1-12 ウィルソン・ダンヴァルガン
オレの名前はウィルソン・ダンヴァルガン。
ハウゼル王国ダンヴァルガン辺境伯家の四男で14歳になる。
ダンヴァルガン辺境伯領はハウゼル王国の最東端に位置し、北側にはガルア山脈もあるので、魔族と魔物両方から国民を守る為に軍事力が国内最大である領地だ。
実際、数年前は大規模な従軍があり、魔族と戦争をしていた。今は落ち着いているが、その時は父上や兄上が最前線で戦うのを見ていた。そして、いずれはオレも最前線で魔族共と戦って皆の役に立ちたいと思っている。
その為には14歳になったら行くことになる学園で、武術も魔術も磨きをかける必要があるんだ。オレは辺境伯の息子だが、四男なので、父上には行きたいところに行っていいと言われていたから、親友でライバルのギルが行くことにしたセントリア魔術学園に決めた。
だって、強敵と切磋琢磨した方が強くなれそうじゃん!
ちなみにギルは割と近くに領土を持つウォリス伯爵家の三男で、洗礼式後はちょくちょく会っている。同い年の男同士ということもあり、会う時には模擬戦もよく行うが、魔術もありの実践形式では負け越してんだよな~。単純な武術だけなら絶対負けないけど、あいつ魔術の腕は大人顔負けなんだよ。
そうそう、ギルと言えば、この前のセントリア魔術学園の入学式の時にソフィーって女の子に一目惚れしたらしくって食事の後からずっと呆けてたんだよ。
こっちは本気で心配して気使ってやったのに一目惚れってなんだよ!! しかもギルってイケメンで結構しっかりしてるのに、女には興味ないって感じでパーティーの時とかも素っ気ないから余計ビックリしたんだよな。
まぁオレは親友の恋路を邪魔したりはしないから見守るけどな。とは言え、あいつ弱点らしい弱点なんてあんまりないから、これからからかいまくってやるぜ!
ってことで今はセントリア魔術学園に居るんだけど、やっぱり各国から生徒が来ているだけあっていろんなヤツがいる。
エルフやドワーフ、獣人なんて知り合いにあんまりいねーからな。
今日の身体能力測定では獣人のリーオンってヤツに完全に負けちまったしな。
いや~、まさか同い年のヤツに負けるとは…。身体能力だけは自信あったから、結構ショックだったんだぜ。
しかも魔術の方の測定もギルがノーマンダスのクロエって女に負けてたんだよな。あのギルが魔術の能力で負けるなんてあり得ね~って!!
うん、上には上がいるってことをしみじみと感じることになったな。
ただ、いつまでも負けてるつもりはね~! こっから頑張って修練して来年は絶対勝つ!!
って、一人で決意してたところで、一緒に学年別対抗戦に出ることになったリリーってヤツが、これから爆炎魔術を見せるからって闘技場に向かうことになった。
このリリー、エルフでスゲー美人なのに、発言がなんか残念なんだよな…。ってかエルフのくせに爆炎魔術が好きって変わってね~? 森を燃やし尽くす気かよ。
ということで闘技場に来てリリーの爆炎魔術を見せてもらったけど…、ありゃやべーわ。事前に声かけて貰って急いで避けないとオレまでやられるな。
そう思って、その後で2、3回実戦形式でやってみたけど、案の定、爆炎魔術の余波でボロボロ…。ソフィーに回復魔術かけて貰ったから火傷とかはなくなったけど、全身真っ黒焦げになった。
この女、あり得ね~…。
でもソフィーの回復魔術かけて貰っているときはスゲ~心配してくれてたし、帰り道でも、もう大丈夫って言ってもずっと謝ってくれた。
うん、普段からそれくらいしおらしかったら可愛いんだけどな。
ただ、このままじゃオレのプライドが許さね~から絶対回避できるようになってやるよ。
だから普段のバカみたいに明るい感じに戻ってくれって…。
なんてことを考えながら寮に帰った。
お読みくださってありがとうございます。
さて、ウィル視点どうだったでしょうか?
すごく分かりやすいと思いますが、今後のリリーとの展開に期待ですね!
相変わらず拙い文章ですが引き続き楽しんでもらえると嬉しいです。




