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電脳王国サバイバル  作者: 鳴海屋
第1章 君が望むもの
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黄道十二宮

サイトの鎧は動きやすく、機動力を重視した作りとなっている。その分防御力は落ちるが着ていても暑苦しくなく快適なのも魅力だとサイトは語る。


少し前に、例の司会者が名前だけを頼りにサイトを探し回っていた。南部では見かけなかった為、東部か西部どちらかに移動して探そうとしていた。しかしどちらに向かえばいいか分からず、この二択を外すと恐らくサイトなる人物には会えないだろうと判断に困っていた。

そこに現れたのが今思うと正に女神だった。

「何かお困りですか?」

彼女はそう告げると、僅かに顔を傾けて純粋な目をこちらに向けてくる。美しい少女だった。胸こそ先ほどのユリアさんよりおとるものの、その他はユリアさんと同等、もしくはそれ以上の美貌を放っている。

思わず見惚れてしまい、言葉が出てこなかった。

「大丈夫ですか?私なんかでよろしければお手伝いしますよ?」

いえいえとんでもない!そう言うつもりだったのだが、思わず

「この名前の方たちを探しているのです。ご存知ありませんか?」

口が勝手に、そう勝手に言葉を発していた。「まあ、サイト達のお知り合いですか?この2人でしたら、先ほどまで一緒でしたよ?最近サバイバルを、始めたばかりでよく分からなかったので幼馴染のサイトに教えてもらいながら街を探検していたのです。でも、もう1人の、なんて言ったかしら?その人が用事がある〜とか言って帰られてしまったので今日は解散になったのです。」

急ぎの用にもかかわらず、嬉しそうにサイトなる人物のことを話すこの子を遮ることはできなかった。

「サイトは、ここではそれなりに名前の通っているはずだから、僕のそばにいれば変な事に巻き込まれることはないはずだ。と自信げに言っておりました。子供の頃からなにかと気に掛けてくれる優しいお方ですよ。あ!でもそれは私だけではなくて、他の方でも同じだと思います。昔からそうでした。」「力のないもの、立場の弱いものの味方につき、決して最後まで諦めない。私の大事な友人です。」

彼女の語りは、その一言でようやく終わった。途中あまりにも長いものだから少しばかり聞いていない時間があったような気がしないでもないが、とりあえず終わった。

「で、あなたは何の用があるのですか?」

「あ、いや。闘技場方面に災害級のヌルが出現したのでそのサイトさんに力を借りたくて探してたところです。」

ようやく本題にたどり着けたが、時間が結構経ってしまってる。間に合うか心配だ。

「彼なら先ほど南方で衝撃音がした時に、そちらにすでに向かっておりますよ?」

そういえばサイトなる人物を探し始めてしばらくしたあと、何かものすごい音がしたような気がした。

「えっと、じゃあ・・・サイトさんはすでにたどり着いた頃ですかね?」

「はい。」

その言葉に安心したのか、それともこの後この女性と長々話しながらサイトを探さなくて良いことに安堵したのか、司会者はその場で意識を失った。



「さて、何か騒がしいから駆けつけてみたけど、正解だったみたいだね。」

サイトは両手剣を構え、イーターと対峙する。正面の口が、岩石を吐く準備をする。

「ダッシム!スラッシャー!」

そこそこあった間合いを一気に詰め、岩石を吐き出す直前後少し足りない間合いをスラッシャーー数メートル先に所持している武器を具現化し攻撃するーで、補い元々裂けている口を切り裂いた。正面の口の顎の筋肉を的確に狙い、イーターの正面の口が力なく垂れ下がる。吐き出しかけていた岩石も、発射する勢いを失い、そのまま地面へ落下した。

ドスンと鈍い音を立てて、地面を抉りそのまま土になった。

しかしイーターの口はすぐに元どおりになり、再び岩石を吐き出す準備をした。

「え、口は再生できるの?」

足などが再生されないことを見ると口周りだけは再生できるようだ。

イーターが吐き出した岩石を大きくジャンプしてかわすと、サイトは空中で剣を大きく掲げた。

「牡牛座の魔剣!」

剣尖から黄色いオーラのようなものが溢れ出し、巨大な斧を形作る。重さは変わらないが一撃は完全に斧のそれである。

その剣の一振りがイーターの正面をぶった斬る。

顔の3分の1ほどが抉れ緑色の液体がこれでもかとばかりに吹き出す。正面の目と口は潰れ、勝負あったかと思われた。しかし舐めるなと、バカにするなと言わんばかりに顔の一部つまり口だけが再生し、三度岩石を吐き出す。

流石に空中では自由に身動きが取れず、サイトは岩石をもろに喰らう。

「マモリム!」

直前に防御増加魔法を唱えれたのがせめてもの救いで、ダメージは酷いが戦闘に支障をきたすほどではなかった。空を飛ぶ岩石の上に回り込み、岩石を足場にイーターへめがけて飛び出す。

