表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
遺伝子分布論 22K  作者: Josui
124/134

フォントーニの仕事

  フォントーニ・サーセンがその就職情報誌を

 見つけたのはその日の午後であった。

 

 もう少し正確に言えば、その募集記事を見つけた。

 

 あなたも皇帝になれる、その記事の冒頭には、

 そう書かれてあった。

 

 応募条件には、身長体重などとともに、顔の3D

 写真を送り、それに合格することなどがあった。

 報酬額や寮の完備など、働く条件がかなり良かっ

 たため、フォントーニは写真を送ってみること

 にした。

 

 その後、面接が行われることになり、木星圏への

 旅費などすべて向こう持ちとなる。いい話だ。

 

 フォントーニは、役者を目ざしていた。レッスン

 やオーディションの費用をこれでまた稼げる。

 仕事内容が少し気になったが、それはいつもの

 ことだ。変わった仕事でも、それは芸の肥やし

 になる。

 

 採用が決まったので、髪を短く切り、金髪に

 染める。

 

 職場には、フォントーニのほかに5名の担当者が

 いた。まとめの人間が、現場担当をあと2名追加

 して、7名で週1日勤務としたい、と言っていた。

 

 週休2日で、勤務日以外は歌や踊りのレッスン、

 セリフの練習などだ。これにも給料が出る。

 

 しかし、一番つらいのは、数百枚の紙に大きな

 ハンコを押す練習だ。過去のアルバイトで電子

 スタンプを押したことはあるが、実物はほとんど

 ない。しかもこの大きさだ。

 

 しばらく続けているうちに、バイト仲間から

 面白いことを聞いた。謁見の間でほとんど毎日

 文武百官が居並ぶが、高い確率で参加する

 アキカゼ・ホウリュウイン参謀長、

 

 そして、武官のアグリッピナ・アグリコラ、

 ユタカ・サトー、ドン・ゴードン以外は、

 ほとんどバイト、ということらしい。

 

 そのうち、皇帝と文武百官のバイトのメンバー

 だけで飲みにいくようになった。

 

 はやく役者になって、安定した収入を得たいと

 思っているフォントーニであるが、たまにアル

 バイトで高額なのに仕事自体も何か面白い、

 というのがあるのがわかってきた。

 

 ただ、他国の使節が来るときだけは緊張する。

 

 こないだも月の第3エリアから、ナミカ・キムラ

 という猛将が来訪したが、その迫力に自分もそう

 だが、アキカゼ参謀長がかなり狼狽してたな。

 

 新人もどんどん入ってくるので、できれば他国の

 使節は新人に任せたい、そう思うフォントーニ

 だった。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