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遺伝子分布論 22K  作者: Josui
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ゴシの話7

  提案はすぐに通った。次の航行期間に入った

 のちに実施される。

 

 いよいよ、木星ラグランジュポイント第4エリア、

 都市オイラトに到着する。ケイト長官や軍関係者

 とはここで別行動となる。

 

 いったん今日は街の宿泊施設に泊まり、そして

 明日の夕方ライブだ。外縁で一緒に回ってくれる

 音楽ユニットのメンバーの一人とホテルの

 入口で会う。

 

「まいど、お疲れさまです、タナカです」

 長身の、クリルタイ国で活躍する音楽ユニット、

 サクハリンのDJ兼キーボード担当、ジェフ・

 タナカだ。

 

「旅はどうでした?けっこう遠かったんと

 ちゃいますか?」

 若干訛りを感じる話し方だ。

 

「月第3エリアから8日間ですね」ゴシが答える。

「船内けっこう暇やったんとちゃいます?」

 

 エマドが答える。

「僕ら実は空母で来たんです。航行中はクリルタイ

 国の空母とずっと合同軍事演習で戦闘機乗って

 ましたよ」

「へえ!君らバンドやりながら戦闘機乗るんかあ、

 そりゃすごいな」

 

 ゴシも同時に、え? という顔をしている。

 

「じゃあとりあえず今日は泊まってもらうだけ

 なんですけど、明日のお昼とか一緒に食べません?

 案内しますよ近所ですけど」

 ジェフさんが言う。

 

「おいしいとこ知ってますねん」

「ぜひ」

 

 サクハリンのジェフ・タナカさんが帰って、

 フロントでチェックインする。

 

 しかし、このホテルの造りもかなり豪華だ。

 政府高官の同行者とはいえ、ここまでもてなして

 くれるとは、と皆感心している。

 

「別に最近建てられたわけでもないみたいだし」

「よーし、フェイク、風呂行こうぜフロ!」

 

 温泉も付いている。

 

「もちろんゴシさんも行きますよね?」

「エマド、さっきの話だけど」

 戦闘機に乗っていたという件だ。

 

「ゴシさん、冗談に決まってるじゃないですか、

 こういう世界は最初のインパクトが大事だって、

 前に言ってたのゴシさんですよ!」

 

「お、おう、そうだな、うん、そうだよな」

 

 夕食もとても豪華だった。羊肉を焼いたものを

 中心に、なんかあまり見たことのない料理が

 次々と出てくる。

 

「君たちな、本来ツアーというものは、もっと

 たいへんなもので、料理の修行と同じで」

 ゴシのお説教もあまり気にならないぐらいに

 皆満足していたのであった。

 

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