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1-9 実力測定 (2)

 

 アルメリア先生の恐怖から逃げるように腕力測定を行う場所に来た僕達は、記録員の職員に案内され、腕力測定用の器具があるところに行った。


 測定の器具は3種類あり、サラザーヴァの寮生が8人から9人に分かれて別々に測定できるようだ。これもローテーションするのだろう。


「皆様、これから測定器具の説明をさせて頂きます」


 僕達が測定器具のところに着いたのを見計らった記録員の一人が話をし始めたので、みんなで注目する。


「腕力測定では、握る力、持ち上げる力、投げる力の3種類を測定します。それぞれ点数化され合計点が腕力の得点となります。それでは順番にお願いします」


 記録員の職員の言葉が言い終わってから、前の方に居た生徒から測定が始まった。


 それぞれの測定器具の近くにには測定計があり、そこにある針が動いていて目盛りを見ると点数が分かる仕組みになっている様だ。


 僕達は握力測定の列にならんで順番を待っていたが、だいたい、男子生徒が50点前後、女子生徒が30点前後だった。



 そんな中、前の方に居た獣人の男子生徒の結果に周りが騒然となっている。


「うそっ! 150点!?」

「あり得ねー、どんな握力してんだよ!?」

「流石、獣人はやっぱすごいな!」


 初めの方に測定した生徒達が驚いて騒いでおり、別の腕力測定をしていた生徒達も興味本位でこちらを覗き込んでいる。僕は自分がどの程度かまだ分からないので正直リアクションに困るが、横では闘志をメラメラ燃やしている親友がいて、順番を譲ることにした。


「お、ギル悪いな。オレがあいつに勝ってくるからまぁ見てな」


「あ、あぁ。頑張れよ」


 うん、別に勝つ必要はないんだぞ。獣人は魔術が苦手な傾向にあるが、身体能力が秀でている種族なので、この結果は妥当だと思う。


 ただ、僕の中で身体能力が化け物染みているウィルが獣人相手にどの程度張り合えるのかは純粋に興味がある。



 ウィルが測定器具を手に持ち、深呼吸してから、一気に力を込めて測定器具を握りしめた。

 測定計の針はグン!と動いて140点のところを指している。


「おー、140点って、またすごい点数が出た!!」

「えっ、あの子って人間だよね? 獣人じゃないわよね?」


 あの男子生徒には少し負けたが、二人目の高得点にまた周りが騒然としている。


「くそー、負けた!!」


 ウィルが相当悔しそうにしているが、十分すごいと思うぞ…。


 そこに先ほどの男子生徒がやって来てウィルに話しかけてきた。


「お前、人間なのにすごいな」


「いやー、負けたわ。やっぱ獣人の身体能力はすごいな。でも来年は負けねーぞ」


「ははは。獣人が純粋な身体能力で人間に負けるわけにはいかないんでな。オレはリーオン・ダガール。お前は学年対抗戦の代表のウィルソン・ダンヴァルガンだよな?」


「あぁ、ハウゼル王国から来たウィルソン・ダンヴァルガンだ。リーオンか、同じサラザーヴァ同士これから頑張ろうぜ!」


「あぁ、これから宜しくな!」


 二人はがっしり握手をして、キラキラとまぶしい笑顔で微笑み合っていた。まるで激しい模擬戦を終えてお互いの闘志を称え合うかのように


 いや、これただの握力測定だからね!?


