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13 舐められちゃいました

「くーやーしーいー! くやしい! 幼馴染のワタシなんてお菓子くらいしか捧げてもらってないのに、なんでこんなオカリナがリオンの全財産を捧げて貰ってんのよ!」

「姉さん、それは姉さんよも素敵なオカリナだからだよ」

「シド! うっさい!」


 ぼこん! とシドくんはゲンコツをされた。痛そうにしてる。かわいそう。


「暴力するなんて最低ね」

「うるさいのよ! オカリナのくせに!」

「活発女ミーファは暴力女……脳内にメモメモっと」

「メモをするなー!」


 ミーファは相当悔しいのか、地団駄を踏んでいる。

 しかし、その地団駄もリオンの「ミーファもカリーナもケンカしてないで仲良くしなよ」の一言でピタリと止まった。


「そうよ、仲良くしましょう。よろしくね、ミーファ」

「ま、まあ、リオンがそう言うならしょうがないわね。よろしく、カリーナ」


 ミーファは頭をかきながら、バツが悪そうにして言った。


 こうして私たちは握手を……いや、私がオカリナだから握手は交わせなかった。ということでミーファに私の身体を触れてもらうことで握手を交わしたことにした。


「姉さんとカリーナさんが仲良くなってよかったです。そしてなんだかボクも仲良くなりたいと思ってしまいました。……カリーナさん、僕とも仲良くなっていただけますか?」

「もちろんでございますわ!」


 もちろんでございますわ!

 という普段使わないワードが飛び出す。

 なんたかんだ、シドくんはイケメンだし緊張するのよね。


 そしてシドくんにも私の身体を触ってもらって握手のようなことをした。



「さて、みんな仲良くなったところで、今日もブランチからの音楽教室に行くよ」


 リオンがみんなに聞こえるように話す。


 今日のこれからの行動は昨日と同じらしい。


「また音楽教室にいくのね」

「そうだよ。今日は三人とも教える日なんだ」

「三人ともってことは、ミーファとシドくんも何か楽器が吹けるのかしら?」

「ワタシは吹けないけど、打楽器奏者だから色々と叩けるわよ。ちなみに一番得意な楽器はそシドの頭よ」


 ミーファはそう言うとシドくんの頭をぼこんと叩いた。理不尽な暴力だ。シドくんかわいそうに。お姉さんにいじめられているのね。私が頭よしよししてあげなくちゃ。


「姉さんも吹けるものがあるじゃないか」

「ワタシに吹けるもの? 言ってみなさいよ」

「ホラだよ。ホラ吹きは得意だよね、姉さんは」

「シド! ほんとうっさいわよ!」


 そしてまたシドくんは頭を叩かれる。シドくんには悪いけど、まるで姉弟のコントを見ているみたいだった。思わず私は笑ってしまった。


 そのコントが終わると、次にシドくんが「ボクはチェロが弾けるんだ。あとギターとか、弾くもの専門だよ」と説明してきた。


「へえ! シドくんって色々なものが弾けるのね! 尊敬するわ!」

「あ、ありがとうございます」

「ねえ、カリーナ。何でも叩けるワタシのことは尊敬してないの?」

「うん、してないわよ。だって暴力女だし」

「ムッキー! この差! この扱われ方! 納得できない! とりあえずシドは頭を出しなさい!」


 そして暴力女ミーファはシドくんを一発……叩く直前で手が止まった。


「僕はおしとやかなミーファがいいんだけどなあ」とつぶやいたリオンの一言により。



--



 朝と昼の中間の時間帯。リオンの食事の時間がやってきた。リオンにとってはこれから至福のひとときだろう。

 まあ、今日はミーファとシドくんもいるのであまり安心はできないかもしれないけど。


 リオンは昨日と同じくガレットを食べている。もしかしたらリオンはガレット好きなのかもしれない。

 そしてミーファはホワイトシチュー、シドくんはステーキを食べていた。


 美味しそうね。私にも実体があったら食べて見たかったわ。なんて思いながら三人をぼーっと眺めていたそのときだった。


「おっとー! 手が滑ってしまったー!」と言い、ミーファが私にホワイトシチューをぶっかけてきたのだ。


「きゃあ!」

「カリーナ、ごめんねー! 熱くなかった? 大丈夫?」


 ミーファめ……。絶対にわざとだ。

 それにしてもこの女、なかなか悪どいわね……。


「ええ、大丈夫よ。ちょっと身体がベタベタするけどね」


 普段なら大激怒し、すぐに足舐めをミーファに命じていただろう。でも私は冷静を保っていた。

 それはさきほどリオンがミーファに対してつぶやいた「僕はおしとやかなミーファがいいんだけどなあ」が引っかかっていたからだ。


 この発言から察するに、リオンはおしとやかな性格が好みなのだ。


 だから私はおしとやかに努めていた。それがホワイトシチューをぶっかけられるという罰ゲームを受けたとしても、何事もなかったかのようにサラリと乗り切れたことに繋がったのだ。



 そして、罰ゲームのあとにすぐさまご褒美がやってきた。


「カリーナ、ベタベタして気持ち悪いよね。僕が綺麗にしてあげるからね」


 リオンはこう私に伝えたあと、舐めてきたのだ。


 私の身体を。


 こんな真っ昼間から。


「ひゃっ! リ、リオン!?」


 私は驚いてリオンの名前を口にする。


 しかしリオンはやめない。リオンはオカリナにかかったホワイトシチューを舌で綺麗に舐めとっていった。


「ふぅ……。綺麗になったかな」


 そしてリオンは全てを舐めとった。

 私は身体をくまなく舐められてしまった。最高だった。

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