1話
よろしくお願いします!
博多港、今となっては日本における数少ない現存する港である。飛行機などめったに飛ばなくなった現代において貴重な長距離移動手段である。(むろん、海にも空と同等の怪物が潜んでいるが縄張り意識の問題からか、船舶が襲撃されたという話は滅多に聞かない。)そんな港に、たたずむ影が一つ。
光嶺 甲。彼もまた“異能”の高みを目指し、怪物の打倒を志す者である。
―――――――――――――――――――――――――――
「ついに、この日がやってきたか」
そう、俺が討伐士として旅立つ日が……!周囲の反対を押し切り、高校を卒業してからすぐに討伐士協会に登録、大陸に向けて旅立つことを決めたのだ。心配していた両親が最後には納得してくれたのも俺の異能のおかげだろう。
「お前の異能がいかに生存力に秀でていようとも、決して油断はしてはいけないぞ。討伐士とやっていくには致命的な弱点があるのだから……」
父の言葉を思い返すに、その心配をすっかり拭ってやることはできなかったようではあるが……。
「ごめん」
呟きは誰にも届かず、波風に浚われた。
父さん、母さん、心配かけてごめん。だけど俺は知りたいんだ。本当の強さの意味を!だから……
「行ってきます」
―――――――――――――――――――――――――――
遠く田舎の実家からわが身を案じているであろう両親へ、そして自分自身へ。
力強く大型旅客船へと踏み出した足は、きっと歩み続ける。いつか、答えがでるその日まで。
新米討伐士 光峰甲 の冒険が幕を開ける!!
いろいろよくわかりません!