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遺伝子分布論 22K  作者: Josui
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ピエールの話2

  発表者の声が開始から全て裏返る。

 

 しかしこの発表者、どこかで見た顔だ、遠間で

 よく見えないが、うちの事務所にいた若いやつに

 そっくりだ。しかし、声が違う。あんな

 常に裏返ったような声ではなかったはず。

 

 発表の内容は、

 外部の知的生命体とは、恒星系を分ける、つまり

 棲み分けを行う。その際、恒星系の中間地点に

 必ず中間都市を設置し、そこで外交を行う。

 

 文明の発展度合いに関わらず、お互いを

 尊重しあう、といったものだった。

 ナミカが質問する。

 

「今後、遠い将来か近い未来かわかりませんが、

 人類が進化する、ということが考えられます。

 その際の取り扱いはどうなりますか?」

 

 その場合も、外部の知的生命体と同じで、

 まだ文明が発達していない恒星系に進化した

 人類が住み、旧人類は太陽系に住む、中間都市

 を設けて外交を行うのが適切だ、

 といったことをピエールが回答した。

 

 ピエールは、とりあえず発表を終え、ほっと

 した様子だ。最後のほうはキムラ所長本人から

 質問を受け、何か回答した気がするが、

 テンパっていたためあまり覚えていない。

 

 そしてピエールは、その翌週、直接の上司、

 セルジオから、武術のトレーニングジムへ

 通うように指示を受ける。

 

 次のクライアントは、コンサルタントを

 行いながら、身辺警護も必要らしい。

 まかせてください、と言って、仕事終わりや

 休日にジムへ通う。

 

 彼のトレーナーは、ユタカ・サトーだ。

 

 サトーは思った。これはかなり厳しい。

 本人は一生懸命やっているし、おそらく言動

 から察するに、武術の才能があると思っている。

 

 しかし、体格がまだ追いついていないことも

 あるが、そのセンス、スパーリングを

 やらせても、そのカマキリのような構えで、

 とても上達しそうな雰囲気がない。

 

 それでも一か月ほどのメニューをこなし、あとは

 自己鍛錬の方法をしっかり教わる。

 

 バレンシア共和国への駐在が決まったのだ。

 

 親に引っ越しの準備を手伝ってもらい、

 さっそくバレンシア共和国へ向かう。そして、

 クライアントの名は、アグリッピナ・アグリコラ。

 政党の党首だ。

 

 アグリッピナの事務所に訪れた彼の前に現れたの

 は、絶世の美女だった。さっそく自己紹介する。

 アキカゼ・ホウリュウイン、という偽名を使う

 ように指示されていた。

 

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