サトーの話11
あらかじめ決めていた服装に着替える。
そしてバックパック。
妻がふだん通りなのがむしろ気持ち的に助かった。
子どもといっしょに部屋で見送り。
そのままジムのミーティングルームで軽く打ち合
わせて、シャトル乗り場まで出発する。
ジェシカが見送り際、最高のアドバイスをくれた。
「調子のいいときほど体が重くなったように感じる
ものよ」
「球技の試合でも、いい選手ばかり集めたチームは
意外と弱いものよ、最後まであきらめないで」
第四エリアへはまず民間のシャトルで向かう。
3時間弱の道のりだ。3人とも、ふだんジムで着
ているジャージ姿だが、それぞれに中に何か着込
んでいる。
緊張で口数が少ない、というよりも一般のシャト
ルなので乗客もいるためミッション前に会話し
ないようにしていた。というより、正直この
あたりのことをあまり憶えていない。
そして、空港で自動運転で到着していたシャトル
に乗り換える。民間カラーにしてある軍用だ。
ターゲットの工場までも自動運転で行くが、3人
乗るには広めの機内でそれぞれウォーミング
アップを行う。消化のいいものを少し口にする。
そして、ジャージを脱ぐ。
ドンは黒い戦闘服、しかし、金属性でなく強化
プラスチック性のものを選んだのは銃器と判定
されないためだ。体の防御もあるが侵入者の
主力が彼だと思わせるための装備。
そしてアミは全身スーツタイプの水着。水に濡れ
るとぬめる奴だ。強化された水泳帽にゴーグル、
グローブ、丈夫な靴。ボトルで水着をまんべん
なく濡らしていく。これだけでほぼほぼ掴め
なくなる。掴まったら終わり。
そしておれ、チンピラ風のシャツと短パンに靴
だけしっかりしたもの。シールのタトゥー。
防御力はゼロだ。ここを攻撃しろ、というわけだ。
まんまいかれた民間人の侵入者の風体で、
突入時間が近づく。
5分を切ったあたりでアミが言った。
「ライブ前にいつもやってるやつやろうか」
「いいね」
三人で円陣で肩を組んで、
「ハントジムいくぞー!!」「よっしゃー!!」




