アミの話7
アミの乗るハヌマーンは遊撃担当だ。
白い機体の装甲の端に金の装飾を施されている。
アミは見た目も機能も気に入っていた。
ハヌマーンは変形機能を持っている。シンプル
な変形機構であるが、それにより多少の
ディフェンス性能の向上、変形時のみの数秒の
シールド、機動力の向上がある。推進機構を
同じ方向へそろえて機動力を上げるのだ。
突入する際、逃げる際、どちらにも使える。
アミはそれを「キントウン形態」と呼んで
いるが、いつもエマドから「自分がキントウンに
なってどうするんだ」と指摘が入る。
武器は特殊鋼で作られたシンプルな棒だ。
遊撃担当は相手の状態を見て、隙があれば
突入して攻撃したり、相手の遊撃担当が
飛び込んできたところを対応したりする。
戦闘開始直後は右翼側でミニオン機を叩いて
離脱し、いったん後方に下がって左翼側に
現れるなど、神出鬼没な動きを続けていたが、
その後マルーシャ機の後方で突入タイミング
を狙うかのような位置取りをしていた。
そして、
中央部、突出したアシュラ機にヘカトンケイル型
が上空より急接近した。同時に、アンリマンユ型
もいつのまにか下空に回り挟み撃ちを狙う。
フェイクの反応は早かった。
ギリギリでヘカトンケイル型の捕縛技をかわし、
アンリマンユの拡散砲に三面シールドを張る。
それでも2機は諦めず、極め切ろうとする。
そこにすでにガネーシャが到着し、渾身の双拳を
ヘカトンケイルに決め、アシュラがとどめを刺す。
下がろうとしたアンリマンユにハヌマーンが
人型に戻った直後の棒の一撃。アンリマンユは
アシュラによりすでにかなり被害が蓄積していた。
敵機の一番機を2台破壊、となった。
これは、第3小隊が相手の狙いを読み切った
動きだった。特にコミュニケーションをかわす
でもなく、エマドとアミが会戦空域に到着
している。始まってから移動していたのでは
間に合わなかった。
見事な返し技が決まった、と言える。




