生産王道、来たーっ!
アーチコボルトだけでは飽きてくるため、途中途中でアーチゴブリンやアーチウルフを狩りながら移動して行くうちに気づいたものがあった。
ーー草原の草の中にところどころ形が違うものがある。
どこかこの草に引っかかった。何気なく摘んでみると。
【薬草 HP微量回復。HPポーションの原料。】
きっ…来たー!生産の定番ポーションの原料!
そっか、画面の中でやるゲームと違ってこういうのも"リアル"に探さなきゃダメなんだ。
となると…。
「大地!朝陽!薬草見つけた!」
「ここまで進めてやっとかい。FWOは生産に優しくないんとちゃう?」
「んーん。たぶんだけど、《始まりの草原》や《試しの森》にもあったんだと思う。気付いてないだけで。」
そう言ってたまたま大地の足元に生えていた薬草を指差すと
「おお!本当だ!これ薬草なんだな。言われるまで気付かねえよ。」
大地も驚いたみたい。わからないよね。
「なるほど。このへんもリアルに作りこんどるねんなあ。ほんなら、ワイと大地でレベリングするさかい、都姫は薬草集めえな。」
「え?こんな序盤から寄生みたいなこと出来ないよ。終わりかけのゲームならまだしも。」
そう言って断る。
「寄生じゃねえよ。これでポーションが作れるようになりゃ金かかんねえようになるし、そのための先行投資だぜ。しっかり返してくれよな。」
大地にそう言われると断れなくなるよ。
「2人ともありがとう。ポーションなんて2度と買わせないから!店売りのポーションよりもいいもの作ってやるからね!」
2人の温かい言葉に送り出され、わたしは薬草を集めに集めた。
FWO内の時間で2回目の夜が近づいてきた頃、かなりの量の薬草を集められた。さらに薬草を探しているうちに見つけた
【魔草 MP微量回復 MPポーションの原料。】
【毒草 体内に入るとHP継続微ダメージ。】
の2つの草もそれなりの量になった。
「薬草集めに必死になりすぎて、薬草集め以外何にもしてないや。」
独り言を言ったつもりだったけど、いつの間にか近づいて来てた2人が視界に入る。
「都姫がせっせと薬草集めてるうちに俺らでだいぶ狩ったぜ!結構レベル上がってんじゃねえかな?」
「せやで!ワイも確認しよ。」
その2人の発言を聞いたわたしはステータスウィンドウを開いてみる。わわ!もう27レベルまで上がってる!朝陽と大地、頑張ったんだなあ。
「27まで上がってるなんて。大地も朝陽もありがとう。わたしもその頑張りに負けないだけのポーションつくるね!」
「おう、頼んだぜ。」
「頼りにしてるで、都姫。」
2人の頑張りに感謝しつつ、生産の成功率を上げるためにSTPをDEXに振る。
Miyavi/弓師Lv21/無所属
Lv:27/STP:0
HP:1030/1030 MP410/410
STR:0
VIT:0
INT:0
AGI:0+65
DEX:310+160
LUK:0
かなり成長してきた『FWOでのわたし』。
こうやって数字に表れるのは嬉しいなあ。
「そろそろ夜なるし、また街戻っていっぺんログアウトしよか。そろそろリアルじゃ7時やで。」
そんな朝陽の言葉に時間を思い出した。
「本当だな。よし、ならまた夜が明ける9時くらいにログインしようぜ。」
「そうだね。ほんと楽しいや、FWO。」
生産もできるようになってきて、ちょうどこれから!って時にログアウトするのは後ろ髪を引かれる気持ちだけど、リアルも大切だもんね。
「じゃ、また後で!」
「「おう!」」
門番さんにギルドカードを見せて街に入ったわたしたちは、その場で光の粒子になった。
ちょっと短いですがキリがいいところで。
かさ増しはいくらでもできるんですが、描写が濃くなりすぎると読み辛いかと思ってかなり削っています。
ただ、これぐらいでちょうどいいのかと問われると自信がありません。もし、「もう少し足してほしい」「もう少し削ってほしい」と言ったご感想ございましたら、感想欄にて伝えて頂けると嬉しいです。




