プロローグ2《圧倒的強者・異世界に降臨》
え、前回の二話目はどうしたかって………?
ワタシシラナイヨ
差出人:アイラ五月雨
件名:フレンド申請
凄かったです!w良ければフレになってくれませんか?
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差出人:ウィンストンゴリラ
件名:フレンド申請
アリスティアさんの後ろにいた者です!レベルは622!是非フレンドになって欲しいです!
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差出人:野犬先輩
件名:フレンド申請
ファッ!? オォン!アォン!ンアッー!(昇天
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差出人:ランカー
件名:フレンド申請
お前絶対チーターだろ 氏ね
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差出人:桜花
件名:フレンド申請
強すぎです!私あまりフレンド少ないので良ければフレンドになってください!
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差出人:みるみるみるきぃ
件名:フレンド申請
本当に強いですね…倒せない敵がいるのでもし時間があれば討伐手伝ってくれませんか?
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差出人:サスティア
件名:今回の戦いの件について
レジエントギルド、ギルド長のサスティアです。今回の決闘にてトウマ様に軽率な態度を取ってしまい本当に申し訳ありませんでした。今回の件でほぼすべての決定などはギルド長である私がしたものであるため、責任の殆どは私にあります。本当に申し訳…………
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「なんだこの数は………」
前回の"戦い"から丁度1日が経ち、現在俺はこの夥しい量のメールの前で絶句していた
未読:2026件
これまでのプレイヤー人生の中でメールの数が4桁に到達したのは初めてであり、ましてや1日という短期間でこんなにメールが来るなんて思ってもいなかった
まぁこのメール達は後で片付けるとして、今日俺がやらなければならない事は大きく分けて二つ
一つ、今回の決闘で俺が返り討ちにした奴らから回収した装備、アイテムの返却
二つ、この大量に詰まったメールボックスの整理だ
二つとも中々骨の折れるような事ばかり、昨日確かにそこにあったハズの平穏は一体どこへ消えてしまったんだ…?
と感傷に浸るのは後にしよう。さて、今回やることは前記の通り二つだが、この二つそれぞれの理由を述べようと思う
まず一つ目の〔今回の決闘で返り討ちにしたプレイヤーの装備、アイテムの返却〕について
前回も言った通り、1000Lvに到達したプレイヤーは誰かに殺されると所有アイテム(装備も含まれる)の3分の1がランダムで殺した相手の手に渡る。
つまり昨日俺に敗れた1000Lvプレイヤーのアイテムは俺が持っているということだ
殆どの人が「別に返さなくても良いのでは?」と思うだろう、確かにこれからのことやらなんやら考えると返さない方が俺にとっても得と言える
だがしかし俺は理解している。
俺自身、そういうコトが嫌いな性格だということを。
それに、売れる恩は今のうちに売っておいた方が身の為でもあるからな!
次に、二つ目の〔メールボックスの整理〕
まぁこれの説明は必要無いと思うので少し簡潔に済まそう
前記の二つを終わらせた後、溜まりに溜まったメール全てに軽く目を通して必要の無いものを削除し、メールボックス内を整理する
ズラーっとスクロールしてみるにメールの大半がフレンド申請であり、中には関係のない会話を一人で延々と続けている人も居た
可哀想だったので少し返信してみよう
差出人:モモコ
件名:トウマさまぁ〜!!!♡
返信してくださひ〜!
愛しのトウマさまに返信されたら私もう幸せっ!キャピ☆
「こんにちわモモコちゃん」とか「愛してるよ☆」だけでも良いですからぁ〜!!!
てかトウマさまと触れ合うことが出来るだけでもシ・ア・ワ・セ♡
ひゃ〜!トウマさまにこんなこと言ってる私〜っ!!!
【返信】
宛先:モモコ
件名:はじめまして
こんにちはモモコさん
「送信っと」
これだけで良いって書いてたからこれでいいよね。
さて、話を戻す
実は他にもする事はあるが主なのはこの二つだろう。
では早速、一つ目のアイテム返却から始める
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【魔研】トウマの魔法をおまいらとわっちで再現するスレ【Part.2】
1:大魔導士サリエル
このスレはおまいらとわっちでトウマの魔法を再現するためのスレ
【条件】
・最低でも第5階級魔法の構築式が理解できる程の魔法知識を持っていること
・このスレに関係のない話はできるだけ控えること
・昨日起きた大戦を知っていること(わっちが動画を撮ってうpしてるので下のURLから各自目を通してくれ)
http://okodayo/fm99087654?tp_webto=jap_share_l
皆さんルールを守って楽しく話し合いましょう!
