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第3話
私は封筒を受け取ってからどうやって、そのあと仕事をしていたのか全く記憶がない。
たしか、その封筒をポケットに入れてロッカールームに入って、自分のカバンに封筒を押し込んだはずだ。
なんとか仕事を終わらせて帰宅して、カバンを覗いてみると、やはり封筒は入っていた。
震える手で封筒の中身を確かめる。やはり帯封がある100万円が入っている。
それに安西という女の携帯番号のメモ...。
彼女はやってもやらなくてもくれると言っていた金だが、本当にこのままなにもしないでもらってしまっていいのだろうか。
たしかに、いまのわが家には金が必要だ。
実家の借金、子どもの入学金...!
安西はあの患者を殺したら800万くれると言っていた。
800万あれば借金の返済に充てれば少しは楽になるはずだ。
これはチャンスなのか...?
迷いはある...。
しかし、やるしかない...!
この決意が揺らがないうちに、私は安西の番号を押した。




