Free World Online START.08
あちゃー、ヤバい感じ。
何がヤバいって今のわたしたちの状況。
「ゴブッ!」
「ゴブブッ!」
「ゴブゴブッ!」
「ゴゴブッ!」
「ゴブゴブブッ!」
そんなタイミング良く鳴いてくれてありがとう。いや嬉しくないけど…。
なにも考えず突貫して行く大地のおかげで5匹のゴブリンに囲まれてしまった。
「流石にキツいよね、この数は。レベルは上がってるけどステ振りしてる余裕はないし。」
「だな…。でもやるっきゃねー!都姫、援護頼む!引きつけるから!」
最初のゴブリンを含めて15匹ほど狩って、レベルこそ上がったけど厳しい状況。でも大地の言う通りやるしかないよね!
「任せて!多少の被ダメは割り切ろう!」
「おう!いくぜ!」
真正面のゴブリンに向かって走り出す大地。それに反応して周りのゴブリンが大地をターゲットに!
「お前と…!お前は行かせないっ!」
シュンッ!キリキリッ、シュンッ!
急ぎで引き絞った弓から2連続で矢を放つ。大地に向かっていくゴブリンの最後尾の2匹に命中して気を逸らすことに成功した。
2匹のゴブリンがこっちに振り向いた時、大地がゴブリン3匹を横薙ぎに飛ばしていた。が、1匹2匹と斬りつけるうちに勢いが落ちたのか、3匹目には2割ほどのダメージしか与えられていない。
両手剣を大きく薙いだため、態勢が崩れた大地を立て直した3匹目のゴブリンが殴りつけた。
「ッ!初ダメージだな。痛みはねえけど衝撃が。」
大丈夫、多少なりともVITに振ってる大地のHPゲージは1割も減ってない。
って、大地の心配をしてるうちにゴブリンがすぐそこまで来てた!
「ゴブリンなんかに負けないから!」
初撃と同じように急ぎで2連射する。が一発が外れてしまった。もう一発は顔に当たりクリティカル!
「ゴブッ!」
外したゴブリンが殴りかかってきた!避けられない!
「痛ッ!って痛くないけど確かに衝撃があるんだね。おかえしだよ!」
VITに振ってないせいでHPゲージが2割ちょっと削られる。お返しに至近距離でのクリティカルを狙った一射!
Super Critical!! Death Attack‼︎‼︎
ゴブリンの目の前で放った矢はそのまま目に直撃し、デスアタック、つまり一撃死という結果を生み出した。至近距離、なおかつ急所が条件なのかな?
思考の海に沈んでる隙にゴブリンが目の前に来てた!
ヤバい!!
ゴブリンの持つ木の棒に殴られ転倒する。立ち上がろうとした瞬間にまた殴られ立ち上がる隙をくれない。
その間にもHPゲージがガリガリ削られ残り1割。これがVITに振ってない影響なのかな?マズい…!
「都姫!チッ!お前らうぜえ!!」
「横槍入れるけど堪忍な!」
大地の叫びが聞こえ、やられる!と思った瞬間ゴブリンが霧散し聞きなれない関西弁が聞こえた。
「大丈夫かいな?自分、VITに振ってへんやろ?VITに振らんかったらコンボから逃げれんで。さっきそれでツレがやられてもうたからな。」
「あ、えっと、ありがとうございます。その通りですけど、VITに振らないと結構まずいんですね。助かりました。」
「都姫、ゴブリン2匹にやられそうになってんなよな。援護も無かったし。まぁでも無事でよかった。」
「イケメンな兄ちゃん、この姉ちゃんのツレか?ちゃんと守ったりやー。」
HPゲージ"半分以上減らしながらも3匹のゴブリンを片付けた大地が声をかけてくるが、私よりも先に関西弁の人が返事をしちゃった。
「お、おう、それもそうだな。悪かった都姫。」
「んーん。こっちこそ援護できなくてごめんね。」
お互い謝って嫌な雰囲気にもなることなく。関西弁の人のおかげだね。
「いきなり登場で名前もゆーてへんかったな、ワイは朝陽。武器は長槍使うてる。まぁNPロングランスやけどな。」
おっと、しっかり自己紹介してくれた。返さなきゃね。
「わたしは都姫。武器は弓だけど、生産職なるつもり。助けてくれてありがとう。」
「俺は大地。武器は両手剣だぜ。都姫を助けてくれてありがとな。」
3人とも自己紹介を終えたところで、HPも危ないからポーションを飲み干す。隣で大地も同じくポーションを飲んでる。
ポーションを飲み終えたあたりで朝陽が喋り出した。
「大地らにちょっとした提案やねんけどな、さっきゆーた通りワイのツレがやられてもうてさ、それがメッチャ怖かったらしくてFWO辞めるゆーてもうたんや。」
え、やられる瞬間ってそんな怖いの…?初めてのVRだし確かに怖いのかも。
「そこでや、良かったらワイをパーティに入れてくれへんか?見たとこ大地はアタッカー、都姫は遠距離タイプで壁がおらんやろ?ワイはこう見えてタンク目指すつもりなんや。ええ物件やろ?」
こう見えてって…確かに常に笑ってるしタンクってガッチリした人がやるイメージだけど。でも私たちにとっては嬉しい申し出。明日からプレイ予定の有希はヒーラーやりたいって言ってたし。
「わたしは大歓迎だよ?」
「俺もだな!ってわけでよろしくな朝陽!」
「よろしゅーたのんます。壁は任せてや!」
「よろしくね、朝陽。」
こうして、凄く急展開で予想外な仲間が出来た。
暴走してしまった…!
幼馴染3人を揃える前に新しいキャラがっ!
反省はしてますが後悔はしてません。