ディエゴの話4
サキからすると、まったく不安がない訳では
ない。今回は守るべき対象が少し多い。
まずはボッビボッビだ。打ち合わせでは、入念に
立ち回りを打ち合わせる。もちろんトレーニング
でもやってきたことだが、とにかく危険から
うまく距離をとり、けして無理をしない。
護身術といっても、実際に組み付いたり投げたり
打ったり、というのは最後の手段だ。基本は周り
の状況を見て、距離をとって、周りの状況を見て、
の繰り返し。相手の二の手、三の手まで警戒する。
ボッビボッビの3人はそれがよくできた。
緊急事態でも落ち着いて行動できそうだ。
マッハパンチも期待できそうだ。見た目以上に
彼らの中身はクレバーだ。一見熱いように
見えるのだが。今回は、そこをうまく使う。
アラハントのアミ以外の4人は、素人と比較すれ
ばかなりマシなのだが、戦力として期待するのは
ちょっと厳しい。例えば軍用特殊型とはとても
太刀打ちできない。それはマッハパンチも同じ
だが。
こちらから攻勢をかけるとすると、やはりアミが
起点となる。今回はそこに一工夫入れる。
今回、諜報部から入っている情報では、おそらく
相手側はライブ中には仕掛けてこない。最も
期待できる襲撃ポイントはライブ会場を出るとき。
そこで、3バンドが使用する門をあらかじめ
わかるように情報を入れておく。
襲撃してくる側は、非合法の活動なので、警察
当局等は一応こちらの味方だ。そこの目測が
ずれると、お手上げになる可能性が高い。
リスキーであるが、重要な一手がここにかかって
いる。太陽系外縁、クリルタイ国のリアン・
フューミナリの一計があった。
そして、出演するメンバーからすると、もう
ひとつ気になる点がある。観客数である。今回は、
巨大な会場、といってもバレンシア共和国では
もっと大人数を集めるライブがあるらしいが、
20万人が入るというのだ。
もちろん演ったことがないし、3バンドの方向性
からこれ以降も特別な理由がない限りやることが
ないだろう。
そしていよいよライブが始まる。今回は、
アラハントから始まり、ボッビボッビ、マッハ
パンチ、そして最後にネハンが登場する。
アラハントは比較的早い時間の17時から
スタートだ。




