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15 大好きになった人と大好きになった場所で

 私のことが好きなのか、というダイレクトな質問を子どもから受けたリオン。


 すでに私は告白をした。だけどリオンからの返答は聞けていない。

 子どもたちの力を借りてだけど、私は返事を聞きたい。そう思っていた。


 そしてついにリオンが口を開く。


「はい、僕も好きですよ。なんてたって、僕の全財産を捧げたのは彼女が初めてなのですから」

「それってつまり、オカリナが好きってことなのー? それとも精霊さんが好きなのー? ハッキリ言ってもらわないとわからないよ、わたしー」


 まるで私の心を代弁してくれているかのように、子どもの一人が深く抉った質問をする。


 私は覚悟した。この答えで私の運命が決まると言っても過言ではないからだ。



 そして……。



「僕は外見のオカリナも、中身の精霊も、両方好きですよ」


 それはまるで模範解答のようであった。



--



 今日の音楽教室が終わり、私たちは帰路についていた。

 ミーファとシドくんは次の用事があるとかで離脱したので、やっと二人きりになれた。


「リオン、今日もお疲れ様。今日も大変だったわね」

「うん、そうだね。それよりカリーナこそお疲れ様だよ」


 お互いにお疲れ様を言い合う。なんて素晴らしい時間なんだろうか。


 夕方になり日が沈んでいく。その様子を眺めていると、「ねえ、今からまたあの草原に行かない?」とリオンが尋ねてきた。


「もちろんいいわよ」


 そして私たちはお気に入りとなった草原へ行くことになった。



--



 草原についた。

 空は今日もあいまいなグラデーションで私たちを迎え入れてくれている。心地よい風が吹いて草をなびかせている。私がそれらを感じていたところ、


「カリーナ。僕、君とやりたいことがあるんだ」


 突然、リオンが話してきた。


「なにかしら? やりたいことって」

「それはだね。半年後にマルシェ城である演奏会に君とでる出ることなんだけど」

「演奏会? 今のマルシェ城ではそんなことをしてるのね。全く知らなかったわ」


 この四年間、闇商店の中でしか過ごせなかったため、四年間の間に起きた出来事について私は全く知らなかった。


 しかし、演奏会だなんて。うちの公爵たちに音楽好きっていたかしら。


「僕はオカリナで演奏会に出て優勝したいんだ。だからカリーナ、君にも協力してほしいんだ」

「もちろん協力するわよ。頑張りましょうね」

「よかった……。断られたらどうしようかと思ってたよ……」

「私が断るわけないじゃない」

「ははっ。ありがとう。……よーし! そうと決まれば今日から毎日練習だ!」


 リオンは夕日に向かって叫ぶ。


 それから、大好きになった人と大好きになった場所でキスを交わした。

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