 僕とソフィー達も測定をしたが、僕は50点、リリーが40点、ソフィーが20点だった。うん、これが人間の標準だよな、と再確認した。ウィルが化け物染みているんだよ。



 その後、腕力の他の2項目を測定し終わって、サラザーヴァの1位はリーオンの420点で、2位はウィルの395点、男子生徒の平均が150点、女子生徒の平均が90点だった。


 ちなみに僕は130点と、男子生徒の中では低い方だった。


 一方、リリーは120点と女子生徒の中では高めで、ソフィーは50点とサラザーヴァの生徒の中で1番低い点数だったので、腕力の測定が終わってから落ち込んでいたのをリリーに慰められていた。ただ、頑張っているソフィーはもの凄く可愛らしかったとだけは言っておこう。



 すべての身体能力測定が終わり、1年生全体の1位はリーオンが2685点という高得点で、2位の2250点を大幅に突き放していた。


 アルメリア先生曰く、ここ数年の1年生では断トツで1位らしい。これは来年の学年別対抗戦はこいつが選ばれるかもしれないから僕も負けていられない。


 まぁ僕は920点だったから、こと身体能力では戦いにならないんだけどね…。


 ちなみに、2位というのはもちろんウィルのことで、人間の14歳としては既に化け物クラスだと思う…。


「はい! 皆、お疲れ様でした! これからお昼休憩で、終わったらまたここで今度は魔術関連の測定をするから遅れないように集まってね」


 アルメリア先生がにこやかに笑いながら皆にこれからの予定を伝えている。


 後で聞いたけど、アルメリア先生の合計点数は5000点を超えていたらしい。


 しかも去年より点数が若干上がっていて、まだ成長途上だと豪語していたとか。うん、もう人じゃないな…。




 *****



 僕達四人は休憩時間の大半を本棟の食堂で昼食を食べて雑談して過ごした。内容はやはり先ほどの身体能力測定がメインになった。


「ウィル、あんた身体能力が化け物染みているわね」


「うん、ウィルくん凄かったよ!」


 リリーは呆れながら、ソフィーは純粋にウィルを絶賛している。


「そうなんだよ、こいつの身体能力は化け物染みてるんだよ。これで瞬雷魔術を使うから手に負えなくてね」


「おぅ、ありがとな! でもリーオンに負けちまったからな。来年は負けねーよ! ってか、ウィルはオレになかなか瞬雷魔術を使わせてくれないじゃねーか。魔術を混ぜた実戦形式じゃ、オレが負け越してるよ!」


 そうなのだ、瞬雷魔術は恐ろしく強いけど、来ると分かっているならある程度対処は可能なんだよね。


 ただ、達人連中は瞬雷魔術の発動を悟らせないから手に負えないんだよ。アルメリア先生がいい例だね、あれは全く分からなかった…。


「ははは。そりゃ、お前の瞬雷魔術は分かりやすいからな。来ると分かってるものを使わせたりしないよ」


「そんなに分かりやすいか? お前以外ヤツには割とバッチリ決まるんだけどなー、大人でもだぜ?」


「へー、ウィルは瞬雷魔術が使えるんだ。こりゃ、前衛はウィルに任せて、あたし達は楽させてもらえそうね」


「うんうん、凄いよウィルくん! でも、瞬雷魔術は消耗が激しいはずだから回復は任せてね?」


「あぁ、多分、かなりソフィーの回復に頼ることになると思うから宜しくな!」



 そんな会話をしながら気づいたら休憩時間も終わりに近付き、僕達は本棟のトレーニングルームに向かうことにした。


 次は魔術関連の測定なので、ウィルには控えめに言っていたが僕も割と自信がある。


 毎日、セバスから教えてもらった魔力操作の練習をしているからね。継続は力なり、努力は嘘をつかないはずだ!


 といか情けないけど結構下心もあって…。



 ここでソフィーに良いところを見せたいな、なんて。



お読みくださってありがとうございます。


点数とかって思ってたより難しいですね。

よくステータスとかある小説だといろいろなパラメーターを数値化していますが、僕には無理そうです。。。


今回の数値ですが、結構適当に付けてしまったのでその内に修正するかもしれません。

あくまで個々人の立ち位置が分かる指標くらいに思ってもらえればちょうどいいと思います。

アルメリアは人外ということで(笑)



相変わらず拙い文章ですが引き続き楽しんでもらえると嬉しいです。


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