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電脳王国サバイバル  作者: 鳴海屋
第1章 君が望むもの
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鳴亞 優里亜

優里亜がベッドの上で目を覚ます。時間は大体6時半といったところだった。もうすぐ夕飯の時間である。母親が呼びに来るのも時間の問題だろうと、リングセルでお気に入りの曲を流しながら今日の出来事について考える。いろいろなことがありすぎた。初めての闘技大会に出場し優勝し、そのすぐ後に災害級のヌルが襲来し、彩都たちに助けを求めながらヌルの足止めをし-

「あ!司会者!あの後話出来てないや。」

サハルと司会者、助けられた2人にお礼1つ言えてない。ただそれだけのことなのだが、どうしても気になってしまってしまった。彩都も何やら司会者に会う前に独自の判断で来たようなことをほのめかしていたようないないような。気を失っていたのでそこらへんが曖昧だ。それが余計に気になる要因になっている。

次に会ったら必ずお礼を言おうと再度心に決めた。

それに気になるのはもう一つ。あの白い小鳥のヌルだ。サバイバルの家に放置してきてしまったが大丈夫だろうか?人を襲う事はないのだろうか?三つ目とはいえ見た目は愛らしく思わず連れ帰ってしまったが、今更になって心配になってきた。もう一度サバイバルに入って逃して来るべきだろうか?

そんなことで悩んでいるとリビングの方から母が晩御飯に呼ぶ声が響いてきた。とりあえずご飯を食べてから考えようとリビングへ向かった。今日は焼き魚かな?と匂いを嗅ぎながら晩御飯を推理した。


案の定晩御飯は焼き魚とご飯、味噌汁にキャベツなどのサラダだった。質素すぎたご飯にブツブツいいながら部屋に戻ってきてリングセルを起動すると彩都から何か送られてきていた。添付ファイルを開き中を確認する。



そこには目を疑うようなことが書かれていた。確かに今までなんの疑問も持たず、受け入れていた城壁の形。ヌルの襲撃があったから城壁の形を変えたのではなく、ヌルの襲撃があるから城壁の形を変える。というかなぜ城壁が作られる事になったのだろう。見た目がいいから?街とフィールドの境界をはっきりさせるため?何か引っかかる。

バッチリ五分ほど悩み、ついに

「ダメだ!考えてもわかんない!」

優里亜は考えるのをやめた。元々考えるのは好きだが、そんな深く物事を見ていくのが苦手な優里亜にとってこれ以上の考察はきつかった。そんなことよりお風呂に入ろうと、着替え一式を持って部屋を飛び出した。分からないものは分からない。優里亜持ち前の切り替えの速さである。

たっぷり30分湯船に浸かり、火照った体で部屋に戻ってきた優里亜はもう一度サバイバルに入る事にした。普段ならこの時間は明日の予定の確認等に当てるのだが、どうしても小鳥のヌルが気になってしまう。ひとつ溜息をつくとヘッドセットを被りサバイバルを起動した。



「なに、これ。」

サバイバルで目覚めるとすぐに目を疑うような光景が飛び込んできた。

辺り一面散らかり、部屋の家具が散乱している。ランプが倒れ、クッションの中身が飛び散り、テーブルは上に乗せていたコップを放り出すように傾き、そのコップは床に落ちていた。

中にクッションから取り出したであろう羽毛をたっぷり詰め込み、その中で眠っている小鳥のヌルとともに。

部屋の荒れようといったら泥棒でも入ったかのようだが、実際のところはこのヌルが休み場所が欲しくてとびまわり、こうなったのだろう。

ベッドの上になにも倒れてこなかったのが不幸中の幸いである。

優里亜はヌルを起こさないように静かに片付けを始めた。



「やばいやばい!」

次の日、夜遅くまで部屋の片付けに追われていた為、大学に着くのがギリギリになってしまった。いつもは余裕を持って15分ほど前にはついているのだが、今日は信号や交通量によっては普通に遅刻する。ぱっぱと服を脱ぎ外出用の服に着替える。手早く化粧を済ませ、髪を束ねようとして、やっぱり今日はいいやと諦め外へ飛び出す。

丁度父が会社へ出勤するタイミングのようだ。

「大学まで!」

そう叫んで車に乗り込む。父は少し困った顔をしたが頭をぽりぽりとかいてから、

「了解」

というと車を出した。

どうにかこうにかいつもとそんな変わらない時間に大学到着した。父には悪いので近くで降ろしてもらい、正門付近を1人で歩く。

欠伸をして視界が涙で霞む。その涙をふき取ると目の前に勇気と彩都が立っていた。

ここでこうして会うのも久しぶりだなと、あの時の彩都の慌てっぷりは面白かったなとクスッと思わず笑ってしまう。

「今日も2限から授業かな?」

彩都も彩都であのことを思い出していたのか尋ねてくる。

「そうだね。でもこの時間から来るのはほんとに久しぶりだよ。」

「今日は少し時間に余裕あるし何かあっても大丈夫だね。」

「でも彩都、あの時何もなかったら時間あったんだよ?」

少しばかり嫌味を込めて彩都に告げる。

「う、うるさいな。あのあと何回も謝ったじゃんか!」

当時も別に怒ってはいなかったけどね。あまりにも必死に謝る彩都が面白くて少しばかり意地悪していた。

「彩都、話は変わるんだけど昨日のあれってどう思う?」

そう勇気に問われて少し困った顔を彩都はした。

「どうって言われてもあれが嘘か本当かなんて分からないよ。けど読んでいくうちに本当のことのように聞こえては来たかな。」

「私も事実だとは思う。けど次がいつかとかまではさすがに分からないみたいだし、また20年後とかかも知れないからそんな気にしなくていいんじゃないかな。」

そう、結局それ以上のことは分からないのだ。どうしてもしっかりとした対応は襲撃されてからになるが仕方ない。

「そうだな。たしかにそうかも知れないが昨日も言った誰かがヌルを操ってるという話と合わせると恐らく2度目の襲撃はそんな期間を開けないんじゃないか。」

「待って、待って!城壁を作った人とヌルを操る人は違う人でしょ?何ですぐ来ると思うのさ。」

間髪入れずに彩都が突っ込む。

「あ、いや言葉が悪かった。城壁を作った人がヌルを操る人の出現を予想してのあの城壁の形だと思ってね。それなら尚更ヌルを操る術が存在して、それを使いこなしてる人がいると考えるべきだと思っただけだ。その人の目的は知らないが討伐されて目的が達成されたとは思えないからね。」

「なるほどね。じょあその誰かを見つけないとヌルの襲撃は続くってこと?」

「恐らくね。そこで彩都、1つ無理なお願いをてもいいか?」

優里亜は欠伸をしながら2人の会話を聞き耳半分に講義だるいなと考えていた。

「僕にできることならなんでも。」

(あーこの話長くなるな)と、優里亜はリングセルを起動させて適当にSNSを見る。ふと時間に目が止まり、余裕を持ってきていたはずなのに既に講義開始の3分前だという事に気づいた。

「なら、この記事の製作者に会いたい。」

「あ、それなら簡単だよえっとね-」

「ちょっと2人とも?時間時間!考えるのもいいけど今はリアルだよ?講義に遅れちゃうから先行くね。」

2人の会話に割って入り、場を離れる合図だけ送る。


後ろで彩都がなにかいっていたがそれどころでもなかった。

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