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第1話
ついにこの日が来てしまった。
私が、点滴に消毒液を混入させて患者を中毒死させていたことが...!!
私だって始めはこんなことはしたくなかった。
だけど、金に目がくらんでしまった。
竹下智美42歳。シングルマザーで高校受験を控えた中学生と小学生の母親だ。
旦那は、子どもが小さいころに、他の女と浮気して離婚した。
私が勤める病院は県内でも有名な病院で、私はベテランナースとして働いている。
きっかけは2年ほど前だった。
私が面会時間が終わる午後8時頃に受け持ちの患者さんのところにいくと、家族であろう女性が椅子に座っていた。
私は声をかけた。
「あの、そろそろ面会時間が終わりますので...」
私の声は聞こえていたと思うが、返事がない。
「あの...すみません」
もう一度声をかける。
すると女性がこちらを振り向かずに言った。
「...ろして..いた..んか」
女性の声は小さく、聞き取りづらかった。
「えっ?」
女性がもう一度言った。
「...殺して...いただけませんか?」
やっと、聞こえた声は自分の耳を疑いたくなるような言葉だった!!