2:名無しの魔法使い
また立ったのか、とにかくスレ立て&うp乙!
3:大魔導士グンダ
前から思ってたけど参加条件のハードル高杉
せめて3階級魔法式くらいじゃないとマトモに人集まらないだろjk
4:名無しの魔法使い
>>3 いやそれはそれで無理あると思うよ
そもそも前スレの結果から2級とか3級とかのアマチュア子じゃ到底理解できないことは明白だし
5:名無しの魔法使い
>>4 そりゃそうだわな
というより前回は失敗した上に研究所(仮)に集まってた奴ら全員吹っ飛んだからなw
ありゃ凄かった…………
6:大魔導士サリエル
>>5あれは事故だ!結局再現はできなかったけど、代わりに新しい魔法も出来たし結果オーライ(わいの研究道具は消し炭になったけどね。それより(仮)付けるのやめい)
7:大魔導士グンダ
>>4 言われれば確かにそうだな。悪かった。
>>6安心しろ、俺の研究道具(高級)も灰になったから(白目
そろそろ本題に入ろ
今回は何を再現するんだ?
8:大魔導士サリエル
>>7 了解
まずわっちが貼った動画の1:30秒あたりでトウマが使った魔法を再現したい
これから呼びやすいように名前はクラウ・ソラスでおk?
9:名無しの魔法使い
>>8不敗の剣ね、キングトウマにはお似合いだな
10:黒魔ハイデル=ベルモンド
>>8相変わらずの厨二掛かったネーミングセンス
長いからクラソって呼ぶゾ
あと、一応失敗した時のためにも別の再現候補も決めといた方がいいんじゃない?
11:大魔導士グンダ
>>10 の言うとおり別の候補も決めておいた方がいいと思う
12:大魔導士サリエル
了解
じゃあ2:10のあの高速移動(?)の魔法と21:23秒の※ゲッコウのギルド長に撃った魔法でオナシャス
※ゲッコウ=『撃竜の咆哮』を略したもの
撃竜の咆哮→撃哮→ゲキコウ→ゲッコウ
13:大魔導士グンダ
んじゃあ始めよう
俺としてはクラソの魔法出力はアルテミスの弓と同じG、動画を見る限り本職剣士のエンチャ剣を叩き割ってたから、半端ない強度と斬れ味を持ってると思う
それから察するに魔力圧縮率が相当高いと見るぞ
14:名無しの魔法使い
>>13 G//Hi(Strength+AAA)//D/CN-S/(Constitution+SS)/Mg=1000
とりあえず1行目はこんな感じ?
15:黒魔ハイデル=ベルモンド
>>14 Mg値はコード2000くらいが妥当じゃない?
それに魔法を弾いてたから、魔力の構築式が相当複雑に作られてると思うよ
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何者かが下を向いて俯きながらゆっくりと歩いていた
其の者は漆黒のオーバーコートを身にまとっており、背中には剣を背負っていた
そして疲れ切った顔で家の前に立ち、そっと扉に手をかける
するとその者は凄まじい勢いで扉を開けるや否や大きな声で第一声を発した
「終わったああぁぁぁ!」
そう、これはトウマ、つまり俺である
先程、全てのアイテムを持ち主のもとへ返し終わったのだ
昨日の戦いは規模が大きかっただけにこれだけでもかなり時間がかかってしまったが…
さぁ、やる事はあと一つ。
『メールボックスの整理』だ!
