予想外すぎるぜ!!※大地目線回
大地目線でのお話です。
メインストーリーにはほぼ関わりませんので、読まなくても問題ありません。
まさかの…。
ーー大地Side
「あいつら、速攻でどっか行きやがった。」
思わず独り言をボヤいてしまった。
自由行動とした俺ら4人だけど、朝陽はギルドの方に爆走してくし、都姫と有希も2人の世界にどっぷり入ってギルドに行っちまった。
幼馴染3人だけど、あいつらは同性なのもあって良すぎるぐらい仲がいいんだよなあ。
「ま、俺は武器見に行くぜ。」
結局これも独り言か。慣れてるけどさ。
「おう、らっしゃい。おめえが探すのは武器か?防具か?」
「買うかわかんねえけど、武器見せてくれよ。両手剣で頼むぜ。」
「向こうの棚だ。好きに見てきな。」
「ありがとな。」
このおっさんには、最初怒鳴られたんだよなあ。
なんとなく懐かしいぜ。
んー、クラフソードよりいい武器もあるけど、見た目がなあ。
白い剣ってのに惚れて買ったからな、こいつ。
「お兄さん、両手剣使いなんだね。」
「お?おう。そうだぜ。どうかしたか?」
両手剣を物色してたら、急に朝陽みたいな細い奴に声をかけられた。なんなんだ?
「特に用は無いんだけどね。僕も両手剣使ってるから同志がいて嬉しいなってところ。」
「お前もアタッカーなのか?」
全然イメージ湧かねえな、こいつが両手剣振ってるなんて。
「アタッカーっていうか、ソロだけどね。AGI-STRで速攻型って感じかな。」
「一撃よりも手数って奴か。お前、俺とは逆だな。」
「わあ!この話にすぐ反応出来るなんて、お兄さんなかなかゲーマーだね!っていうか、お前ってやめてよ。そういえば名前言ってなかったね。僕は晃。何かの縁だし、よろしくね。」
「俺は大地だぜ。まぁ、よろしく。」
ペラペラ、おしゃべりが好きな奴なんだな。
この短い会話でもニコニコ話すこいつからは、そんな空気が感じ取れた。
「大地はSTR-AGIなんだね。しかも両手剣士見習いかあ。僕も早く上位職見習いになりたいな。」
いい両手剣が見つからなかった俺は、武具屋を出てNPフィールドをプラプラしていた。なぜか晃を伴って。
あの印象通り、こいつはおしゃべりな奴だった。
少ない俺の言葉を的確に拾って会話を膨らませる奴。
正直、都姫と有希、そして朝陽の前以外じゃあんま喋れねえんだよなあ。
「そうだ!」
「ん?どうかしたのか?」
「大地、一緒に試練の森行こうよ!その強さ、見せて欲しいな!」
マジで、突拍子も無い奴だなこいつ。
「ダメだな。悪いけど連れがいるんだ。そいつらとはぐれちゃ、たまんねえしな。」
「そっか…。ざーんねん。でも、今度見せてね!」
「おう。また今度な。」
なんでこんな約束してんだろ。ペース乱されっぱなしだ。不思議な奴。
その後も突拍子もない発言と行動を繰り返す晃に疲れ始めた俺。
ただのNPCに話しかけ出したり、まだ燻ってんだろう初期装備のままのプレイヤーに話しかけたり。その中で急に俺に話は振ってくるし。
って、なんで俺こいつといるんだ?離れりゃいい話じゃねえか。
「晃、そろそろ俺行くぜ。またな。」
「行くってどこに?大地面白いし、一緒にいたいな!」
「一緒にいたいって。そんな言葉は女子に行ってやりな。お前ならポンポン釣れるだろ。」
あんまり気にしてなかったけど、こいつ結構イケメンなんだよな。可愛い感じの顔だけど。
「女の子には僕興味ないんだ。っていうか、ぶっちゃけ逞しい男の人が好きなんだよね!大地みたいな!」
「はっ!?ちょっ、ちょい待てお前!!」
こいつ、まさかのホモかよ!予想外すぎるぜ。
「お前が俺についてくんのはそれが目的かよ!なら諦めろ。俺はホモじゃないぜ。」
「大丈夫だよ。大地が僕を好きじゃなくても、僕は大地が好きだから!っていうか、僕はお前じゃなくて晃だってば!」
だ、だめだこいつ…。に、逃げねえと…!
「悪いな!俺にはちゃんとパーティメンバーがいるんだ!じゃあな!」
と言葉を残して走り出す。
ホモの獲物にされたんじゃたまんねえよ。俺には掘る趣味も掘られる趣味もねえぜ!
「大地、まだまだだね。AGIにかなりのSTP割いてる僕からは逃げられないよ!」
「なっ!なんでお前がここに!」
逃げ切ったと思って門へ続く道を歩いてたら、真横に晃がいた。
「いったでしょ?僕は大地みたいな人が好きなんだ。」
「いや、俺は男は好きじゃねえんだって言っただろ。」
「大丈夫だよ!振り向かせてみせるから!」
そういう問題じゃねぇぇええ!!
だめだ、話になんねえ!
逃げるしか…。
「大地、僕からは逃げられないよ?狙った獲物は逃さないんだ。」
…なんだこの絶望感は。マジで逃げられない気がしてきた。
そのあと俺は《アーチタウン》まで逃げることによってようやく晃から逃げることができた。
晃がロトーウルフを倒せてなくてよかったぜ。
ーーその頃の晃
「ちぇっ、せっかくいい男の人だったのに逃げられちゃった。さすがにロトーウルフはソロじゃ厳しいからなあ。どっかのパーティに入るしかないよね。」
とトボトボNPフィールドに向かって歩いていた。
はい、まさかのホモ回でした。
どんな内容にしようか悩んだのですが、大地は笑いが少ないのでこういったギャグを入れてみました。
次話はメインストーリーに戻ります。
いよいよ、有希無双が始まるかっ!?(違います。)




