ゴシの話21
モジュール都市は、基点となるモジュールから
の座標で特定することもできるが、通称もある。
彼らの目的地のモジュールは、イジヤンだ。
そこにホテルとライブ会場がある。
客船を降りると、自動運転の推進シャトルに
乗り換える。ここでも政府関係者とライブ
参加者は二手に分かれた。
無重力、ということは、重力加速度がどの方向に
もかからないことになるので、建物の、どの面も
床にすることができる。空間を無駄なく利用
できるという利点がある。
しかし、そうすると、無重力都市に慣れていない
者にとって、把握がとても難しい構造になって
しまう。
そのため、こういった無重力都市で、観光客が
訪れそうな場所では、無重力であっても上下
の概念を保った設計がなされる。
例えば、今回の8名のうち、ゴシ・ゴッシーなど
はあまり無重力に慣れていないが、観光地であれ
ばとくに混乱なく過ごせるということになる。
無重力構造都市トメトのモジュール・イジヤンに
到着した彼らは、とりあえずその日のうちは
ホテルに宿泊するだけだ。サクハリンの
案内で夕食を摂るレストランへ向かう。
木星第4エリアでは、翌日ライブ開催となったが、
ここ第1エリアでは、いったん無重力に慣らす
ため、ホテル近くのスタジオで機材チェックや
演奏チェックを行う。
ライブ翌日の自由時間も取られているので、
4日滞在することになる。
無重力下での人々の暮らしはどうなっているの
だろうか。4日目にアラハントのメンバー達
はそれを見ることができるかもしれないが、
先に確認しておこう。
無重力都市の歴史は古い。というのも、宇宙世紀
前の、宇宙エレベーターが建設される前、
ロケット打ち上げのみにより宇宙開発が行われて
いた時代からの、宇宙ステーションと呼ばれた
建造物がすでに無重力居住空間だったからだ。
その後、宇宙エレベーターが完成してのち、
重力下居住空間の建設が本格的にスタートする。
シリンダ型の回転する構造都市が造られた。
太陽系外縁の歴史もそれ自体は古く、宇宙歴
二千年ごろ、居住型の宇宙船が一般的に
なってきた時期に移住が始まっている。
同じように、まずは重力下構造都市が建設され
ていくわけだが、巨大な無重力都市が建設
され出したのは、けっこう最近の話だ。