やる事はいたって簡単。
1.メール内容の確認
2.メール内容がフレンド申請や特に問題ないものであればそのメールを削除
やる事は確かに簡単だが、これを2000回以上繰り返すとなると話は別。ここからは持久戦、今日一番に骨の折れる作業になりそうだ
と、黙々と整理をしている間に昨日のことについて少し説明しよう
前回俺は大手ギルドと戦ったわけだが、結論を述べるとあの戦いでは見事俺が勝利した
実を言うとあの戦いに参加したギルドはレジエント、撃竜の咆哮"だけ"ではない
それに気付いたのも、とあるゲーム専門のニュースサイトでの記事を見たからだ
【速報】5ギルドが1日で全滅!【キングトウマ】
未だ世界的人気を持つVRMMORPG『Magic of Fantasy(MOF)』にて6月11日、MOFの伝説的プレイヤー『トウマ』が五つのギルドと決闘をし、見事勝利したことが同ゲーム内で話題となっています
キングトウマと言えば2155年に開催され、世界中からMOF屈指の上位プレイヤーが集まる国際大会で優勝したことで有名なプレイヤーです
そのキングトウマが6月11日に5つのギルドと決闘をし、見事勝利しました
トウマと戦ったとされるプレイヤーは戦闘NPCも含め7万人に上るとされており、ゲーム史における一対複数のpvpの中では最大規模とされています
その頃の動画がユーザーによって記録されており、有名動画サイトMetubeでは500万回を超える再生回数を突破しました
https://metu.be/cpZMH0rC237
今回トウマに挑んだギルドは5つとされており
その五つともギルドランキング上位のギルドだったと言うことから、改めてトウマの規格外の強さが確かめられた結果となっています
MOFを運営しているForce ANIX側はこれに対しての措置として再度トウマのアカウントを徹底的に調べたものの、不正はなかったと報告しています
【この記事をSNSでシェア】
ーーーーとこの通りだ。
正直この記事を見て俺はとても驚いたのだが、驚いたと同時にある意味納得もした。
そういえば俺は先程からこのように何かに語りかけているが
これは独り言である
いや、声に出してるわけではないから独り言とはちょっと違うな
急で申し訳ないが、俺は自分が何かしらの物語の主人公だと思って毎日を過ごしている
そう思い始めたのは高校生の時
転校してからその学校で新たな友達作りに失敗し、学校で一人孤立していた時からだ。
決して虐められたわけでもない、かと言って人気者だったわけでもない
この顔と生まれつき運動神経が良かったおかげでボッチだったもののなんとか高校生活は乗り切った
その一人だった高校生活の中で唯一の支えだったものが、ゲームと妄想だったのだ
ずっと一人でいるのは思ったより辛い、学校へ行っても話す相手すらおらず、楽しみや悲しみなどといった感情を共有することすらできない。
そんなボッチ生活の中で自分の言った愚痴や不満などの独り言を誰かが聞いてくれていると思うと気が楽になった
この俺の人生がどこかの物語として、誰かに見られていると思うことで頑張ることができた
だからこの独り言は、ある意味俺の支えの一つになっていると言っても過言ではないのだ
まぁ、そんな俺ももう24歳、社会人。
21の時にMOFと出会い、その時からどっぷりとハマって
休みの日には一切外に出ずゲーム、仕事から帰ってもやる事はMOF以外に何もなかった
勿論洗濯や身の回りの家事などはしっかりやっていたよ?
そんなこんなでやり込みまくって、気付けば世界最強とまで言われるようになった。
発売当初は攻略サイトなんて物もなかったから自分で良い狩場を見つけて一日中その狩場に篭ってレベル上げをしたり、ボッチなりに色々な策を練って様々なクエストもこなしてきた
無論、仕事と両立させるのは少し大変だったけどね
「……ん?」
トウマは流れるように動かしていた手をそっと止め、メールボックスを見つめた
一目でわかる、ずらりと並んだメールの中に一つだけ"変なメール"があるのだ
「なんだこれ?色がおかしいぞ?」
MOFでメールBOXに送られて来たメッセージの色は元々藍、青、緑、黄など、種類によって色分けされている
藍色はギルドやグループなどの招待状、青はフレンド申請、緑は普通のメール、黄はイベント関係のメールなのだが
この"変わったメール"は紫色だ
紫などメールボックスで使われる色ではないしこれまでも紫のメールなんて送られたこともない
それにこのメール、件名に『招待状』と意味不明なことが書かれていた
しかも無駄に綺麗な装飾が付けられていたのも謎だ
(何が何だかわからんが、取り敢えず中を見ておこう)
その見慣れないメールに手をゆっくりと持って行き、メールを開いた瞬間ーー
ーーー辺り一面が眩い光に包まれた
その光と共にはち切れんばかりの轟音が耳を劈く
トウマは咄嗟に耳を塞ぎ、そして目を強く瞑った
立つことすらままならず、何かから身を守るかのように体を丸める
「ーーーーっ!」
声にならない叫びが頭の中に響く
耳を塞いでも音は弱まらず、このままこの状態が続くと思うと気が狂いそうになる
そして数十秒が経過すると次第に音は小さくなって行き、丸めていた体をゆっくりとと起こした
「…………収まったか?」
これまでにないほど慎重に瞼を開ける
まだあの強烈な光が目に焼きつき、周りがよく見えない
そして次第に周りが見え始めた時
「…………ん?」
トウマの頭の中は混乱していたものの、この疑問に瞬時に気づくことができた
そう、彼の周りには、見知らぬ平原が広がっていたのだ
とても広大な場所、緩やかな生暖かい風が肌を流れるように吹き抜け、明るい緑色の草が風に身をまかせるように揺れる
眩しい太陽が辺り一面を照らし、まさにそれは先程と180度以上違う世界だった
取り敢えず今は現実を見よう。
で、
「ココドコ?」