「双子座の魔剣!」

一本の両手剣が、二本の片手剣へと変化しそれがイーターの蜘蛛のような体を切り刻む。目にも止まらぬ早業で、傷つけられた場所はその一瞬後に緑色の液体が噴き出した。

サイトは職業としては魔法剣士だ。ただその力はやや特殊で星座の力を魔力に込めて戦うのが主な戦闘方法。星座の力の込められた魔力を一時的に剣に纏わせることで様々な力を発現させている。

「水瓶座の魔剣!」

剣を上空に掲げると、剣尖から大量の水が吹き出す。それはサイトを囲むように渦を作り、周りの家や木を巻き込みながら巨大化していく。

サイトがイーターに剣尖を向けると渦を描いていた水は鞭のように波打ちながら、イーターめがけて飛んでいった。鞭のように水がしなり、イーターの頭を地面へと殴り落とした。

今の一撃はそれなりの手応えがあった。いくら一部が再生できるとはいえそれは一部。ユリアの奮闘もあり、イーターもかなり消耗しただろう。

しかし、イーターも最後の力を残していた。

ゆっくりと頭を持ち上げると、3つの口から同時に炎、稲妻、岩石をサイトに向けて吐き出す。完全に不意打ちであった。というよりも、サイトが油断していた。稲妻がサイトの足元に当たり、サイトを空中へ放り投げる。そこへ炎の追撃が襲う。

剣で体を守りながら、なんとか反撃しようとチャンスを伺うが、最後の岩石がそれを許さなかった。岩石がサイトに直撃し、そのまま地面へ叩きつけられる。岩石は土となるのでそのまま圧死ということはなかったが、被害は尋常ではなかった。

先ほどかけた防御力増加魔法のおかげで骨折等はしなかったものの体のあちこちを火傷し、額から血が流れ片目が血で何も見えなくなっている。

フラフラと立ち上がりながらサイトは剣尖をイーターに向けて構えた。

これで決まらなければ恐らくもう次はない。働かない頭で考えながらサイトは叫ぶ。

「黄道十二宮壱の型・ゾディアックレイ!」

剣尖から12色の光が発現し、イーターを正面から体全てを貫く。

貫通した光は進路を変えて再びイーターに突き刺さる。これを繰り返し、光はイーターを滅多刺しにした。

そこでサイトは力尽きその場に倒れた。

「どうだ⁉︎」

視線だけをイーターの方へ向ける。身体中から緑色の液体が吹き出し、8本あった足も今では3本まで減っている。だが、体力が無限にあるのかと疑いたくなるほどだった。それはまだ生きていた。

3本の足で不器用にでも確実にサイトの元へ迫る。もう口の再生もままならないようで、口からは緑色の泡が溢れている。血と土の匂いを嗅ぎながらサイトも立ち上がろうとするが、もはや身動き1つ取れなかった。その間にもイーターは少しずつ、確実に接近している。頭を地面にぶつけ、頼りない足を補うように進む。頭をぶつける。足を動かす。頭をぶつける。足を動かす。

それを繰り返し後一度の動作でサイトにたどり着く距離まで来た。

その時サイトは見た。イーターの今までただ開いたり閉じたりを繰り返していただけの口がニコォっと勝利の笑みを浮かべたのだ。再び頭を地面にぶつける。

あぁ終わったとサイトは諦めた。

でもこれだけ弱らせたんだ他の誰かがこれを見つけてくれれば確実にとどめをさせる。ユリアちゃんが目を覚ましてくれればそれだけで勝負は決まる。後はみんなに任せよう。このまま食べられるのだろうか。きっと痛いんだろうな。ユリアちゃんが食べられそうになった時、地面すごい抉れてたしな。痛いんだろうな。・・・あれ?

イーターの不気味な笑みを見てからかなり時間が経った。一向にイーターが動かない。

「しん・・・でる?」

まさに間一髪だった。サイトにたどり着く一瞬前にどうやらイーターは力尽きたようだ。「キュアリム!」

回復魔法を自分に施す。ヒーリムとは違いキュアリムは回復までに時間を要する。その間は自分は無防備になるので戦闘中は全く使えないのだ終わってしまえば、骨折などあらゆる怪我を治せる優れものだ。

しばらく時間をおいて完全復活を遂げたサイトはゆっくり立ち上がる。一瞬目眩がしてフラついたがなんとか立ち上がれた。どうやら魔力を使いすぎたらしい。恐らく最後のゾディアックレイが原因だろう。

とりあえずユリアの元へ向かってゆっくり歩き出した。

ユリアちゃんの治療をしなくては。ユリアの元へたどり着くとそこにいたのはたった今意識を取り戻したユリアと、小さな小鳥のヌルだった。

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