そういう生徒も多くてね。ちなみに昔は魔物を間引くだけだったみたいだけど、ユリアみたいに魔物と戦闘をしたくない生徒達が活躍できるようにと最近になって宝探しの要素を入れたみたいだよ」


「そうだったんですね~。じゃあ、私はそちらに力を入れる様にしますね~」


「あぁ、そうしたらいいよ。とは言え、生徒会に入ったからにはイベントに参加するだけ、という訳にはいかないよ。宝のヒントを隠すのが教師陣とは言え、そこまでの準備を整えたり、移動の為の手段を手配したりやる事は盛沢山だからね」


「「「「はい(はい~)」」」」


 オルフィス副生徒会長の言葉を受けて僕達は返事をした。生徒会はやっぱり大変そうだ。





 *****



 その後、それぞれの役職毎に別れて作業を行っていた。書記はいろいろな書類を仕分けたり、決まった内容を記録に残したりと終始忙しかった。


 こ、これが生徒会か……。


 一通りの作業が終わり、先程、オルフィス副生徒会長が解散を告げたので、今僕達は寮に向けて帰っている最中だ。


「生徒会は遣り甲斐は大きいけど、なかなか大変だったね」


 レイが苦笑いしながら問いかけてくる。


「あぁ、その内慣れるだろうけど、これが続くと思うとちょっと気が滅入るな……」


「でも、今度のイベントも私達の頑張り次第だから頑張りたいですね~」


「うん、それは間違いないね」「あぁ、そうだな」


 ユリアの純粋な言葉にレイも僕も同意を示す。確かに凄く遣り甲斐があると思う。



 そして、僕達は寮棟の食堂で夕食を食べてから別れた。


 部屋に帰るとウィルは既に帰って来ていた。


「お~、ギル遅かったな~」


「あぁ、今度のイベントの準備が始まってね。これからしばらくは忙しくなるよ」


「へ~、次のイベントって何するんだ?」


 ウィルに聞かれたのでイベントの詳細についてオルフィス副生徒会長から聞いた内容を教えた。


「ふ~ん、魔物との戦いと宝探しか~、楽しそうだな!」


「ビルウッドの森とは言え、魔物が出る所で野宿だから相当ハードだと思うぞ」


「何だよ、オレ達だって昔ガルア山脈の麓の森で野宿しながら魔物狩ってたじゃねーか。あの時はマジで死にかけたし、それに比べれば大したことねーって!」


「……まぁ、あれに比べればな」


 ウィルが言っているのは2年前のことで、ダンヴァルガン辺境伯領で魔物が大量発生したことがあって、ダンヴァルガン辺境伯領の私兵はもちろん近隣の冒険者や傭兵を雇って大規模な掃討戦をした時の事だ。当時、12歳だった僕達は親の言いつけを破って少し奥まで行ってしまったんだけど、そこでグレートボアっていう大きい熊の魔物と会ってしまって、命からがら逃げだしたという事件があったんだ。


 そのグレートボアは子供たちが居なくなって慌てて駆け付けたダンヴァルガン辺境伯が瞬殺していた。立ち上がったら体長5mを超える熊の体が真っ二つになったのは本当に驚いたものだ。


 当然、その後に両方の親からこっぴどく怒られたっていうお決まりのオチ付きだ……。



「それはそうと、ウィルは今度の休みは予定ってあるか?」


「あ? 別に休みの予定なんて特にねーぞ。どうしたんだ?」


「いや、今日生徒会の1年生でセルシアの町についての話になってな。ソフィーやリリーも誘って行ってみようかと思ってな」


「へ~、いいんじゃねーの? ちょっと気になってはいたしな」


 ウィルが同意を示す。ただ、その顔は若干ニヤけている……。


「おい、なんだよその顔は?」


「いや~、デートかーって思ってな。任せろ! オレとリリーは別の場所に行ってやるって!」


「全く……。そんないらない気は使わなくていいぞ」


「へいへい」


 その後は町についての話をしながら就寝した。




 ******



「いいじゃない! もちろん行くわ!!」


 次の日、ソフィー達と会って早々、セルシアの事について話したらリリーが食い付いてきた。


「うんうん、私も行きたいな」


 ソフィーも眩しい笑顔で答える。相変わらず可愛いな……。


「それじゃあ決まりだな。ちなみに二人は行きたいところとかあるのか?」


「もちろんいろいろあるわよ。でも最近出来たっていうスイーツカフェは外せないわね!」


 リリーが言っているのは多分ユリアが話していたカフェの事だろうな。ミア先輩といい、女の子は甘いものに目がないらしい。


「ははは。女の子達はみんな同じことを言うんだな」


「あったり前でしょ! ソフィーともその内行こうって言ってたもの」


「うん、凄く美味しいって評判だから行ってみたいねって話してたんだ~」


 二人とも何だか嬉しそうだ。


「ほぇ~、オレは甘いものより肉の方がいいけどな~」


「はぁ?」


 おい親友よ、なぜここで水を差すことを言うんだ……。


 案の定、リリーからは「何こいつ」みたいな目で見られているし、ソフィーからもガッカリしたような眼差しを受けている。


「ま、まぁ皆楽しみということで、あと数日頑張ろうか」


 その後もリリーとソフィーはあそこに行きたいとかあれが見たいとかいろいろ話して盛り上がっている。


 一方、ウィルは女の子二人の冷ややかな視線にビビって大人しくなっている。自業自得だぞ親友よ。



 さて、何だか生徒会の活動に気持ちが滅入っていたけど、今度の休日を思えば頑張れそうだな。



お読み下さってありがとうございます。


祝・10万字です!

いや~、ここまで頑張れたのもひとえに読んで下さる皆様のおかげです。

これからも頑張って書きます!


とは言え、ここまで来てまだ敵をほぼ出せていないとは……。

なかなか進行が遅いですがもうしばらくお付き合い頂きたく。



さて、相変わらず拙い文章ですが今後も引き続き楽しんでもらえると嬉しいです。


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