ガンガン生産!※ポーションのみ。
ご飯を食べたあと、時間を持て余してしまったのでフライングだけど始めちゃう。現在時刻は19:53。
ーー本日3回目のダイブ。この急激な眠気にも慣れ…て…。
ほいっと!都姫ちゃんログイン完了しました!
朝陽も大地もいない《アーチタウン》の門の前で1人、敬礼してるわたし。夜の街の中はだれもいない。
…だれもいなくてよかった。夜になると大多数の人がログアウトしてるのかな?
よし、目的の『ポーション作成』いっちゃおー!
外のフィールドとは違い、灯りが設置されている大通りのわきにベンチを見つけて座り、〈生産キット:アイテム〉を取り出して箱を開ける。
中身は学校の理科で使うような、ビーカー・フラスコ・試験管。そしてごく小さなコンロ。
「どう使えばいいの?」
だれもいない場所で独りごちる。
何もわからないから、とりあえずビーカーの中に薬草を入れてみる。
【薬草入りのビーカー】
「うん、やっぱそうだよね。」
そうなるよね。わかんないぞ、これー!
あ、ポーションって液体だよね。水を入れてみればいいのかな?
思いついたわたしは〈生産キット:アイテム〉を一旦しまい込み、街灯が並ぶ大通りを進む。『ケニーショップ』の方を目指して。ギルドからケニーショップに行く途中に小さな噴水があったことを思い出したんだ。
石が敷き詰められた道を歩くたび、コツコツとブーツの音が響いてる。これ、ホラーだと間違いなく襲われるシーンだよね。
考えると怖くなってきた。やめよやめよ!
噴水があるところへ辿り着き、横にあったベンチに再び腰掛ける。
小さな噴水は夜でも健気に水を吹き上げていて、街灯に照らされキラキラした風景を見せてくれる。
「ここ、ちょっと地味だけどわたしのお気に入りスポット決定だね。きれい。」
…1人で夜の噴水見てきれいって言ったからって寂しい人じゃないからね!
噴水からビーカーに半分ほど水を汲み、その中に薬草を入れる。
何も変化がない。やっぱり水じゃダメなのかなあ。レシピが欲しいよ。
ほっぺに左手をつき、そう思いながら何気なくビーカーを振ると急に光りだした。そして…
【HPポーション HPを100回復する。】
「でっ、出来たあっ!」
全く予想もしてなかったよ!ほんと何気なく振ったら出来ちゃった!
びっくりしたけど、でも嬉しい。また生産の道を一歩進めたね。
よし、どんどん作ろう!薬草はまだ200枚以上あるし!
ーーやばい。すごく地味だ。一つ一つ手作業でこのポーションを作っていく作業。なんとかなんないかなあ。
そう思いながらも作業の手は止めない。頑張ろう!
そういえば。
生産キットの中には他にもいろいろあったけど、それ以外のもので試すとどうなるんだろう?
思いついたわたしは試験管を取り出し、薬草を丸めて入れて水を入れる。すると
【HPポーションS-試作品- HPを毎秒1ずつ回復する。効果時間:100秒】
おおっ!新製品が出来た!たった1ずつではあるけど毎秒回復の便利アイテム!
試験管で【HPポーションS】ならフラスコは?
【HPポーション HPを100回復する。】
フラスコはそのままなんだね。残念。
でもポーション一つだけだった作れるものが増えたのは素直に嬉しいよ。
この調子でどんどん進めよう!
【HPポーションS-試作品-】を作れたわたしは勢い付き、ついに薬草全てを使い切った。
出来たものは【HPポーション】115個と【HPポーションS-試作品-】102個。
次は魔草だね。でも流石にちょっと休憩。地味な作業で疲れちゃった。
休憩と思って空を見上げると、真っ暗だった空が白み始めていた。
メニューウィンドウを開き、リアル時刻を確認すると20:54。そろそろ大地と朝陽もログインしてくる頃かな?
そう思ったわたしは来た道を戻る。再びコツコツとブーツの音が響くが、来た時よりも怖くない。っていうか白み始めた空の下で歩いてると早朝散歩しているような爽やかさすらある。
門の前に着き、しばらく待っていると光の粒子が現れ人の形を作った。
続いてもう1人。ログインするときってこんなのなんだね。きれい。…あ、ポーション報告しなきゃ!
2人と2度目の合流を果たしたわたしはポーションの報告をしたんだけど。
ーー「興奮した犬っころがじゃれついてきてるみてえ。尻尾の幻覚すら見えたぜ。」
なんて言われてしまった。うー、わんわんっ!
本日3話目の更新です。今日は戦闘要素があまりありませんでした。期待された方申し訳ない。
16話目で感想をお願いしたところ、描写を足して欲しいとの声を頂きましたのでこの話から足して参ります。他にも改善点等ございましたら感想に頂けると嬉しいです。




