ぷぎーっ!ってやめてーっ!
《アーチ草原》に出る方とは真逆にある門から一歩踏み出すと、Mapの名前が《アーチ荒野》に変わる。
「ほんまに猪と豚ばっかりやな。《アーチ草原》のにぎやかさとはえらい違いや。」
「そうだねー。荒野っていうだけあって茶色い地面ばっかりだし。」
初めて踏み入るフィールドに、私と同じように朝陽と大地も観察の目を向けてた。
茶色い土が大部分を占める大地に、なけなしの草や木が生えてる《アーチ荒野》。
《アーチボア》と思われる猪さんや《アーチピッグズ》と思われる豚さんの集団がいる。
「とりあえず、転職で恩恵受けたステータスと、初めてのパッシブスキルの〈誇り〉の効果を確かめようぜ。雑魚そうな《アーチピッグズ》で良いだろ。」
大地の提案に頷くわたし。隣で朝陽も頷いていた。
「いつも通り、釣るね?」
「おう。頼んだぜ。」
風の矢をつがえ、《アーチピッグズ》の集団の1匹を狙う。集中して…
「っ!?」
びっくりした!集中した瞬間、矢から《アーチピッグズ》へと赤い直線が走った!
これが〈弓術士の誇り〉なのかな?
ちょうど良いね。狙いやすくなった!
「どうした?都姫?」
「なんでもないよ!行くね!」
シュンッ…ドスッ!
Critical Hit!!
やったね、クリティカル!赤い誘導戦のおかげで頭部を狙い撃ちできた。
HPゲージは一気に残り2わ…り…。
えぇっ!?
「やばいで!あいつらリンクしよった!ピッグズ言うんは集団でまんま戦うからなんやろ!」
わたしたち3人に戦慄が走る。
初見のMobを安全に狩ろうと思ってたのに、一気に8匹の《アーチピッグズ》がリンクした。
「狙い絞らせんな!2手に分かれるぞ!朝陽、持ち堪えられるな?ソロ、任せるぜ!」
大地の声に反応し、わたしをターゲットに定める8匹の中に突っ込む朝陽。長槍に薙ぎ払われた3匹の《アーチピッグズ》が朝陽に向き直る。
「よかった。初撃こそリンクしてターゲットを集めたけど、戦闘開始後はちゃんどバラけるみたいね!」
「だな!来るぜ!残り2割の奴、片付けろ!」
大地に言われるまでもなく矢を射る。猪突猛進ならぬ、豚突猛進の《アーチピッグズ》に直撃し霧散させた。
「てめえらの相手は俺だっ!」
先頭の1匹が倒されても関係ない、とばかりにわたしめがけて突っ込んでくる4匹のうち2匹を、大地が真横に薙ぎはらう。
2匹同時攻撃なのに一撃でHPゲージを半減させた!さすが大地だね、これなら…!
「きゃっ!」
「都姫!引き締めろよ!まだ2匹はお前タゲってんぜ!」
大地に薙ぎ払われる《アーチピッグズ》に注目していると、別の2匹の突進を食らってしまった。
一気にHPが3割まで落ち込む。
「大丈夫!この距離ならっ!〈穿孔矢〉!」
突き飛ばされてしまったけど、《アーチピッグズ》はちょうどわたしの真横に並んでる。
超至近距離、しかも貫通力のある〈穿孔矢〉で頭部を狙う!
Super Critical!! Death Attack‼︎‼︎
いつぞやのゴブリンで学んだ一撃必殺を狙った一矢。
狙い通りでよかった!
気づけば大地も2匹を倒してる。朝陽に応援行かなきゃ!
と思ったら。
「なんや、《アーチピッグズ》弱いやん。攻撃力もそんな無いし、防御力も知れとるし。突っ込んできてくれるから槍で突きやすいしや。」
なんで言いながら歩いてくる朝陽。
まぁ、Mobだしね。
焦ったわたしがバカだった。
「都姫、早く回復しろよ。3割しか残ってねえぜ。」 …はい、結構ギリギリで焦るのは当たり前だよね。
ポーションでHPを回復させて、次は《アーチボア》を狩る。
このMobもリンクするとか言わないよね…?
結果から言うと、《アーチボア》はわたしたちの前では《アーチピッグズ》以下の雑魚だった。
リンクすることもない、攻撃力も防御力も高い方だけどその攻撃力は朝陽に止められ、防御力は大地の前には皮の鎧みたいなもの。
単純な攻撃パターンはわたしにも読みやすく、一撃もダメージを食らわないし逆に先読みで矢を射ることもできる。
そして《アーチピッグズ》よりも高い経験値。
《アーチ荒野》でのメインで狩るMobは、《アーチボア》に決定した。
まず、申し訳ありません。昨日は1話更新のみでした。そして、本日も1話更新です。
仕事に歯医者に転職活動。忙しい毎日です。
楽しみにしてくださる皆様のためにも1話でも多く投稿できるように頑張ります。




